勇者達の旅路 二
十一話、十六話、十七話の幕間です。
「ナイフってそんなに数いるんですか?」
「いくつ有っても足りませんね。相手のモンスター次第ではその一体だけで使えなくなる場合もあるでしょう。私の場合はそれ以外にも理由がありますが……これにしましょう。あとこれも」
「ナイフの出来具合とか分かるもんなんだねー」
「柄と刃の接合部は大事な点です、握りやすさも。ほら、見てください、刃の出来が良い。上手く使えば長く持ちますね……」
「……なんかうっとりしてない?おねーさんってやっぱり危ないよね」
「そんな事言うなよ。……でも、ちょっとヤバイ感じではある」
「……んんっ、聞こえてますよ。奇麗な物は奇麗でしょう。ほら」
「ちょ、ちょっと、怖いっ!」
「おねーさんがナイフ持ってると色々とシャレに見えないね」
☆
「アイム、大丈夫?異能の後遺症とかさ。僕思いっきり頭突きしちゃったんだけど」
「少しめまいがしますが、大丈夫です。それと、おそらくあれが原因で意識が少し戻ったので、セーレ様の判断は正しかったと思います」
「あーそういや様付けとかしなくて良いよ?それも聖女だからしてたとかでしょ?呼び捨てで良いよ。年も一緒くらいだし、そもそも僕はアイムの事呼び捨てだし」
「……それは私が好きでしてるので」
「そう?じゃあ、まあ良いけど。……ね、この際だから気になったこと聞いていい?」
「私にお答え出来るのなら」
「大げさだなあ。昨日僕の部屋に来た時、アイムの服に花の刺繍が見えたんだよね。ここの人達って皆真っ白だから、気になって」
「……あれは、母が好きだと言っていた花です。夜着なので誰にも見られないと思って……」
「そっか。会えると良いね」
「はい。……あの」
「ん?」
「セーレ様は、大丈夫なのですか?」
「……実はもう一歩も動けない。筋肉痛がね、ヤバイの」
☆
「はーい一気!一気!」
「何でちゃっかり荷物に牛乳入ってるんだ……」
「フォルスが用意した荷物に入ってたんだよねー。毒とかはおねーさん曰く無いから安心して一気飲みできるよ!」
「あ、あの、セーレ君?本当に嫌いなら無理しない方が……」
「……いや!今日僕が自身の信用を落としたのはやっぱり事実!見ててください、アラストリアさん!これは僕の、贖罪の気持ちです!」
「いけー!」
「あぁ……」
「……」
「……」
「…………おr」
「「あ」」