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昼の会議4

理由は様々だったが、結果は、こうなった。

舞花が怪しい→慎一郎、司、貴章、征司、恭一、進、篤夫、郁人、園美、千秋、光一

篤夫が怪しい→壮介、修、開、英悟、舞花、さくら

千秋が怪しい→角治、椎奈、優花

進は、それを見て何となく理由は分かった。皆が一様に言っていたのが、舞花は役職に出ている中で怪しいから狐だろうという判断と、篤夫は英悟とやり合ったので人狼か狐ではないか、ということ、千秋は単に全く意見を出さずに黙っているだけなので、潜伏している狐っぽいという理由だった。

「うーん、難しいな。」角治が、結果を見て言った。「しかしこうして見ると、篤夫に入れてる奴らは慎一郎を信じてないってことか?篤夫は、昨日慎一郎に占われてるから、狐じゃあり得ないんだよな、慎一郎が真だったら。」

光一は、ハッとしたような顔をした。

「そうか、そう言えばそうだな。」と、隣りの英悟を見た。「そういうことか?」

英悟は、息をついた。

「いや、そこまで考えてなかったが、それでもあんまりにもオレに突っかかって来るから狐っぽいなと思っただけで。もしかしたらオレを陥れようとした人狼かもしれないし、どっちにしても、篤夫さんは敵陣営だと思ったのでね。」

修が、言った。

「オレは、慎一郎は絶対に真占い師でないのを知っている。だから、それに占われてるからって、篤夫が除外されるなんてあり得ないし、もしかして慎一郎が狐で、もう片一方の狐を庇うために占ったふりをしてるんじゃないかって思ってるぐらいだ。だからそうなると、皆が怪しんでいる舞花は狂人ってことになるが、それも有りじゃあないかって思い始めている。」

進は、そう言われてみるとそうだ、と思った。あり得ないことではないのだ。今の状況では限りなく慎一郎が真に近いのだが、修の話を聞いていると、一本筋が通っている。考え方にぶれがないので、これもまた、真占い師ではないかと思ってしまう。

…だが、そうなると狐は…。

「…困ったな…村の意見だと、誰と誰が狐なのか分からない。」

進が思わずつぶやくと、それを聞いた角治が、大きく頷いた。

「そうだよな。上位二人をとりあえず投票対象にって思ったんだが、その二人がお互いに入れ合ってるし敵同士なほどやり合ってる。だから、舞花と篤夫で狐ってのはあり得ないし、じゃあ舞花なら誰が相方なのか、篤夫なら誰が相方なのかって言われたら、確かに篤夫の相方なら慎一郎かとも思うけど、真占い師っぽいしなあ。出て来ないんだ。そうなると、あまりにだんまりの千秋が候補に挙がるのも分かる気がするしなあ。」

すると、千秋が必死に何度も首を振った。

「私は違います!みんなは先先いろいろ考えて発言出来てるけど、私には何が何だが分からないから、何も言えないだけなんです!どうしてみんな、そんな風に因果関係とかすぐに考えられて、誰がどうだから誰が人狼とか考えられるんですか?私…人狼自体よく分かってなかったし、今だって何を話し合ってるのか、本当に分からなくて…適当にみんなが怪しいって言ってるところに投票しただけなんです!」

進は顔をしかめたが、それでも気持ちは分かった。いきなり人狼ゲームと言われて、知らない人にとっては何をどう考えたらいいのかも分からないだろう。セオリーも何も、そのゲーム自体を知らないんだからそうなるかもしれない。

それでも、初めてなのは千秋だけじゃない。

進は、言った。

「しっかり考えなきゃダメだって、千秋。命が懸かってるのは分かってるだろう。他にも初めてこのゲームをして、混乱してる人は居るぞ。部長を見ろ、いきなり共有者で。慣れて来ていろいろ判断出来るようになって来たけどな。」

千秋は、下を向く。角治は、息をついて頷いた。

「そうだなあ、気持ちも分かるし庇ってやりたいがオレだって必死だ。怪しかったら皆を守るために投票するしかないんだよ。村人なら、頑張ってくれないか、千秋。」

千秋は、頷いた。それでも、何を言ったらいいのか分からないようだ。

修が、待ちきれないように、横から言った。

「みんな、狼が出て来て、光一が黒だって言ってるオレを信じてないだろう。」皆が、修の方を見る。修は、皆を見て立ち上がり、しっかりとした口調で言った。「オレに真占い師だと証明するチャンスをくれ。今日は、皆の意思に従って狐だと思われる人に投票する。だが、占い先は先に指定させてくれ。狐だと思われる奴を、オレは占う。呪殺を出して、皆に証明してみせる。」

修の目には、しっかりとした意思を感じた。進は、それを見て、何か直感のような物が働くのを感じた…修が、真占い師だ。

角治が、司を見た。司は、頷いて修を見た。

「わかりました。修さんに先に指定してもらいましょう。今の状態では慎一郎さんが有利だし、オレも慎一郎さんが真に一番近いかなと思っているぐらいだし。あなたがそこまで言うなら、呪殺を出して、必ず証明してください。ですが、何日も待ちません。占い師に手を掛けるとなったら、呪殺を出せていなかったらあなたが先に吊られるでしょう。それで、いいですか?」

