小人捕獲2
「ラビル、捕獲したぞ」
部屋の中で、満面の笑顔でオレに瓶に入れた小人を見せるセルリアンだけど、オレには何が何だか…。
「てか、オレいらなくない?」
空しい独り言は誰の耳にも届かずふわふわと宙をさ迷っていた。
「小人捕まえた?」
ベッドで本気で眠りかけていたホアンが、両目を擦りながらむにゃむにゃと聞いてきた。
「ああ、捕まえたぞ。さぁ、ラビル。二人きりで祝杯を上げよう」
セルリアンはホアンにさらっと言うと、弾む口調でオレの腕に自分の腕を絡ませてきた。
そして、ドアを開けると……。
「終わりましたか? セルリアンさま。お疲れさまでした。」
黒狐の出迎え……。
何故ここに?
「お部屋に夕食の用意をしております」
お前、一体いつからそこにいるんだよ?
てか、ますますオレいらなくない?
「ご苦労。ちゃんと私とラビル二人分だろうな?」
確認するように言うと、黒狐は面白く無さそうに、ちらっとオレを見てから、答えた。
「もちろんです」
「ラビル。今日は部屋でこの間の続きがようやくできるぞ」
この間の続き……。
あ。
そう言われて顔が熱くなるのが分かった。
「恐れ入りますが、セルリアンさま。まずは、小人から盗まれた指輪を返してもらう事が先決だと思いますが…。」
セルリアンの顔色を伺いながら、黒狐が恐る恐る言ってきた。
案の定、セルリアンはプクっと頬を膨らませ、
「お前…。何度言えば分かる?私とラビルの邪魔はするなと言っているだろう」
鬼気せまるセルリアンの表情。
「そ、それは察しております。ですが、しかし、契約書が書けるのはセルリアンさまだけですし。天狐と祝杯あげるのであれば、全ての仕事が終わってからの方が何の邪魔も気にせずに二人きりで過ごせるのでは? と、思います」
セルリアンは、じっと黒狐の顔を見て、深いため息を吐いた。
「仕方ない。ラビル……。少し待っててくれ。全て終わったら、この間の続きを…。って、ラビル。歩くのが早いぞ。常に私の側にいろと言っているだろう?私から少しだって離れるな。ああ、ラビル愛しているぞ。くそ、私たちの愛を邪魔するこの忌々しい小人め、今すぐにでも握りつぶしてしまいたい」
セルリアンならやりかねないな、かわいそうに。
とほんの少し小人に同情してしまった。