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見つめた星  作者: ルカニウム
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第二十五夜★『星と熊』

私は見ていることしか出来ない

今夜もずっと見届けよう

そこに生きるものたちを…



そろそろ太陽の周りを 地球が一周りするころ

寒さが増し 鉛色の雲が 山々に雪を落とした

大地はゆっくりと白い化粧をほどこされ

木々も冬支度をするように

急いで葉を落としていた


何十 何百回とこの景色を眺めても

ひとつとして同じ景色にならない

絵画のようだ



ふと山を眺めていると 黒い毛に覆われた獣が

白い大地を歩いているのを見つけた


熊と呼ばれる大きな体の獣は木々を揺らし

わずかに残った実を見つけては食べ

岸辺まで歩いて行った



私はしばらく見つめていると

熊は岸辺へと辿り着き 雪で冷やされた

川へと入って行った



何かを見つけたと思った瞬間

熊は大きな腕を振りかぶると

まるまると太った大きな魚が岸辺で跳ねた


それを数回繰り返すしたところで

岸辺には数匹の魚があげられていた


魚を獲ることは鳥もほかの獣もおこなうが

これだけ豪快な魚獲りは見ていて爽快だった



熊が岸辺に戻ってくると

木々の隙間から 新毛に覆われた子熊たちが

ぴょこぴょこと現れた


熊は鼻で子熊たちを撫で

子熊たちは嬉しそうに魚に飛びついた

まだ跳ねる魚に驚きぴょんぴょん跳ねながら

魚を頬張る姿を親熊は幸せそうに眺めている



子熊たちがお腹いっぱい食べたところで

残った魚を親熊が食べ 満足したかのように

山へと帰っていった


これから厳しさを増す山で寒さをしのぐため

獣たちは食糧を蓄え 眠りに就きながら越冬する


枯れ草で柔らかくなった寝床で

親熊に抱かれて子熊たちは寒い山の季節を

超えていくのだろう



闇夜も白む わずかな時間だが

自然の営みを見させてもらった



温かな季節になり 元気に走り回る姿を

また見せておくれと 眠る熊たちに

きらりと瞬いてみせた

最後までお読みくださいまして、ありがとうございます。


冬眠は憧れがありますが、厳しい寒さでの冬眠は人には出来ないですね。

人はわずかな暖かさを求めて寄り添う生き物だと思います。

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