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残酷な願いへと続く

『永遠に一緒にいようね』


あどけないおさげの女の子が『約束』と言って自分の頭を撫でてくれた感触。

まだ耳に残っているこの言葉。

あの時の自分はただただ純粋にその言葉を信じていた。

余り深く考えずによく使われるこの言葉の本当の意味を知っているモノはどれぐらいいるのだろうか?

果てしなく続くと思われるこの永遠なんてモノはこの世にほとんどない無い。

まして言葉に出す『永遠の約束』なんて叶えられる訳無いのだ。

何故なら人の命は永遠では無いから。

一説ではそれ自身時間の内にありながら、無限に持続すると考えられ、時間の中にあっても時間とかかわりなく妥当すると言うから、人の言う永遠が自身の永遠と言うのなら、『永遠に一緒にいようね』は『死ぬまで一緒にいようね』と言う事になる。

それなら…。この約束を守る事は決して守れないモノでは無いはず。

…。…。…。そう…。守れないモノでは無かったはずなんだ。



「少しは落ち着いたか?」


窓際に寄りかかり目を細めて照り輝いている太陽を見ていたブレットはセルリアンの言葉にこくりと首を縦に動かした。


「……悪かったな」


先程までの獣の凄味は無くなったものの、まだ興奮冷めやらないようでブレットから溢れ出る妖力が完全には止められないようでぎゅっとペンダントを握り締めた。


「本当だ!こんなに部屋を滅茶苦茶にして!」


そんなブレットに九十九神が舌打ちしながら嫌味を言った。

九十九神や妖狐たちは霊力と妖力を使い修繕活動を行っている。

そこに小さなイタチ逹も加わっていた。

相変わらず気を失ったままの黒イタチは今だにイタチのままの姿でそのまま眠りについてしまったようで、部屋の隅でスースーと寝息を立てていた。


「いや。部屋を滅茶苦茶にしたのはほとんどお前の仕業だろうが、九十九!」


「下等妖怪の分際で我に歯向かうなど…。身の程をわきまえよ」


「だとー?」


またしても不穏な空気になりそうなのをセルリアンが手で制止した。


「これ以上私の学園内で暴れると言うならお前逹二人私が静粛するがそれでもいいのなら勝手にしろ」


セルリアンの凄みある迫力でそんな事言われてしまってはブレットも九十九神も言い返す事などできない。

悔しそうにぶつぶつ言いながら焦げた床を直し始める九十九神の背中を見やり、すっと深く息を吐くのを聞いてからブレットに問うてみた。


「さっきから気になってんだけど、お前がつけてるソレ。俺と同じペンダントだよな?」


何でも願いを叶える事のできる魔法の花の花ビラのペンダント。

これのおかげで俺はこの世界に辿り着きもう一度セルリアンに巡り会う事ができた。

しかし、どうしても体から取り外す事のできないこのペンダント。

他にもつけてるヤツがいるなんて思いもしなかった。


「ああ、おれちんは…ある女の子に願いをかけられ今ここにいる」


願いをかけられて?


「ああ。最も残酷な願いだったがな」


さっきも言っていた残酷な願いと言うフレーズが耳をつついた。






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