俺は君だけを守れればいいその為にただ生きているのだから。
主人公。それは誰かが助けを求めている時に颯爽と助け、自分の力を見知らぬ誰かに使う事に躊躇いのない人の事を指しているのだと俺は考えている。
世界中の男子はその姿にほとんど全員が憧れを覚えた事があるだろう。
俺だってその一人だった。けれどもすぐに理解したんだ。英雄、勇者などと呼ばれる人達は、
〜他人を助ける為に全てを犠牲にするって〜
俺はそんな生き方、出来るわけがなかった。この世界で唯一無二の家族がいる。そして、家族よりも大切な1人の幼馴染がいる。俺は世界が滅びても、大切な人がいればそれでよかったのだ。だから俺は唯一無二である特別な人達と、その他の有象無象を天秤に乗せるのならば、たとえ人殺しになったとしても、世界すらも敵に回しても俺は唯一無二である特別な人を守る。
だから、俺は主人公にはなれないんだ。主人公とは違って命にそれぞれ価値を俺はつけてしまっているから、ただ自分勝手な感情によって目の前で倒れている誰かよりも、遠くで倒れている、俺にとって唯一無二である特別な人の方を優先してしまうから。
主人公なら、決して誰も見捨てず、最後まで全員を守り抜き、全ての人を平等に扱ってその場にいる人々の生き残る希望になる。力強い道標になるのだ。
〜だから俺は主人公じゃない〜