第七夜★ 『星が眠るまで』
私は見ていることしか出来ない
今夜もずっと見届けよう
そこに生きるものたちを…
長い夜が白み始め 今日も地球に新たな一日が
ゆっくりと始まり出そうとしていた
私はこの地球の 夜から醒めるこの瞬間
私が眠るこの瞬間が とても良いものだと思う
地球の目覚め 生命の目覚め
月が姿を霞ませ 太陽が陽を放つとき
ゆっくりと闇から 世界は色をとりもどす
泉は 琥珀色に輝き出し 木々が背伸びを始める
花たちは 色を褒め合い 歌を風に乗せる
土の中で眠っていた昆虫たちも
大地が暖まりだし 踊り出す
海が照らされだすと 魚たちは
太陽に手を伸ばすよう 飛び跳ねる
海はそれをそっと 包み込み 太陽と見つめ合う
獣たちが一斉に太陽を崇め
鳥がさえずり 人が目覚める
次第に煙突からはねずみ色の煙が伸び
それぞれの生活が始まる
私に 心があるのなら この瞬間を
美しいと感じ この奇跡のような地球に
涙してるかも知れない
風に乗り 花たちの歌が聴こえたなら
声を合わせ 歌い出すかも知れない
大地の暖かさを感じたら 昆虫たちと
ささやかな踊りを踊っていたかも知れない
太陽を浴び 腕を伸ばし 人のように
光に感謝していたかも知れない
心というものは 美しいものなのか
私にはわからない 私は闇夜に瞬く星なのだ
しかし きっとこの鮮やかな世界は
心が躍るのだろう 地球を眺め私は思った
そして 生命の営みは 私を退屈させない
この 心地よい空想を 地球に想い
私は 夜明けを楽しみ 眠りにつく
そして 今夜もまた 見届けよう
生きるものたちの営みを
私は 誰にも気づかれないよう そっと瞬いてみせた
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は少しインターバルのようなお話になりました。
星が眠る前、こんなことを思っていたら朝の辛さや気怠さも少しは和らぐような気がしてます。