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依頼は…。

「まぁ、今のは軽い冗談だ」

セルリアンはそう言うとキャンディーをかじり始めた。


「確かにラビルが他の女を見ると、首がきつくなったり、電流で苦しむ姿は見たかった気もするが……。だが、しかし……。やはりラビル一人をC組に行かせるのは私には無理に決まってるだろう」

小さな子供がイタズラをするときのように、にやっと笑ってセルリアンはキャンディーを全て食べた。

とりあえず、良かったのかな……?


「学校内の事は、学校内のこと。私の学園にいじめなどあってはならない」

セルリアンは窓の外を見て、ポツリと言った。


「それに、今回の事件一筋縄ではいかない予感がする。まさかとは思うが…。あやつが……?」


謎めいた言葉を言ったかと思うと、それを誰かに聞かれていなかったか、辺りを見回して、胸を撫で下ろし、


「シュバルツ、食事の用意をしろ。ホアンとその娘も何か食べて行くがいい」


そう言ったセルリアンであったが、ほんの少し見せた暗い影が気になり、オレはセルリアンに近付いた。


「セルリアン?何かあったか?」

セルリアンは、びっくりしたようにオレを見上げ、

「いや、何でもない。気にするな。だが、何かあった時は、お前の力が必要になるかもしれん」

オレの力…?

「まぁ、心配するな。私は無敵だから大丈夫だ」

こんな細い肩でそう言いきる、セルリアンが急に心配になり、無意識のうちに肩を抱き寄せていた。


「ら、ラビル?」

「あ、ごめん」


何かを落とした音とガラスの割れる音がした。


「申し訳ございません」

シュバルツは慌てたように、片付け始めた。


本当に無意識だった。


無意識のうちにセルリアンを守りたいと思っていた。


何故、オレはこんなに長い時間。セルリアンを一人にしてしまったのだろう?

その間、セルリアンはずっと一人で全ての苦しみや悲しみに耐え抜いて生きてきたのだろう。

こんなに細い肩で……。

こんなに頼りない瞳で……。

もう2度とセルリアンを悲しませたくない。


オレは誰にも気付かれないように、セルリアンの手を握った。






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