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隻腕の少女  作者: ponta
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第六章 友人

 第六章 友人


 土曜日のこと。

 前の日の帰り、土曜日はジョギングでもしようと沙代に誘われ、大堀公園で走ることになった。

 待ち合わせの10時に目を覚ました武雄は、急いでジャージを履くと首周りの伸びたTシャツを来て、急いで待ち合わせ場所の大堀公園北口に向かった。

 息せき切って、到着するとすでに沙代は来ていて、準備運動を始めている。


「まったく! 遅いではないか!」


「ごめんごめん! めざましかけるの忘れててさ」


 頬を膨らまして怒る沙代を武雄はまじまじと見る。

 ポニーテールの髪型に、サンバイザーをかぶり、ピンクのランニングウェアに黒のスパッツを着ている。白くスラリと伸びた足をみて、武雄は顔を赤らめごくりと唾を飲み込んだ。


「ジロジロ見るでない。恥ずかしいではないか」


「ご、ごめん。あんまり綺麗でさ」


 武雄が本心を言うと、沙代は顔を赤らめて咳払いをした。


「こほん。で、では走るとするか」


「う、うん」


 ゆっくりとしたペースで二人は走り出す。


「今日は天気いいし、気持ちいいなあ」


「そうであろう? こんな日に寝ているなぞもったいないぞ」


 レストランの横を通り、少し坂になっているところを走る。


「よく走るの?」


「スタイルを維持するためにな。美容と運動は密接な関係があるのだ」


「へー。そんなに細いのになあ」


 そう言いながら、武雄は沙代のウエストからヒップをちらりと見る。


「こら! 女子の臀部をジロジロ見るでない!」


「いや、ジロジロ見てないよ。チラっとだよ」


「チラリでもジロリでも一緒だ。年頃の女子は繊細なのだぞ」


「はーい。なんか難しいなあ」


 しばらく黙々と走り、公園の半分ほど来た時に、武雄が口を開いた。


「あのさ、その……、野口は彼氏とかいるのかな?」


 沙代は武雄を横目で見るだけで、何も答えない。


「な、なあ。ど、どうなんだよ?」


 沙代はその場に立ち止まる。武雄も同じように止まり沙代をじっと見る。


「武雄、私の恋人になりたいと思っているなら、それは無理というものだ」


「なんでだよ?」


「お主と私は幼馴染というだけだ。恋愛感情はない」


 武雄は、口をへの字に曲げる。


「どうした? 怒ったのか?」


「そ、そんなんじゃねえよ。俺だって、お前のことなんて何とも思ってねえ」


「そうか。ならばよかった。良き友人として接してくれ」


 それからしばらく走り、10KMほど走ったところで、沙代は元の集合場所で止まった。


「ふー。いい汗をかいた。昼食でもおごろう。そこのレストランでいいか?」


「俺、用事あるからさ。帰るよ」


「そうか。では、また来週学校でな」


 沙代はそう言って、迎えの車に乗り込み去っていった。武雄はその車が大通りへ出るのを見送ると、全力で走り出した。


(ちくしょー。俺は好きなんだよ。寝ても覚めてもお前のことばかり考えてるんだ!

 こんなに人を好きになったのは初めてなんだ。告白もせずに諦めろっていうのかよ!!)


 武雄は、車道の端を疾走する。少し混んでいる車の列を抜いていく武雄に、周囲の人は驚きの目を向ける。


「ああああああ!! ちくしょー! 好きだー! 好きなんだー!」


 武雄は絶叫しながら、Tシャツを脱ぎ捨て走り続ける。西新の近くまできたとき、武雄は立ち止まり、息を切らせながら、携帯を取り出す。


〝プルルル、プルル。はい〝


「俺だ、坂田だ! 相談があるんだ。今どこにいる?」


〝おお、坂田か。いま好美と西新のマックにいるけど、どうしたんだ?〝


「よし! すぐ行く!」


〝え? おい、ちょっと〝


 武雄は携帯をしまうと、また駆け出す。瞬足を飛ばし、マックの店内へと駆け込む。

 むっとするような肉の圧力を持った上半身裸の少年の登場に、店員は目を丸くする。武雄は、その視線には構わず客席の方へと移動すると、吉村と恋人の山野好美のいる席へ歩み寄った。


