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妖怪?現る

夜の校舎は静けさに包まれていて、ちょっとした物音も大きく響くほどだった。

夏にしては、涼しい夜だった。


「妖怪退治にはもってこいの夜だな」

セルリアンは言い方は楽しげだったけど、手は俺の服の裾をぎゅっとつかんでいた。

だが、オレがその手を握ると、

「夜の校舎でラビル、お前と二人きりなんて何かぞくぞくするな。ああ、ラビルこのままお前の全てを壊したくなる」

ああ、やっぱりいつものセルリアンだ。

「おい、しかも二人きりじゃないから」

オレはオレたちの後ろにいるシブロを指差した。


オレとセルリアンとシブロは 一年C組の教室に来ていた。


この三人の組み合わせって珍しい、と言うか初か‼

てか、シブロって今までまともな会話したこと無かったな。

考えてみるとシブロって一番謎の存在の気がする。


「で、ここに何しに来たんだ?」 

「お前は本当鈍いな。昔の神通力は完全に消えたらしいな」

くっ……。

オレだって元の力を取り戻したいさ……。

「神松は、この机を可哀想と言ってた」


確かに……。


『私の可哀想な机、ロッカー、下駄箱……』


そう言ってた。


「普通、机などに可哀想と言う言葉は使わないよな」

「……」

「しかし、神松は机やロッカーなどに可哀想と言っていた。それが、彼女はどのぐらいの気持ちをこめてその言葉を使っていたのかは分からないが……」


そこで、セルリアンは、油性のサインペンで落書きされた机を触り始めた。

「通常生命の無い、こんな机などにも命が宿る場合がある……と言うと少し語弊が生じるが……九十九神を知ってるか?」 

「九十九神……、ああ、 物が100年経つと精霊を得て九十九神変化することがあるって話だろ?あれって迷信じゃないのか?」

何故?今?九十九神の話?

「迷信は時に真実となる」

「?言ってることが……」

「この机に九十九神が宿ってる」

この机に?

「じゃあこの机は100年前のってことか?」

「いや、そんなアンティークな物じゃない。希にだが、物を大事に扱うと九十九神が宿る場合がある。きっと神松は感受性が強い子なんだろう。机やロッカーが傷つけられる度、自分が傷つけられると同じぐらいその物にも哀れみをしめしていた。そのせいで、この机に九十九神が宿ってしまったのだろう」

セルリアンはそこで一息つき、

「物が御度オーラ)を宿すと、御度の強さによっては、様々な働きをするようになる。放っておいて大丈夫なら、何もしなくていいが、どうもこの九十九神、神松に依存している気がする。神松がいじめられればいじめられるほど、この九十九神は強くなり、そのいじめていた人間たちを許さなくなるだろう。そうなると、神松のことも心配だが、神松をいじめていた人間たちにも裁きがいくだろう」

九十九神か……。

神って名前がつくほどだから、いい物の気がするんだが……。


オレが机に触れると、机が激しく揺れだしオレンジ色に包まれた。


何だ、この強い気は……。

目映い光の中、机の上に何者かが浮いているのが見えた。


お、女?









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