小人捕獲
てか、三人がクローゼットに入るって狭すぎだろ?
セルリアンとかなり密着の状態で鼓動の音が聞こえてしまうのじゃないかと思うぐらいの距離にいた。
「ラビル、私は嬉しいぞ。お前とこんなにくっつけるなんて。嬉しすぎて今すぐお前をバラバラに壊してしまいたい。……、そんな幸せな気分なのに、何故お前まで私の側にいる?」
セルリアンは不服そうに赤狐を睨んだ。
「仕方ないだろう?」
「今回ラビルがいるんだから、お前は必要ないだろう!」
「は? 今のそいつは神通力も千里眼も使えないただの人間なんだぜ。オレの方が百倍役に立つつーの!」
二人のやり取りを聞いていると、やはりオレは必要じゃなかったのでは?
と思ってしまう。
オレ、何でここにいるんだろう?
小人なんて低俗なもの昔のオレなら、一瞬で捕まえることできたのに。
赤狐の言う通り、今のオレはただの人間。
それだけの存在。
それでも、今のこの状況は小人を捕まえるには良くないと思い、
「あのー。こんなとこで言い争いしてたら、小人は出て来ないんじゃないでしょうか?」
おずおずと言ってみた。
二人は顔を見合せ、不満たっぷりの顔でお互い各々視線を違うとこにずらした。
ここの世界に来て思ったこと。
セルリアンとこの狐たち。チームワークがいいとは全く言えないグループだと思うのだが、これでこれまでうまくやってこれたのだろうか?
常に高圧的な態度のセルリアン。
何やらセルリアンに弱味を握られ、仕方なく仲間に入ってる感じのオカマ金狐。
セルリアンの事は崇拝しているが、金狐とめちゃ対立してる銀狐。
この反抗期真っ盛りの赤狐。
まともなのは、小狐と黒狐だが、黒狐は初めて会った時からオレのことを敵対視してるから、これからうまくやっていけるかビミョーだし。
「おい、来たぞ」
オレの思考を停止させたのは、セルリアンの一言だった。
セルリアンの視線はクローゼットの隙間から見える机の上に向けられていた。
オレも赤狐もその視線を辿っていくと……。
机の上に何やら動いているのを発見した。
人の形をした小さな小さな生き物。
あいつが盗人小人か……。
「クラウス、準備はいいか?チャンスは一度だぞ」
セルリアンが小声で赤狐に言うと、赤狐は首を縦に動かし、さっきまで歪みあってた仲とは思えないように、手を握り、クローゼットを開けた。
え?
と小人がこちらを振り向いた瞬間、二人は繋いだままの手を小人に向け、
「そこまでだ、盗人小人」
あんな音を出して出たなら、小人はきっと消えてしまう。
オレがそう思った時、不思議な事が起こった。
小人に向けられた二人の手から溢れた淡い水色の光が小人を包み、小人の動きを封じた。
小人の方は姿を見られた時にすぐに姿を消そうと思ったのだろう。
半透明になった小人は微動だにしなかった。
「任務達成」
セルリアンは、持っていた透明のビンにその小人を入れ、栓を閉めた。