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小人でも捕食者スキル持ってます  作者: たにぐちあきら
第一章
6/10

6話 夢の恐怖



6話




「今日はギルドによってから燐光の洞窟に行くでござる!」


「なんでギルドによる必要があるのですか!?」


「あ、言うのを忘れていたでござる!

今日はギルドに冒険者が集りアルフレッド大王が

冒険者に感謝の言葉を授ける、年に一度の行事なのでござる!」


昨日の報酬で新しい装備を買ってご機嫌なのか、明らかにいつもよりみんなの声のトーンが高い。


ギルドの中に入り、コーヒーとトーストを注文し、

長机の席に座った。


へー、わざわざ大王様がギルドに来るとは、

なかなか人が良さそうな大王なんだな。

日本ではどんだけ頑張ってバイトしても褒めてくれる人なんて一人もいなかったのに、愛梨は除いて。


「ねぇー、風馬ー、ちょっとトースト分けてよー」


「愛梨さっき食べてたじゃねーかよ!」


「だってー、、、」


「なぁ、あれが大王様の乗る馬車か?」


俺はトーストをくわえながら愛梨にトーストを取られないように話を変えるついでに言った。窓越しから黄金のリンゴの馬車と守護兵がぞろぞろと波が押し寄せるようにこっちに来るのが見えたのだ。


「おい、整列の時間だぞ!いつまで食ってるんだ!」

鉄の鎧をつけた冒険者に怒鳴られた。


「はい、すんません」

俺は急いで口の中にトーストを入れ込み

俺たち冒険者がギルドの前に整列した。

今だに愛梨がこっちを睨んでくる。


(ぶぅぅぅーーーうぅぅうぅーーー)

低い音が鳴り響いた。


「アルフレッド大王様のご到着である!」


守護兵のリーダーと思われる男が笛を吹き、

ギルドの前で整列している冒険者達に言った。


そして、大王様が馬車からゆっくり降り

整列している俺たち冒険者の前に立った。


「皆の者、我は第18代目の大王、

アルフレッド=オースティンである。

今年も再び生きて会えたことに感謝する。

この国の平和は、そなたら冒険者のモンスター討伐

のおかげで成り立っており、、、、、。」


(ドカーーーーーーーーン)


「どうなってるんだ!煙で前が見えないぞ!」


何者かの襲撃で発煙弾をなげられたのか、ギルド周辺の広場が灰色の煙で覆われた。


周りの冒険者が騒ぎ出し、空気が慌ただしくなり、

冒険者や周りにいた商売人やその子供達は走って

逃げていった。


「大王様、危険ですのでこちらへどうぞ」

守護兵が大王の身に危険を感じたのか黄金のリンゴの馬車に大王を入れた。


ようやく煙が消えてきて、周りには誰もおらず

薄っすら黄金のリンゴの馬車の上に立っている4人の

姿が見えた。


「へっへっへっ、この国の大王の首はもらったよ!

この国の雑魚冒険者達はもう去っていったみたいだね、まぁ死にたい4人の君たちだけ残っているみたい

だけどね」


大王様の首をサッカーボールの様に右足で踏みつけて

ながら言っている。


「死にません!私たちは」

奈津美が動じずに堂々と宣戦布告宣言をした。


「ふーん私たちは、か、おもしろいね

度胸だけは認めてあげるよ、おやすみ!」


悪の組織の先頭に立つ赤髪の両手ナイフの男が

イノシシの様に低い姿勢で奈津美に切り掛かった。


「アイスシールド!」


奈津美は氷の盾を体の前に出現させ防いだが、

それを横に回転して避け、再び奈津美の胸にナイフが

近づき、刺さりかかった。


「炎舞!」


それに気づいた愛梨が拳に炎を宿すパンチを

両手ナイフの男にくらわせた。


まともにパンチが入ったのか、ぶっ飛んで八百屋に

突っ込こみ建物を崩壊させた。


「あんたちっこい体して、なかなかやるじゃないの」


首に2匹の青色と赤色の蛇を巻いている女が言った。


「ちっこいって何よ!愛梨はこれでも17歳なんだからね!」


と言いながら蛇の女に飛びかかった時、


(しゅしゅしゅしゅしゅきっん、カチ)


もう一人の男が刀を一瞬だし、すぐに鞘にしまった。何をしたんだ?


(ぶしゃぁぁぁあああ)


急に愛梨から血が吹き出た。


あ、、、、、これは昨日の夢だ、、、


まさか、、、。


愛梨は、、、、どうなってるんだ。


「ううぅぅぅ、痛いよ風馬、、なんで愛梨の腕が

前に落ちてるの?」

何が起きているかまだ把握していない愛梨が言った。

「おい!お前ら!愛梨に何をした!」


俺は分かっていたが、夢とは違って欲しいと思ったのか、聞いた。


「んー?ただうちの刀の政宗君が切っただけだけど

何か?おかしなことあった?」


八百屋に飛ばされた男がゆっくり歩いて戻って来ながら言った。


その両手ナイフの男の言いようで驚きが消え、

怒りが込み上げてきた。


「うぁぁぁぁああああ!お前ら4人とも皆殺しにしてやる!!」

俺は感情に任せて剣を持ち、走って急接近したが

もう一人のフードをかぶった男の相手の時間を止める魔法で俺は剣を振りあげたまま硬直状態になった。


やばい、このままだと俺までやられてしまう、、。


「あー、ごめんね、いい感じのシチュエーションに

なって来たのに邪魔しちゃって、これから無惨に殺して君たちの人生を残酷なバッドエンドにさせるのも楽しいと思うけど

俺らはこれから用事があるんだよね」


両手ナイフの男がわざわざ止まっている俺に顔を近づけて、ささやくように言った。


「安心してね、また今度必ず殺しに来てあげるから

たのしみにしててね」


不気味で憎らしい笑顔を残して悪の組織の4人は

煙玉を投げて去っていった。


時間を止める魔法が切れたのか動けるようになり

すぐに愛梨のもとへ向かった。


「愛梨!大丈夫か!?」


「愛梨もう、ダメみたい、最後に、風馬に

言って、おきたい、こと、あるんだけど、、、

、、いい?」


「うん、もちろん」



「あ、あのね、

小さい頃からずっと好きだったよ、風馬」


「今までありがと、、、」


そう言うと、愛梨は力が抜けるように目を閉じた。


「おい!愛梨!愛梨!目を開けろよ愛梨!

頼むから開けてくれよ!愛梨!

今から燐光の洞窟行くんじゃないのかよ!

トーストもいくらでもあげるから!」


大助は地面に頭と膝をつけ、泣いている。


「ヒール!ヒール、ヒールぅ、、」


奈津美は魔力切れになり、倒れた。


「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!」


ギルドの前の広場には俺たち4人だけで誰もいない、

風馬の叫び声だけが響き、活気のあった街の通りは

静かに静まり返っている。



俺たちは愛梨の血と俺たちの涙が混ざった水たまり

の中央で色々な感情におぼれていった。

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