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見つめた星  作者: ルカニウム
18/40

第十八夜★ 『今を見る星 これからを見る者』

私は見ていることしか出来ない

今夜もずっと見届けよう

そこに生きるものたちを…




私の目からして 星に暮らす人々が

不安にかられ 日々の営みが様がわりしているのが

この短い期間に見てとれた


体に入り込み 身を蝕み

負の粒子が星を染めつつあったのだ


目に見えないそれは 人から人へと移り

人を介して 増えていく

星に住む生き物としては良くあることだが

人にはない生存方法が 人に恐怖を与えていた



その恐怖で人が街から消え

賑わいは静寂に変わり

夜でさえ明るさを感じていた

電飾も人々の不安で 明度を落としていた



いつの日だったか…


そう思い出そうとしていたとき

街の高台で 1人たたずむ青年を見つけた



青年は不安な面持ちで 街を見下ろしていた

明るかった街が幾夜も経たず 明度を落とし

暮らしが変わってしまったのだから

不安になるだろう


青年は 朝から夜まで 懸命に働き

夢を叶えるため 身体を動かしていた者だと

同じ青年を見ていた星が瞬いた


それが 働くことが出来きなくなり

夢に向かって歩んでいた足を 急に掴まれて

身動きが取れなくなったのだ



費やした時が失われる悔しさ

それに抗えないと想っている自虐感

青年の表情から悲痛さが感じられた



私は見つめることしか出来なかった



それから何度目の夜を迎えただろう

青年は毎夜 高台を訪れては

街を見下ろしていた


変わらずの街 闇がより深まった夜

青年は街の明かりを じっと見ていた



私も 同調するように街を見た



すると どうだろう

今まで闇に染まっていた街に 光の粒が

灯りはじめていた

ぽつぽつと蛍火のように淡く でも力強く



あぁ これは 新たな時代に移りゆくとき

見てきたものだ


私は かつても同じように

人々に訪れた負の粒子を

思い出した


懸命に立ち向かったが 抗えず

人は疲弊して 多くの命が失われた


しかし 追い込まれても抗うものが旗を振り

光りだし それに立ち向かっていった

そして 今日まで至っていたのだ



人が新たな時代を築こうと

一人が輝きだすと その光が点となり

街中に やがて地球の全てが輝く

一人ひとりは小さな光だが

眩しくも思えるほど 地球は光を放つ



人は今を越え 新しい今が始まるのだ



青年もそれを見ているだろうか

一人ひとりの輝く光を

これからを生きていくものの光を


青年は夜空を見上げ

大きく深呼吸をした

どうやら もがけば掴まれた足の枷を

ふり払えそうな表情だ




瞬こう 私は 人々を照らすことは出来ないが

人々が見上げたくなるように 鮮やかに



夜は私たち星が見守っているよ

星々は地球に住むものたちへ向かって

やさしく瞬いた


お読みくださいまして

ありがとうございます^ ^

短編に投稿した

『星への手紙〜 今、それから 〜』

もこの話に通ずる話になっています。


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