強引に
2→23
3→9
4→15
6→9
7→9
9→15
10→23
11→15
13→15
14→9
15→13
22→23
23→15
24→15
ディスプレイには、大きく「15」という数字が現れていた。
篤夫が、目を見開いた。
「な…っ?!なんでオレなんだ!!」
『№15が追放されます。』
パッと照明が消えた。
「なんでオレなんだ!!くっそう、人狼め!人狼だな?!人狼の奴が、オレを追放したんだな?!」
そう言っている間には、大きな機械が動くモーター音が響いている。
「…なんだって?」
司が、戸惑ったように言う。隣りの郁人が、何か言っている。
「篤夫?なんだって、お前なんだよ、役職者か?おい…」
「うわああああああ!!」
篤夫の声が、下へと尾を引いて消えて行く。
開は、眉をひそめてそれを聞いていた。余計なことを言っている…が、こちらは英悟が伏線を張っているし、それを元に話をしよう。しかし、光一と壮介が言い訳が難しそうだ…。
パッと、照明が復帰した。
篤夫が居た、15の席が椅子ごとなくなっていた。
司が、呆然と皆を見回した。
「なんで…なんで篤夫だ?篤夫に入れたのは、誰だ?」
「オレだ。」英悟が、真っ先に手を上げた。「言ったじゃないか、篤夫が狐の可能性ってのを。慎一郎の黒は吊縄消費せずに死んだんだし、修が占ってない篤夫も、この機会に吊っておくべきじゃないかって思ったんだ。最初からあいつは結構偏った考え方だったと、オレ目線思っていたし、他にも何人か入れてるってことは、同じように考えたヤツが居たってことだろう。共有はあちこち意見がフラフラするし、オレも自分で考えなきゃならないなって思ったんだ。自分の票は、自分で責任を持とうと思っている。」
司は、グッと黙った。角治が、息をついてディスプレイを見上げた。
「そうだな。英悟の他に5人が篤夫に入れているし、確かに一人吊縄を消費せずに済んだんだ、一人ぐらい好きに投票して吊っても良かったかもしれない。それにしても…慎一郎が真だと思ったら、篤夫の黒も狐もあり得ないはずだろう。この6人は、修を信じているってことなんだな?」
しかし、光一が首を振った。
「いや。いきなりだったし、何も考えられなくて慌てて打った。壮介だってそうだろう。」壮介が、光一と目を合わせて、頷いた。光一は続けた。「今日は舞花で決まりだと思っていたからな。あいつが吊れないと思ったら、パニックになったんだ。本当ならグレーの中で誰かって思ったんだが、さくらも椎奈も白いじゃないか。グレーだからって吊ってしまうのは怖いと思って、うるさかった篤夫に思わず入れてしまったが…考えたら、慎一郎の白だったのにな。」
征司が、はあとため息をついた。
「オレは、どっちが真占い師か知るために、光一か壮介を吊ろうと思ったんだ。そうしたら、明日になったら白か黒が分かるじゃないか。白だったら、オレ目線修は狂人で慎一郎が真占い師で確定だ。だから、これから迷うこともないだろうと思って。みんなそんな風に考えるんだと思ったのに、案外少なくて驚いた。共有はグレーに入れてるし、皆の意見が割れたからこういう結果になったんだな。ま、これが多数決ってやつだ。何事も、自分の思い通りにはならないな。そもそも、今回は話し合う時間が全くなかった。」
司は、自信なさげに下を向いた。
「だから…オレ達だって、万能じゃないんだ。村人だってわかってるだけで、何の能力もない。だから、分からないことだらけなんだよ。」
郁人が、呆然としていたが、我に返って言った。
「おい、まさか篤夫は狩人か?!なあ、あいつの死にかたは、そうじゃないのか!どうするんだ、役職があったからあいつはああして叫んで死んで逝ったんじゃないのか!」
司と角治が、同時に首を振った。
「違う。篤夫は、狩人じゃない。だが、あの慌てよう…それに、人狼を村人とは別の視線で見ているような、そんな言い方だった。もしかして、狐だったんじゃないかって。でも、そうなると慎一郎は偽になる。優花が殺した意味が分からないし…。」
征司は、大袈裟にため息をついた。
「ほらみろ、やっぱり修の黒を吊っておいたら良かったんだ。そうしたら、オレが明日見ることが出来たのにさ。このままじゃ、村人はツムんじゃないのか。今夜は、オレに護衛が欲しいぐらいだよ。」
それを聞いた開が、顔をしかめて言った。
