表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

―1― プロローグ

 ――――ひどい雨だった。

 普段なら真っ赤な夕焼けで彩られる空は、薄暗い雲に覆わている。

 街を大粒の水滴が叩き、霧がかかったように視界は悪い。

 人々は夕方のせいか天気のせいか、数える程しかいない。

 そんな街の中を傘もささず、走る1人の少年の姿があった。

 名を紺野怜(こんのれい)という。

 高校指定のブレザーにツンツンとクセのついた黒髪が特徴の高校生である。

 

 その彼に、

 偶然か、

 はたまた必然か、


 一閃の雷撃の(やり)が落ちた。

 湿った空の空気は切り裂かれ、プラズマに変わる。

 その槍は光の尾を引きながら徐々に消えていく。


 (ゴウ)! という爆音と共に街路のタイルが剥がれる。

「――――――ッ!!」

 彼の体は一瞬の浮遊感に包まれる。

 そのまま意識はなくなり、ドサリとクレーター状に(えぐ)られた地面の上に倒れた。

「――――」


 その直後。

「――んっ、……ここは…………?」

「…………」


 突然どこからか声がした。

 しかしこれは怜の声ではない。

 

 怜の近くにはいつの間にか、1人の女性と1人の少女がいた。

 女性はところどころ破れた深紅のポンチョと膝上スカートを纏い、きょろきょろとまわりを見渡している。その服装も所々幾何学的な文字が刻まれ、服装というより魔装や霊装、修道服のようである。

 小学生ぐらいの少女は意識を未だ失っているままのようだ。

 しかしこの2人には決定的に普通の人間とは異なる所があった。

 この2人には()()()()()()

 天気が曇りだからではない。少しも影が伸びてなかった。

 雨は3人を強く叩きつける。

「――ここは……?」

「………………」

「………………」

 風も一層強まり、タイルの欠片が飛んだ。





 ――すべてはここから始まった。


 紺野怜の、輪廻(りんね)の垣根を越えた物語――。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