再会?
「セルリアンさまがあのような奴とお付き合いをしていたと言うのか?いや、そんな事ある訳が無い!あんな明らかに軽そうな男とセルリアンさまに合う訳が無い!」
青褪めたかと思えば急に赤くなったりと忙しく表情を変えている黒狐は持っていたままの黒イタチの尻尾をブンブンと振り回し始めた。
ようやく目を覚ましかけたイタチはクルクルと目を動かしてまたもや動かなくなってしまった。
いつも冷静沈着な黒狐がこんな風に取り乱すのは至って珍しい。
黒狐は時折セルリアン絡みになるとこうなる事がある。
「おい、貴様、おれちんの大切な弟に何しやがんだ?」
セルリアンに『今すぐに離れろ』と強引に腕をほどかれた見るからにチャラいその男はツカツカと大股で黒狐に近付き、逆さまのままの黒イタチを乱暴に奪い取る姿を見ると行動と言葉が適していない気はしたが誰も突っ込む事はせず、横暴に現れた侵入者の様子をじっと見守っていた。
黒イタチは気を失ったままの状態で床にポンと置かれた。
背丈は俺と同じぐらいか少し高いぐらいに見えるがよくよく見てみると履き物の底が厚く、あれで若干かさ上げされている気がする。
ふぅー、と小さく息を吐くと派手なサングラスを外し胸ポケットにしまい、深い朱色の瞳で言い放った。
「お前等もおれちんの弟達を自由にしろ」
九十九神と銀狐はしばらく自分達が手に持っていたイタチを眺めていたが仕方ないと言うように彼等を床に離した。
自由になった二匹は嬉しそうに尻尾を動かしソイツの元へ駆け寄った。
「おお、お前等大丈夫だったか?こんなに苛められてかわいそうにな。よしよし」
屈んで二匹を抱き締めると二匹の姿が白銀の煙幕に包まれ、次の瞬間人間の男の子の姿になっていた。
「怖かったよぉー、ブレット」
「もっと早く助けに来てくれると思ったのにぃ」
ソイツと全く同じ色の瞳で真白のサラサラな髪をして白のブラウスに黒いハーフパンツを履いた男の子とツーブロックにした茶色の髪をヘアピンで止めて同じ服装の男の子が目に涙を溜めて訴えていた。
「ああ、ごめんな、こう言うのって登場が大事だからいつ出ようか考えてた、でも、お前等が頑張ったおかげで我が妻セルリアンと熱い抱擁を交わす事ができた、ありがとよ」
その言葉を言い終わらないうちにソイツの顔が歪み大袈裟に頭を抑えた。
「ふざけるな、ブレット、誰が熱い抱擁だ?」
セルリアンが置いてあったぶ厚い教本で頭を叩く音が鈍く響いてた。