「自分のことしか考えてないじゃないか、征司さん。もうこうなったら霊能者なんてそんなに意味がないように思う。人狼と村人の勝負になった時、共有者が二人生き残ってた方が票を合わせられるしいいと思うんだ。そもそも、舞花が真霊能者だった可能性だって僅かながら残ってるんだ。あなたが真だって判断する材料はまだ無いんだからな。」と、言ってしまってから、ハッと司を見た。「そうだ、司さん。舞花の様子を見ておいた方がいいんじゃありませんか?多分死んでいるんだろうけど、もしかしてってのがあるから。」
司は、確かにそうだと、立ち上がった。
「そうだった。もう人数は今ので13人になってしまったが、とにかくは一度、みんなで確かめに行こう。21番の部屋へ。」
皆が、頷いた。もはや、死体を見たくないと言うような人は、一人も居なかった。ただ、これを早く終わらせたい一心で、このゲームを淡々とこなすことだけを考えているように見える。
開は、頷きかけて来た光一と壮介と共に、階段を上がって司について行ったのだった。
やはり舞花は、シーツの中で死んでいた。
目は開いたまま、脈も呼吸も止まっていたが、苦しんだ様子もなく、舞花自身が死んだことに気付いているのか疑問なほどだった。
みんな、無言のままショックも受けた様子もなく、舞花にまたシーツをかけて、そこを出た。
開は、さっさと部屋へと戻った。
このまま外出禁止時間になっても、人狼の行動時間に何でも食べることが出来るので、焦る必要は無かった。ただ、さくらに今日の護衛先を指定しておかねばならないと、英悟と光一、壮介と話し合った結果、普通にこれからは、人狼の開か英悟を護衛するように、とだけ指示を出すことにした。もしかしてさくらが不安になってばらしたとしても、光一と壮介が人狼だということは、さくらには分からないだろうということからだった。
もちろん、村人と一緒に推理をされたら分かるかもしれないが、その時にはこの世に居ないだろうと思われた。
いつもの時間になり、自分達人狼の部屋にもかかっていた鍵が、開錠されるのを聞く。
開は、ためらいなく廊下へと足を踏み出した。
見ると、英悟、壮介、光一が出て来てこちらを見ていた。いつもなら、このまま階下へ行って誰を襲撃するのか念入りに打ち合わせるのだが、英悟が進み出て、言った。
「征司だろ?あいつが、いろいろ結果を出したら面倒だ。真だと証明は一生出来ないだろうが、今のうちに始末しよう。」
それには、光一も頷いた。
「ああ。今日は征司だな。明日からは共有を殺るぞ。そうやって、村人同士の疑心暗鬼を煽って行こう。で、今日は誰がやる?」
壮介は、横から言った。
「オレが。」皆が壮介を見ると、壮介は苦笑した。「順番だろう?昨日は英悟だったんだ。オレも、死ぬまでに何かの役に立って置くよ。」
光一が、壮介の肩に手を置いた。
「オレも行くよ。初日は、慎一郎と一緒に行ったが、オレは見ているだけだった。オレだって何もしてないんだ。」
英悟は、息をついてバツが悪そうな顔をした。
「オレだって、何も覚えちゃいないんだ。開が、こっちを噛めって言ってるのと、もうやめろって言ってるのだけ覚えてる。その後は興奮したようで、気が付いたら朝になってて、口の周りを血だらけにして倒れていた。慌ててシャワーを浴びて血を流したが、本当に人狼になったら頭が働かないんだ。」
開は、それを聞いて困ったように笑った。確かにそうだった…やる気だけはあるようで、さっさと先に進んで行ったが何も頭が働いてないようだった。英悟を扱うのは、ほとほと苦労したのだ。
「今日はどんな感じですか?我を忘れそうなら、部屋へ入ってた方がいいんじゃ。」
英悟は、首を振った。
「抑えることが出来るようになって来たんだ。今日は大丈夫な気がする…すまないが、オレを見張っててくれないか、開。暴れそうになったら、部屋へ放り込んでくれ。」
開は、困ったが本人がそういうのならと、渋々頷いた。壮介が、それを見てまた苦笑しながら、腕輪を上げた。
「じゃあ、襲撃先を入れる。準備はいいか?」
残りの三人は、固唾を飲んで、頷いた。そう、襲撃先を入れたら、途端にその番号のロックが外れ、そして自分達には人狼へと変化する薬が流れて来る。慎一郎いわく、慣れて来たら自分の意思で人狼とヒトを行ったり来たりすることが出来るようだが、人狼になりたてほやほやの4人には、まだ無理な事だった。
壮介が、サッともう慣れた手つきで6番を入れる。
途端に、体が内側から燃えるように熱くなり始め、開は自分が四つん這いになるのを感じた。