修は、しっかりとひとつ、頷いた。

「それでいい。必ず、ここ数日で呪殺を出してみせる。」と、篤夫と舞花、それに千秋を見た。「それで、今日は誰を指定するんだ?オレは、今ここで占い先を選んでいいか。」

司は、ため息をついた。

「まだ分かりません。これが村の総意なので、この三人から投票ということになると思います。人狼も、間違いなく本気で狐を探しに来ていると思うので。」

修は、頷いて言った。

「じゃあ、この三人の中で、吊られなかった二人を指定する。その二人のうち、一人を選んで夜に占うよ。それでいいだろう。」

司は、頷いた。

「はい。じゃあ、慎一郎は、その他から選んで占って欲しい。」

慎一郎は、チラと修を見たが、慎重に頷いた。

「…わかった。じゃあ」と、英悟を見た。「昨日占ってない英悟と、そっちのおとなしい子…椎菜?さんの二人を指定する。」

司は、頷きながらメモにさっさとそれを記した。

「わかった。じゃあ、部長、どうしますか?」

角治は、どっかりとソファへと座って、言った。

「とにかくは狐を狼と一緒に殲滅作戦するってことだから、今君が言ってたように村人が怪しいと言った三人の中で選んで投票してもらおう。狼のことは、そうやってるうちに占い師が黒を出してくれたらどうにかなるだろう。なに、一人はもう出てるんだから、残りの潜伏4人を探せばいいんだ。こうして見てると、どう見ても白い奴らと、どっちか分からないほんとにグレーなヤツが混じってるし、すぐに見つかりそうな気がするけどな。」

皆が納得して解散ムードになって来ている時、舞花が、声を上げた。

「待ってください!」皆が、驚いてそちらを見る。舞花が、唇を震わせて立ち上がっていた。「それって…この三人って、私が圧倒的に票が多いじゃないですか?!私は、霊能者なのに!」

対抗霊能者の征司が、ハッと声を出した。司が、それを制して行った。

「じゃあ弁明の時間を取る。自分が真霊能者だって主張してくれ。それを聞いて、皆決めると思うから。」

舞花は、一瞬ひるんだ。

「え?そんな…じゃあ征司さんは、真霊能者だと証明できる何かがあるんですか?どうして、私ばっかり疑われるんですか?」

征司が、割り込んだ。

「自分が怪しいって分からないのか?あのな、初日に村人だとか言って占われたがらなかった後に、やっぱり霊能者です、占わないでって、明らか怪しいだろうが。占われたくない狐の行動だ。ま、利口な狐ならそんな目立つことはしないんだがな。」

舞花は、負けじと叫んだ。

「そんなつもりは!だったら今日占ったらいいじゃないですか!私は真霊能者なんですから!出方がおかしいってだけで、私を疑うなんて間違ってるわ!占ってもらってください、そっちの偽かもしれない修さんでなく、慎一郎さんに!」

角治と司は、顔を見合わせた。確かに、役職があるのにただ怪しいというだけで、吊るのは危ないかもしれない。何しろ、出方がおかしいというだけで疑っているのだ。

司と角治が考え込んでいると、慎一郎が口を挟んだ。

「じゃあ今のを考え合わせて、誰に入れるのか考えよう。投票で決めるんだ。共有がこれ以上絞る必要はないと思うぞ。何でもかんでも共有に求めるのはいくら何でもおかしいだろう。民意で決めた三人なんだから、その話を聞いて、意見を変えるなら投票で変えればいい。占い先は、まあ本人の意見がこうだから、どうするかは共有に決めてもらわなきゃならないが。」

角治は、少しほっとしたような顔をした。

「そう言ってもらえると助かるな。オレ達だって、村人と同じで何も分からないんだ…ただ、村人のために考えてるだけで、他と変わらないんだからな。今の意見を聞いて、今日の夜の投票に備えて考えてくれ。じゃあ、投票時間の10分前、19時50分にはいつもの番号の椅子に座っていてくれ。それまでに、もし何か話があったら遠慮なく話してくれたらいいから。占い先は、申し訳ないが修の言った通りにする約束だからな。今日は動かさない。それじゃあ、解散。」

皆が、バラバラと立ち上がってあちこちへとばらけて行く中、進は、じっと座って考えていた。

あの時感じたのは、直感だ。本当に直感でしかないが、進には、修が真占い師だと思えた。いや、知ったと言った方がいいぐらい、確信に近い形で、自分の中で固まった。修が、真占い師。じゃあ優花が人狼なのだから、慎一郎は狂人だろう。もし慎一郎が狐なら、恐らく優花がそうかもしれないと言ったはずだ。だったら、慎一郎の白の壮介だって、篤夫だって疑わなければならない。

だが、あくまで自分の直感でしかないのだから、皆にこれを言っても信じてはくれないだろう。

進がじっと考え込んで動かないので、恭一が立ち上がって突いた。

「進?行くぞ、みんな部屋の方へ行った。何かに気付いたのか?優花が狼だったのは驚いたが。」

進は、ハッと顔を上げた。

「ああ…あんなお粗末な人狼ってのも信じられないが、本人が言うんだからそうなんだろうな。にしても、あの三人の中に、本当に狐は混じってるんだろうか。みんなの話を聞いてるうちに、分からなくなってきちまって。」

恭一は、苦笑した。

「分かるよ。でも、今日の会議で決まったことだ。あの中から選ぼう。あとは、真占い師の仕事だ。」

進は頷きながらも、先に人狼位置も考えて、どこかに書き留めておこう、と思った。いつ襲撃を受けて自分が脱落することになるか分からない。自分が黒でなくなった以上、もう人狼には自分を噛むことに何の障害もなくなったからだ。万が一にも生きて帰って来れる希望を持つためには、村人陣営にどうしても勝ってもらわなければならない。自分の考えをせめて残しておかなければならないのだ。

進は人知れずそう決心すると、恭一と共に部屋へと戻って行ったのだった。

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