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インスピレーションで書いたお話

【ダンスのインスピレーションで書いた話バージョン2】

作者: 知美

【ダンスのインスピレーションで書いた話バージョン2】


 ダンスホールに居るのは、仮面をした人ばかり。仮面をして踊るなんて、ふざけてるとしか思えない。

 仮面をしているから、誰だかわからない。そんな状況で、よく踊れるなと、壁にもたれ掛かり、ダンスホールでの様子を眺めたいた。すると、耳元で、聞きなれた声が聞こえてきた。

「お前、こんなとこで何やってるんだ? せっかくダンスホールにいるんだから踊らないももったいないだろう」

 そう声をかけてきたのは、私の幼馴染だ。私の幼馴染は、ダンスが好きで、幼い頃はよく一緒に踊っていた。だけど、成長するに連れて、なんだか、幼馴染と、踊るのが恥ずかしく感じてしまい、いつの間にか踊ることにたいして嫌悪感が芽生えていた。

「ホラ、踊るぞ」

 幼馴染に手を引かれ、ダンスホールへ向かう。だけど、久しぶりに幼馴染と、踊ることに緊張する。

「足……、踏むなよ」

 そう言って、幼馴染は、私をリードしながらダンスホールを進んでいく。

(踏まないわよ……)

 私だって、一応は、ダンスを踊れるから、ここに来ている。だけど、いざ踊るとなるとなんだかイヤになってしまい、壁際にいて、ダンスホールで踊っている人たちを眺めていた。

 お互いに仮面をしているから、表情はわからない。出ているのは、口元だけ。だから、私が、幼馴染の口元を見ていても、気づかれない。

(本当に、キレイな形の唇……。羨ましい……)

 そんなことを考えながら、幼馴染と踊っていると、ダンスの曲が止まった。


“暫くの間、休憩時間になります。曲が再開されるまで、ご休憩下さい”


「ベランダで待ってて」

 短く、私に声をかけて、離れていく幼馴染。私が大人しく、ベランダに向かうと、そこには先客がいた。先客から離れ、ベランダに出ると、その先客に声をかけられてしまった。

「お嬢さん、いかがなされましたか?」

「……少しだけ、休みに──」

「それなら、ダンスホールを抜けた先にあるソファーでわたしとお話ししませんか?」

 私が返事に困っていると、幼馴染が、飲み物を持って、ベランダに来てくれた。

「オレの連れに何かようか?」

 まるで、「オレのモノに手をだすな」と、言わんばかりの強い口調で話す、幼馴染。その様子に驚くが、それを聞いた、先客は「すまなかった」と、一言だけ言って、ダンスホールへ戻っていった。

「私、貴方の連れなの?」

「連れみたいなもんだろう。幼馴染なんだからさ」

 そう言って、笑う、幼馴染。ニカッと笑う口元。その口元に見とれていると、幼馴染が私の耳元で話始めた。

「お前さ、本当に気づいてないんだな」

「何が?」

 幼馴染はため息をつく。

「オレの唇……。見すぎ……」

 その言葉に驚く。気がつかれていないと思っていたのが、気がつかれていた。その事に、頬が赤くなる。だけど、仮面をしているから、気がつかれないと思っていたが、やはり、幼馴染だけある。その事まで、指摘され、いたたまれない気持ちになる。

「だって……、形がキレイで、見てて飽きないし……、つい……見ちゃうんだもん……」

「ふーん……」

 すると、幼馴染は私の手を取り、幼馴染の唇に私の指先を触れさせる。

「お前なら……、触っていいよ」

「……いいの?」

 幼馴染は頷き、私の好きに唇を触れさせてくれる。

 幼馴染の唇は柔らかくて、スベスベ。私の唇より、断然触り心地が良い。

「ありがとう」

「満足した?」

 私が頷くと、幼馴染が、私との距離を詰めてきた。少しでも動いたら、仮面がぶつかる。

「オレも触りたい」

 短く、的確に言う言葉に、私が頷くと幼馴染の唇が悪巧みをしているときによくしている唇の形に歪んだ。それを察知するが、反応が遅れた私の唇に幼馴染の唇が触れる。

「お前だって、柔らかいけど」

 そう自然に紡がれる言葉に、私は唖然とする。

(今……キス、された、よね……私)

 幼馴染の大好きな唇が私の唇に触れた。その事実に驚き、思わず手で唇に触れる。

「あっ、間接キスだ」

 私は、ハッとし、唇を手で覆い隠すが、それを見ている幼馴染は何時ものように笑っているだけ。

「なんで、笑うのよ……」

「だって……、可愛いから」

 その言葉に、目を見開くが、仮面でそれは見えていない。だか、幼馴染に仮面を外され、素顔を見られ「やっぱり」と言われ、微笑まれる。幼馴染の顔が見たくなった私が幼馴染がしている仮面に手を伸ばすと、手首を捕まれた。

「オレの仮面は後でね。今日はもう帰ろうか」

 そう言って、幼馴染は私に仮面をつけ直し、ベランダからダンスホールへ、連れ出し、そして、馬車に乗り込む。その間、一言も喋らない。それを気まずく感じていると、幼馴染が仮面を外して、私の顎に手を添えた。その動きに、任せて、顔を動かすと、幼馴染の顔が見えた。なんだか、照れているような感じの顔。私が首を傾げると、幼馴染は小さく微笑み、私に触れるだけのキスをする。数回したあと、幼馴染に再び、仮面を外された。

「照れてる顔も可愛い……」

 そう言って、近づいてくる幼馴染の顔。そして、自然の重なる唇。

 月明かりに照らされ、お互いの顔がよく見える。気恥ずかしくも感じるが、なぜだか、心地好くも感じる。

(ずっと、この時間が続けば良いのに……)

 自然とそう思いながら、幼馴染からキスをされていた。


読んで頂きありがとうございました。

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