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メッセージ

ピンコン。

エアコンがガンガン効いている快適な部屋の中でこれまた快適な通知音。

その音が鳴ると、セルリアンは決まって嬉しそうに、先週買ったスマホに触れて、操作する。

すると、またピンコンと通知音が鳴り、セルリアンのスマホへの操作が始まる。


「飽きないのか?」

オレの素朴な問いに、セルリアンは怪訝そうに、ちらっと見た。

「そう言えば……、ラビルお前から連絡来たこと無いな」

不満そうに唇を尖らす。

「連絡ったって、毎日一緒にいるんだからするする必要ないだろう」

一緒に暮らして同じ学園に通ってる上に今は夏休み。

「用があれば直接言った方が早いだろう」

ふぅーと長く息を吐き、

「ラビル……、私はお前の事が大好きだ。正直お前がいれば何もいらない」

オレの横に立ち、細い指先でオレの髪に触れる。

「お前は私のことどう思ってる?」

急に顔を近付けじっとオレを見つめた。

「え、いや、す、好きだよ」

「嬉しいよ……、けど、言葉ってとって置いて後で見返すことできないだろう?だけど、メールやラインならずっととっておける。見返して、ああ、あの時こんな事言われたなって幸せになれる」

そんな物なのか……。オレにはあまりいい感じがしないが……。

後でその言葉を見てニヤニヤしてるセルリアン、また、その場面を開いて、『あの時こう言っただろう?』とオレに付き出してくるセルリアンが見える。


ピンコン。

またすぐに通知音。

セルリアンは嬉しそうにスマホを開いた。

しばらく沈黙。

そして、難しい顔つきでオレにスマホの画面を見せてきた。


「ラビル、最近知らない者からメッセージが届くようになったのだけど、どう言うことだと思う?」

オレに見せられても……。

あの日、確かに一緒にスマホを購入しに行ったが、オレはまだ一度も触れていない、箱から出さずにそのまま締まってある状態だった。

スマホの画面の宛先には。

『unknown 』

本題には。

『助けて』

の文字。

「何かの間違えであるならいいのだが……」

そう言って、しばらく考え込むセルリアン。

「まぁ、しかし、すごい時代になっとものだよな。こんな小さな機械で誰とでもすぐに連絡がつくようになるなんて」

この機械があれば1000年前、瀕死だった状態のオレはセルリアンに連絡することもできただろう。

セルリアンを悲しませることもずっと待たせることもなかった。

……?

いや、そうなると、あの時オレは事切れて、結局セルリアンを悲しませることになったのか?

やはり、運命は変えられないと言うことか……。


セルリアンは納得がいかないようで、まだスマホをいじっていた。


すると、またピンコンと通知音。


画面を見たセルリアンの表情が一瞬凍りついた。


「セルリアン?」


「……、ラビル……、これは間違いでもイタズラでもなかった……」

そこで落ち着かせるように一息吐き、


「蒼紫からのメッセージだ」

ゆっくりと言ったその言葉。


蒼紫って誰?







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