第一話 こ、こんなはずではなかったのにぃ!
思い立って書き上げてしまいました。
「インテグラル」の毎日更新はしばらくなるべく続けたいので、こちらは
ぼちぼちな速度で更新予定です。
高校生のころ、交通事故で死んだぼくは、神様に、転生しないかと持ち掛けられた。
最初に転生先の世界を選ぶのだが、
ぼくは当然、剣と魔法世界を希望した。
しかし、
剣と魔法の世界は人気過ぎてできればやめてほしいとのことだった。
神様曰く
人が飽和しすぎて、魔法と剣のチートが多すぎで超ヤバいとのことだ。
変わりにハイテクな機械世界、巨大ロボットや戦闘兵器などが出てくる世界とかどうですか?と勧めてきた
ぼくは悩んだが、もし転生してくれるならスキルや能力の取得に必要なポイントをたくさんあげますよと言ってきた。
現在のボクのポイントは数千で、スキルや能力は強いものがたくさんあり、到底今のボクの持ちポイントでは足りなかった。
だから、その申し出を受けることにした。
すると
与えられたポイントは何と100万ポイント。
こいつはすごい、これならなんでも手に入るぞ!
僕はあれこれ夢想しながら、能力や才能を手に入れていく。
ぼくは、この手の小説を読み漁ってきた。
ハイテク世界とやらだが、要領は同じだろう。
強い体に賢い知性、反則技で魔法も取得してしまえば、もはや敵などいない。
特に魔法は世界観完全に無視しているが、願いを聞いてくれたお詫びとのことなので、遠慮なく取得させたもらった。
国を亡ぼす魔法デストロイキングダムや世界を滅ぼす魔法エンドオブワールドなどとっていったときの神様は少し顔が
引きつっていたが、止めることはなかったので、遠慮なく取得させてもらった。
次々にスキルや能力を取っていくとあれだけあったポイントは綺麗になくなってしまった。
でも後悔はない。
容姿もポイントで買えられるようだったので、イケメンにした。
運動も勉強もスポーツも魔法もできるハイスペックなイケメンにした。これぞまさしくチート主人公だ
当然生まれてまもなくして僕はすぐに頭角を現し始めた。
運動もスポーツもできる。魔法だけは隠しているが、そんなことはなんの問題にならないほどぼくの力と魅力は知れ渡った。
ぼくの家は貴族でしかも公爵家だったので、2歳のときから婚約依頼が殺到したほどだ。
くくくく!幼少期からすでに容姿にすり寄ってくる愚民どもの視線が心地よい。
家族だって皆僕に心酔している。
両親は、僕にわかるくらいに期待し、
妹と姉はボクにだだ甘で、弟は尊名の目を、兄は俺を自慢の弟だといつも自慢してくれた。
ぼくは輝かしい未来を確信していた。
だが、生まれて7回目の誕生日のとき、皆の適性を調べるある検査で僕は、向けられる視線が羨望と好意から侮蔑と嫌悪に代わっていた。
家族は僕を蔑みの目で見ており、あれだけ僕になついていた妹は僕に唾を吐く始末だ。
姉は顔を合わせるたびに僕をなでたりしてくれていたのに、今はサッカーボール扱いで胴体や頭を蹴ってくる始末。
僕は、人知れず泣いた。
特に僕によくなついてくれた妹に嫌われたのが痛い。
余りの悲しみに少しだけこの国にデストロイキングダムを放とうかと悩んだほどだ。
だが、さすがに国を亡ぼすのはちょっとやりすぎかなぁ?と思い謙虚に我慢した。
けれど、国を亡ぼせないのではこの悲しみはどうすればいいのか?
