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7話「アルキナの予言」

「おいおい…別にとって食うわけじゃねぇよ」


男は軽鎧(けいがい)に身を包み、顔はフードで覆っていてよく見えない。服装からして国の兵士なのだろうと推測はできるが…だとしたらなぜ歴史博物館のような場所にいるのだろうか?


破滅(アルキナ)の予言…そう言われちゃいるが、誰か書いたかも不明な上にこの200年間何も起きちゃいねぇ。世間は嘘っぱちだとか、ただの空想だとかほざくがな…」


兵士姿の男は、こちらの態度を気にせず話しながら近づいてくる。どうやら敵意はないようだ。達也は黙って男の話しを聞いていた。


「俺はこの予言が必ず起きると確信している」

「それはなぜなんだ?」


男の口から意外なセリフが出てきたためか、達也は思わず疑問を男に投げかける。


「それはだな…」


リリリリリッ

男は答えようとするもそれを遮るかのように

着信音ようなものが鳴り響く。俺携帯なんて持ってきたっけ?


「イケメンで頼りがいがありすぎる俺に何か用か?」

「なーにーをーしてるんですかぁ!!隊長」

「げぇ!?この声はテイルか。俺、非番なはずだよな?そんなまさか今日仕事日とかじゃないよな!?」


こちらとの話しをそっちのけにし、男は耳に手をあてて誰かと会話をし始める。本来なら誰にも聞かれないように話す物なのだろうが

男の話し相手が大声で怒鳴っているためか、

会話内容がダダ漏れである。


「そのまさかですよ…」

「ま、マジかよ…」


隊長と呼ばれる男はテイルという人物の声を聞いて顔色を変えているのが、なんとなくわかるような気がした。


「じゃあな少年、また会おう!」

「まっ、待ってくれ!」

「なんだ?手短に頼むぞ少年」

「少年じゃない達也だ。あんたの名前は?」


俺は早速と立ち去ろうとする男を呼び止める。せめて名前ぐらいは聞いておきたいし、

さっきの話しも終わったわけではない。


「達也か…力強くて良い名だ。俺はアイズ・ナグリュス・マスタース…アイズと呼んでくれ」


被っていたフードを取り、アイズは自分の

名を告げる。年齢は20代後半くらいで、童顔というわけでもないがすっきりとした顔立ちだ。アイズは足元に術式を素早く書くとそこから一つの扉が現れる。


「達也…君とはまた会えるような気がする。

そのときはまた話そうぜ」


そう言い残すとアイズは扉を開け奥へと進み、消えてしまった。


「面白い人だったなぁ。さてそろそろルファナを起こしにいきますか」


すぐに戻るとルファナはすでに起きていて本を読んでいた。


「達也さん遅かったですね。さぁ行きましょうか」

「大事な話しがあるんだ」

「へ?」


そうだ、俺はこのさいにハッキリさせなければならないことがある。


「ルファナ…もしかして俺を奴隷として売るつもりさらさらないよな」


ビクゥ!

ルファナは図星をつかれたのか軽く飛び跳ねる。とてもわかりやすい反応だ。


「そ、そんなことないですよ」

「ホントかな」

「ホントです!」


ルファナの目が泳ぐ。


「じゃあなんで服買ってくれたの?」


ビクッ


「毎日ご飯作ってくれたり」


ビクゥ!


だからわかりやすいっての。


「こんなこと、普通しないよね」


ルファナは諦めた様子でこちらを向き、話し出す。


「私…今まで店で奴隷を扱ったことなんてありませんでしたし、そんなことをしてまでお金を稼ごうなんてしたくないです」

「じゃあなんで急に…」


奴隷を売ろうと思ったの?という言葉を思わずいいかけてしまいそうになる。


「いつも通り店番をしていたら、異種族の奴隷が入ったから扱ってみないかと言われたんです。

最初は断ろと思ったんですが、奴隷としての人生を歩ませるくらいなら私が引き取ろうと思ってですね…」


もし、その言葉が本物ならルファナは俺の考えを

受け入れてくれるかもしれない。


「そしたら、達也さんは私を拒むどころか優しくしてくれるんですもん。誰かに売ろうだなんてできるはずありません」

「じゃあ…俺が買うって言ったら?」

「はい?」


ルファナは目を皿のように丸くする。


「だから、俺自身を自分で買うってこと」



7話「アルキナの予言」完

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