表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/104

休日ショッピング

「あそこにも可愛い服あるわよぉー」

金狐がいつにも増して高い声を出して、はしゃいでいた。


ある日の週末。

オレとセルリアンと黒狐と金狐とデパートに来ていた。

本当はオレとセルリアンの二人で行くはずだったのだが……。

まず、部屋を出たところを黒狐に見付かり、

『デパートに二人で行く?今日は日曜だぞ?オレも一緒に着いていく。セルリアンさまの護衛として』

などと言って着いてきた。

その後、マンションを出たところでコンビニ帰りの金狐と出くわし、

『デパートぉー?ちょうど今バーゲン始まったとこよね?私も行くからちょっと待っててぇ』

と言われ、こいつも着いていくことになった。


「うわぁ。やばい、やばいぃ。どれも可愛すぎるぅー、ねー、セルリアン、これなんてあんたにも似合うんじゃないのぉー?」

さすが女だなー。(正確にはオカマだが)

ショッピングをしているときのこいつの目、キラキラだ。

しかし、一方のセルリアンが金狐を見る瞳。

「ゾーラ、勘違いするなよ。私はまだ許した訳じゃないのだからな」

「私ぃ。何かしたっけぇ?」

セルリアンのドスの聞いた低い声をするりと交わし、アパレルの店の入り口に並んでいるワンピースを物色し始めた。

「忘れたとは言わせない。貴様、私のラビルに何をしたか?一生許さないぞ」

何枚かのワンピースを手に取り、鏡の前であわせていた、金狐は、ああと声を出した。

その『ああ』と言う低い声は、地の男の声だった。

金狐にとっては、記憶の片隅にも残っていなかった全然大したことのないことだったのだろう。


「ひょっとして、天狐にキスしたことぉ?まだ根にもってたのぉ?そんなにしつこい女は嫌われるわよぉ」

セルリアンのこめかみに、怒りのマークが現れたのが見えた気がした。

「金狐、お前、誰のおかげでこうして暮らせると思ってる?お前の存在なんてその気になれば一瞬で消せるんだぞ」

「はぁー?やる気なのぉ?」

おいおい、せっかくの休日にこんなとこで女同士の争いなんて見たくない。

「セルリアンさま。今日は何しにここへ来たのですか?」

黒狐が二人の間に割って入ったことたとで、まだまだ亀裂が走ってたいたが何とか修まったようだ。

「実はな、携帯電話などと言うものを買いにきてみた」

「携帯電話?ですか?」

黒狐はきょとんとした顔をした。

「前に進めた時、セルリアンさまは必要ないとおっしゃったものですよね?」

「確かに、あの時は……。ただ万が一ラビルと離れた場合、あった方が便利かと思ってな。ラビルにもシュバルツお前のようなテレパスがあれば良かったのだが……」

天狐のためか……。小さくそう言うと。

黒狐は怪訝な顔をして、セルリアンに分からないように舌打ちをした。

だが、さすがにセルリアンに忠実な黒狐。

「分かりました。セルリアンさま。携帯電話の売り場は一階ですね、案内いたします」

そう言って、エスカレーターを指差した。


「えええ?もう行っちゃうのー?まだ試着もしてないのにぃ」

金狐の言葉を背後に残し、オレたちは黒狐の後に続いた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