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夜の稼業

学校からの帰り道。

慣れない生活でヘトヘトのオレとは対照的に、理事長室で相当よく眠れたらしくセルリアンの血色が良かった。

「なぁ、セルリアン。ちょっといいか?」

どうしても、聞きたいことがあったものの、なかなか口に出せず、と言うか口に出すのが怖くてためらってはいたが、もう耐え切れなくなり、口を開いた。

「何故こいつらも一緒にいるんだ?」

並んで歩いてるオレとセルリアンの後ろに、まず、黒狐がいて、その後ろに金と銀狐が同じ方向に向かって歩いてる。 

「ああ…。そんなの決まってるじゃないか。みんな同じマンションに住んでるんだから」 

え?

みんな同じマンション?

いや、もう小さなことでは驚かなくなっていたけど、これにはやはり驚いてしまう。 

黒狐は相変わらず無口なままだが、その後ろの金・銀狐は何やら言い争いをしている。

「ちなみに、あのマンションには、私たち以外の住人はみんな普通の人間だから、行動に気を付けろよ」

と言われても……。

行動……。

今日、金・銀狐に散々人間らしい生活を叩き込まれたが、正直自信がない。

後ろの奴等は自分の意志で自由自在に妖狐に戻ることができるらしい。

それに比べて、オレは、妖狐に戻れない上に、どうしてあの時耳と尻尾が出てきたのか分からないままでいる。


「セルリアンさまーーーー?」

マンションの前に着くと、昨晩と同じく、どこからともなくやって来た小狐がセルリアンの肩に飛び乗ってきた。

そして、また耳打ち。


「ほぉー。今日の依頼はたいした内容じゃないな。ラビル、お前やってみるか?」

唐突に話を振られた。

「え?」

「私たちは、昼間は普通の学生だが、夜には夜の顔がある」 

そこで、オレの肩に両手を乗せて、

「今宵、私と一緒に夜を過ごしてみないか?」

セルリアンの魅惑的な言い方に少しドキッとしてしまった。


「黒、金、銀、今日お前等はもう帰っていい」

「やったぁー。今日は好きなことして過ごせるぅー」

「ふむ。昨晩読めなかった本でも読むとしよう」

セルリアンの言葉に、金と銀は大喜びでマンションの中に入って行ったが、黒だけは…。

「セルリアンさま。今日の依頼を天狐と二人でやられるのですか?」

不満たらたらと言う感じの顔だった。

しかし……。

「黒。私とラビルの邪魔をするな。早く部屋に戻れ」

セルリアンの一言に渋々と部屋に戻って行った。


「さて、邪魔者たちは消えた。これから、私たちの夜の仕事について話すことにしよう」

セルリアンは何故か楽しげにオレの首輪を引っ張った。










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