表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/104

セルリアンのお部屋

「ここが私の部屋だ」

セルリアンに案内されて、入った部屋はあまり物が置いていない、ただただ広い部屋だった。


この部屋に来る前に乗った小さな箱の感覚が気持ち悪かったせいもあり、取り合えずオレはその場に座り込んだ。


「何をしている? 早くこっちに来い」


セルリアンは部屋から外の景色を見下ろしていた。

ここでも不思議な現象が……。

空には星が無いのに、見下ろす景色に星がたくさんある。

星なのか?

色鮮やかな明りがキラキラと外を覆いつくしている。


「キレイだな」

オレの言葉にセルリアンは頷いた。

「いつかこの景色をお前と見たいとずっと思ってた。今日やっと夢が叶った。そうだ、そうだ」

セルリアンは何かを思い出したように、オレから離れて、今日手に入れた丸いワッカを持ってきた。


「ちょっとここに座れ」

セルリアンに言われるままに、オレは背もたれのある茶色の椅子に腰かけた。

やたらとフカフカして座り心地が良かった。

セルリアンは、オレの首にそのワッカを回した。

革のイヤな匂いが鼻をついた。

ぎゅっと首を締め付けられる感じがして、

「うっ」

と、小さく声が出てしまった。

「きつくしすぎたか?悪い。」

何だ? これは一体何だ?

「よし、できた。見てみろ似合うぞ」

セルリアンに渡された、手鏡で自分の姿を写してみると、首にぴったりと赤い丸いものがフィットしていた。

「これは何だ?」

「お前が2度と私から離れないようにするものだ。これから、私はちょっと出てくるから、お前は部屋で待ってろ」

「出てくるって? どこに?」

さすがに一人にされるのは心細くなり聞いてしまう。

「大丈夫だ、すぐに戻ってくる。ちょっと片付けなきゃならないことができてな。まぁ、私が行くまでも無いとは思うが、今夜のは久々に大仕事になりそうだから」

オレはまだ不安な顔をしていたのだろう。

セルリアンが、よしよしと言うようにオレの頭を撫でて言った。

「私はこの先何があってもお前から離れたりしない。だから、お前も自分の部屋で大人しく待ってろ」


自分の部屋?

ここの部屋では無くて?


不思議に思っていると、セルリアンが指差した先には、人一人がギリギリ入れる檻のようなものがあった。


「いつかお前に逢えると信じて、お前のために特注で作らせたサークルだ。私がいない間ここから一歩も外に出るな。分かったな?」


こんな広い部屋に置いてあるせいか、その檻はとても小さく見える。

しかし、有無を言わせないセルリアンの言葉と、もう2度と離れないと約束の直後にオレに拒否権は無いと察し、オレは大人しくその中に入り、セルリアンが鍵を掛ける様を黙って見ていた。


オレ、ここでやっていけるのかな?

心細い気持ちでいっぱいだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