うぅ、なぜ僕がこんな目に。
動揺しながらも、僕は、気を取り直し、とりあえず原因を調べるために、周囲の人間に尋ねた。
嫌そうな顔しながらも、ボクのそば付きのメイドは教えてくれた。
原因はこの世界に存在する数多の機械に必要な電脳適正を持っていなかったからだ。
電脳適正。
そんなもの僕の現実世界にはなかったぞ。
調べてみると
電脳世界への一切のアクセスができなくなったり、仮想世界で電脳ツールや電脳武装、戦争などで使え る強力な電脳兵器が一切
使えなくなるとのことだった。
現在この世界では直接的な戦闘ではなく、ネットに作られた電脳世界を介したハッキングが主流で、銃や剣など時代遅れの遺物として誰も使わないとのことだった。
うちは貴族で、電脳貴族とも呼ばれる名門で、将来は皆軍に進むことが決まっているエリート中のエリートだったのだ。
そんな、僕の精密射撃(極)と剣戦闘 EXが……。
数10キロ先の人の頭を撃ち抜ける射撃技術も、剣で城を切れるほどの人外レベルの技も意味がないなんて。
いや、直接的な戦闘がないということは下手をしたら暴力が忌避されている可能性がある。
この自慢の肉体やそれを生かしたスキルや暴力ががだめなら、だいぶまずい事態だ。
僕のとってきたスキルや能力は肉体、知能、魔法でだいたいポイントを3分割している。
不眠不休や肉体回復などすべてがすべて無駄になるわけではないモノの、事実上
それらの3分の1近くが無駄になった事に変わりはない。
「な、なんてことだ……」
ぼくは愕然とした。
そんな僕を極潰しだの、悪魔の子だの、無能だの言ってくるメイドの声を、腹パンで黙らせ、僕はその場に崩れ落ちた。
次の日から僕は針の筵に立たされることになった。
たった数日前は自慢の息子だの、私のディア(愛しい息子)と言ってきた両親は一切話しかけてこなくなった。
加えて弟が僕をいじめの標的にした。
食事にはパイナップルが混ぜられ、風呂にはパイナップルが混ぜられ、僕の部屋のまくらまで巨大なパイナップルに代わるという人にあるまじき仕打ちを毎日繰り返された。
僕は、パイナップルが嫌いなのに!
使用人まで率先して参加したひどいものだったのだ。
僕は、目星をつけてとりあえず実行者と思わしき使用人に異性には全力でセクハラを、男には金的を加えて制裁を加えていった。
そのせいで相次いで使用人がやめていき、
それを見とがめて弟妹が僕を畜生だの野蛮だの屑だの言ってきた僕はにっこり笑って彼らに近づいて行った。
当然話し合い(一人リンチ)だ。
とりあえず僕をけなした弟と妹どもは、チョークスリーパーで10回くらい占め落として二度と逆らう気をおこせないようにした。
2人の顔も腹も殴らなかった僕にはまだ彼らへの愛が残っていたのかもしれない。僕って超博愛。
もちろん超博愛精神満載な僕は、彼らのように能力の有無、男女も年齢の高低で差別することもしない。当然兄と姉にも叛逆した。
だが、かなしいかな僕と彼らの年齢差は大きかった。
兄と姉は、僕は腕の骨折覚悟で姉にじゃれるふりで組み付き、裏十字(関節技超危険!良い子のみんなは真似しないでね!)を肉体チート全開でくらわせようとしたのだが、背後から年齢差をいかした強引な引きはがしにあえなくつかまり、その後兄と姉に徹底的にボコられた。
ちくしょう、もう少しでちょっと長めの車いすバカンスを提供できたのに!
ちなみに腕は無事だった。正確には折られても肉体回復の力で回復したため、疲れた彼らが、諦めた形になる。彼らは僕を化け物だの、狂犬だのいってののしってきたが、僕の心には響かない。
既に僕は彼らに対して期待することをやめていたからだ。
痛みや苦痛、ストレスをものともしない姿に次第に家族が僕を見る目に、嫌悪や侮蔑意外に畏怖が混じり始めた。
その後もまるで狂犬のようなぼくに家族は戦々恐々としていたが、そんなことはどうでもいい。
問題なのは、僕がチートだが、この世界ではチート主人公ではなくなったことだ。
実にまずい事態だった。
ハーレムとか俺つぇぇ!とか素敵抱いて!とかできないじゃないか。
もういっそデストロイキングダムを放って他の国にいこうか考えたが、まだ見ぬヒロイン達がこの国に、もしかしたらいるかもしれないことを考えると国を亡ぼすという安易な判断は下せない。
そこで考え直す。
電脳適正がないなら、金で買えばいいのではないかと。
持っている奴を、例えば奴隷でも買ってその成果でのし上がるのだ。
とりあえず僕は、奴隷を売っている店に行くことにした。
金は行きがけに絡んできた弟から借りた(奪った)ので、問題はない。よし、いくか!