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9話「異世界バイト」

「どうしてだよ!」


バンッと勢いよくテーブルを叩く…が嫌な音がしたかと思えば、真っ二つに割れて壊れる。体勢を崩した達也は頭から地面に勢いよく倒れた。


「見たところ、兄ちゃんはまだ働ける年齢じゃねぇだろ?確かに魔法の腕前は確かだがな、ウチでは雇えねぇよ」


さっきの大笑いしてたときとは違い、真剣な表情でガインは言う。


「ちなみに何歳から働ける?」

「都市の法では異例を除けば男は22歳から、女は20歳からだ。そんなことも知らねぇとはどこの田舎もんだ?」

「ふっ、そうかい」


それを聞いた達也はすぐに起き上がり爽やかな笑顔で鼻で笑うと、自身満々に胸を張り答える。


「いや〜忘れてたよ、今日ちょうど俺の誕生日で22歳なんだ。だから雇るだろ?」


えぇい、こうなったら年齢を偽装するしかない!俺はまだ18歳のぴちぴちの高校生。今すぐに働きたいのにあと4年もまってられるはずがない。まだ高校生アルバイトとして働かさせてもらえる日本とは違って、この世界不便すぎるぞ!


「なら腕輪をみせろ」

「う、腕輪?」

「22歳以上になると都市の政府機関からもらえるやつだ。それを見せれば雇ってやる」


この人間種(ヒューマン)のなかでも最大都市「アルドヘイム」では男性の基準年齢22歳をこえた場合により労働許可証でもある青い腕輪が発行される。当然その条件に満たないどころか、この世界に来て1ヶ月もたたない達也は住民票すらないのだ。


「やめた。やっぱり他あたるよ」


達也はふて腐れて、そっぽをむく。


「他も同じく働くには腕輪が必要だ。どんなに魔法の才能があったとしても、無理なものは無理だろうよ」

「ぐっ…た、頼む!1ヶ月…いや1週間だけでもいい。ここで働かしてくれ」


両膝と両手と額を地面にこすりつけて土下座をする。ドラマなどでよく見るシーンだが、まさか自分がやるとは夢にも思わなかった。


「見ず知らずの俺を助けてくれた女の子がいるんだ。その子にどうしても恩を返したい…だ、だから…!」

「無理なものは無理だ。早く家に帰んな」


ガインの冷たい一言が放たれる。達也はわきでる怒りを抑えるので必死だ。


「あ〜あ…そういえば依頼されてた荷物、今日中に港まで運ばなきゃいけねぇんだよな〜どこかに小遣いやっから手伝ってくれるガキとかいねぇかなあー」


咳ばらいをしながら達也のほうをちらちら見る。雇うのではなく手伝いという形で働かせてくれるのだろう。


「わかった、おっさんのところがダメっていうならあきらめて帰ることにするよ。おっさんがケチなクソ野郎だったってこともわかったことだしな」

「はっ?いやいや…おめぇ人の話聞いてんのか?」

「港まで荷物運んでくれるガキ探してんだろ?俺を雇わないくせにいい差別もあったもんだぜ」


達也は話を聞き逃しているわけではなかったが、肝心な部分を読みとれていない。

まるでラブコメの主人公並の鈍感さである。


「いや聞いてたのかよ!てか気づけよこの

クソガキ!」

「な、何をだよ」

「はぁ…もう言っちまうけどなこの荷物を

今日中に港まで運べ」


あきれてつっこむ気力すらないようだ。


「もしかしてそのガキって俺かよ!」


こうして俺の異世界バイトが始まった。


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