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銀狐・金狐登場

理事長室の左隣にある、特別学習室に入ると、窓際に二人の人影が……。

二人の人間? いや、違うこの雰囲気は……。


「お前らも妖狐か?」

一人はオレより身長の高く、紫色のメッシュの入った銀髪の男。

そして、もう一人は……。

女⁉

体の線がはっきりしている服を着ているせいかスタイルの良さが浮き立って見える。 

肩までの金髪の女狐がカツンカツンとヒールを鳴らしながら歩く度に大きな胸が揺れていた。

オレの目の前に立ち小さく笑った。


「おはよう、ラビルちゃん。私はゾーラよん」

ゾーラ?

この匂い……。

この顔、この声、見覚えがある⁉


「お前……。『獣猫』の一員じゃなかったか?」

そうだ、こいつは『獣猫』のアジトに進入した時に見たことのある顔だ。

何でこいつがここに?

「あら? ばれちゃったぁ?久しぶりねぇ、ラビルちゃん」

長いまつげの下の大きな緑色の瞳でオレの目をのぞき込み、プルプルの唇に触れていた指でオレの顎をくいと持ち上げた。

「あら? 可愛そうなラビルちゃん。こんな首輪なんてつけられちゃってぇ。まるでセルリアンの犬ねぇ」

いちいち言い方が気に入らない。

「ゾーラ。いい加減にしろ。セルリアンさまの犬と言うのなら、お前も変わらないだろう?」

窓際に立ったままの銀狐がこちらを振り返った。

銀と紫とオッドアイの瞳に嫌悪感が写っていた。

「はぁ? そう言えばあんたもセルリアンの犬のようなものだったわねぇ。セルリアンに拾われてセルリアン無しじゃ生きていけない哀れなシブロ」

「オレは……。純粋にセルリアンさまのお側にいたいだけだ」

表情を変えることのなく、シブロと言われた銀狐は持っていたマグカップを啜った。

「まぁ、どうでもいいけどぉ」

ゾーラは軽く舌打ちしてから、またオレの首を見て、今度はワッカの下のネオンブルーの石に目を輝かせた。

「あんた、それまだ持ってたのぉ?何でも願いの叶う花の一欠片……」

やはり、これはあの花なのか?

「残念ながら、あんたがあの花をバラバラにしたから、花びらがこんなに石のように固くなって願いなんて叶わなくなったけどぉ。それでも、その欠片にすごい価値がついてるのよねぇー」

そして、愛しそうにその石を見つめた。

「ねー、この石私にくれないからしらぁ?」

さっきまでと全く違う言い方でオレを見上げてきた。

お願い、と言うように瞳を潤ませてオレを見た。

この貪欲な感じ……。


何だ、この女狐。

こんなのがオレの教育係って……。


「ゾーラ、セルリアンさまの言い付けを忘れるな。今日はその天狐に人間界での昼間のオレ等の立ち位置を教えろと言われたはずだ。それから、天狐。その女狐、本当は男だから色仕掛けに騙されるな」


昼間と言う部分に力を込めたのが少し気になったが。それよりも。

お、お男ー?

こいつ男なのか?

まるで女にしか見えないこの女狐が?

ポカンとしているオレにさらに、銀狐が畳み掛ける。


「そもそもあの性格のセルリアンさまが女をお前の側に置く訳ないだろう?」

言われてみれば……。

あのセルリアンが、自分以外の女を置く訳ないか……。


だが、しかし、オレにはこの信用できない女狐がセルリアンの側にいると言うことが解せなかった。









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