「おう、坂田。どうしたんだよ、いきなり?」


「坂田くん久しぶり。なんで裸なの?」


 二人の言葉は武雄の耳には届かず、武雄は息の切れたまま話し出す。


「俺、好きなんだよ!! でも、ダメなんだ! どうすればいい? なあ、教えてくれ!」


 吉村は、武雄を席に座らせ肩に手を回す。


「坂田、落ち着け。落ち着いてゆっくりと話せ。意味わかんねえから」


 武雄は、吉村のドリンクを一気に飲み干し、息をふーっと吐いてから話しだした。


「すまん。気が動転しちまって。あのさ、転校生の野口のこと俺好きになっちゃったんだよ。もう、あいつのことで頭がいっぱいでさ。いつも帰り一緒に帰ってるし、今日だってジョギングしようって誘われるもんだから、脈があると思ってたらさ、恋人になるのは無理っていうんだよ……」


 そう言って、下を向く武雄に好美が話しかける。


「坂田くんがそんな話するんてびっくり! 私が誰か紹介しようか? っていっても興味ないっていってたのに」


「こんなの初めてなんだ。一目見た瞬間から、あいつのことが気になって気になって仕方ないんだよ。くそー。どうすりゃいいんだ」


「へー。女なんて興味ねえって言ってたお前がねえ。でもよ、お前らいつも一緒じゃん。ダメってことはないと思うけどなあ。恋人になるのは無理ってどういう風に言われたんだよ?」


「うん。今日、ジョギングしてる最中にさ、付き合ってる人はいるのか? ってきいてみたんだ。そしたら、俺が気があるってわかったのか、俺は幼馴染としてしかみてないって恋人になるのは無理だって、予防線はられた」


 好美は、武雄の話を聞いて、ジュースを口にし、少し思案しながら言った。


「タケくんから聞いたけど、彼女どこか変わってるんでしょ? 転校してきたのに坂田くんのこと幼馴染とかいってるって」


「うん。なんかよくわかんないけど、前世の俺と幼馴染だったんだって」


「彼女を知らないからはっきりとはわからないんだけど、障害者ってことでどこか引け目を感じてるのかもしれないよ。いつも一緒に帰ったり休みの日に誘うとか、絶対気があるよ。まずは一緒の時間を増やして、焦らずに彼女のことを知っていけばいいんじゃないかな?」


 好美の言葉に、武雄は目を輝かせる。


「そう? 好美ちゃんはそう思う? じゃあ、まだ大丈夫ってことだよな? そうだよ。まだ告白だって俺してないもん! 振られたわけじゃねえんだよ!」


「たははは。お前は立ち直りはええなあ。さっきは、この世の終わりって顔してやがったくせによ」


「よーし! そうと決まれば、さっそく誘うよ!」


 武雄が携帯を取り出すのを見て、好美が言った。


「ね、明日は日曜日だし、その娘も呼んでダブルデートしようよ。女同士だと本音が聞けるかもしれないし」


「おお! 好美ちゃんありがとう!」


 武雄が好美の手を取って握り締めると、好美が顔をしかめる。


「痛い! 痛いよ! 坂田くん!」


「ごめんごめん。何だか興奮してたよ。落ち着け俺。落ち着くんだ」


 武雄が深呼吸するのを見て、好美はくすりと笑う。


「でも、坂田くんなら大丈夫と思うよ。性格はまっすぐだし、こんなにマッチョだし」


「え? そう?」


 武雄が分厚い胸板とくっきりと割れた腹筋を見ると、吉村が武雄の胸をぽんと叩く。


「ほんとすげえ体だな。お前何になるつもりだよ? 鍛えすぎだっつうの」


「マッチョが苦手っていう女の子もいるけど、私は好きだなあ。タケくんも運動部に入って鍛えたらいいのにさ。この頃、運動してないから、おなかなんてぷよんとしてんだもん」


