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「それで、症状はどのようなものですか」
「夢を、見ます。女性が正面に座っていて。食事を」
「食事ですか」
「…肉を。食べていて。暫く食べていると、目の前に座った女性が言うんです。『どう?わたしは、おいしい?』」
「それから、おどろいて女性を見ると、女性は…ああ、ちょうど、あそこにある、骨格標本みたいな…骨に、なっていて」
「こちらを向いて、笑うんです。それで、また、『ねえ、おいしい?』って言うんです。味は、夢だから、分からないんですが」
「何故だか、とても、幸福な気がして。『しあわせだ』と答えると、女性は『そう、よかった』と、そういって、いなくなるんです」
「それで、いなくなったことが、恐ろしくて、哀しくて、目が、覚める」
「そうですか。」
「はい」
「睡眠導入剤を、増やしましょう。それから、向精神薬も」
「はい」
「お大事に」
「…はい」
「誰か」の話