「俺なんて、才能ないの中学でわかったからさあ。坂田の走りみてたら自信なくすもんよ」


「いっつも、坂田くんの話ばっかりするくせに。またやったらいいのよ。ねえ、坂田くん」


 武雄が吉村の方を見ると、吉村は少し顔を赤らめて言った。


「馬鹿、好美変な言い方すんなよ。ほら、坂田も野口を誘うんだろ?」


「お、おう。電話してみるわ」


 武雄は携帯を取り出して、深呼吸すると沙代の携帯にかけた。


〝プルル、はい〝


「お、俺、坂田!」


〝武雄か。用事はもういいのか? 何だか焦っているようだが〝


「明日! 明日!」


〝明日がどうした? 少し落ち着いて話せ〝


「買い物! 買い物!」


〝落ち着けというのに。買い物に付き合って欲しいのか?〝


「そ、そう! 吉村も好美ちゃんも!!」


〝吉村と好美ちゃんとやらも一緒ということだな? いいぞ別に予定はない〝


「ほんとか! ほんとにほんとか?」


〝ふふふ。いいと言っておろうが。いいから、お主は落ち着け〝


「じゃあ、明日の11時に博多駅筑紫口な! 絶対だぞ! 絶対にこいよ!」


 携帯を切ると、武雄は立ち上がって叫んだ。


「やった! やったぞ! 明日はデートだ!!!」


 店中の人が自分に注目しているのに気付いて、武雄は我にかえり座って下を向いた。


「なははは。興奮しすぎだっつうの。じゃあ、明日は好美がうまく聞き出してやっから。お前は明日来ていく服でも選んでろ。いいな?」


「ありがとうな! この恩は忘れないぞ!」


「オーバーだなあ。お前は」


「じゃ俺、帰るよ! 二人はゆっくりな!」


 店を出て行く武雄の後姿を見て、好美が笑いながら言う。


「坂田くん、ほんとに真っ直ぐね。いいお友達じゃない」


「ああ、俺の親友さ。あいつのためなら何でもしてやりたい。好美、明日は頼むな」


「任せなさいって」


 吉村と好美は、明日の計画を話し合った。


 日曜日になった。

 武雄は、待ち合わせ時間の30分前に博多駅筑紫口に到着していた。なんだか落ち着かず、その場でスクワットを始める。


「落ち着けー。にこやかに話すんだ。にこやかにー」


 ブツブツと呟きながら、スクワットをする武雄を、ある人は怪訝な顔で通り過ぎ、ある人はクスリと笑う。


 それから10分程して、吉村と好美が到着した。


「おいおい、お前なにやってんのよ?」


「え? いや、落ち着かなくてさ」


「気楽に行こうぜ。そんなんじゃ楽しめないだろ?」


「緊張しなくても大丈夫よ。うまくやるから」


 武雄はスクワットを止め、二人に向き直るとぎこちない笑顔を作る。


「う、うん。ありがとう。しかし、なんか緊張するよ。ホントは嫌われてたらどうしようかと思ってさ。あんまり寝れなかったよ」


「大丈夫だって。昨日だって二つ返事でいいと言ってくれたんだろ?」


「そうだな。よし、大丈夫だ。気合いれるぞ!」


「なははは。張り切りすぎだって。なあ、好美?」


 好美は車止めの方を見て、黙っている。


「好美?」


「綺麗……。芸能人かしら……」


 武雄を吉村が車止めの方を見ると、沙代がこちらに向かって歩いてくる。白いブラウスにチェックのミニスカート、白のニータイツを履いたその姿は、どこか気品が漂っており、道行く人は沙代の方を見とれている。


「おはよう。待たせたようだな悪かった」


「おはよう。いや、俺らも今来たとこだよ。なあ、坂田」


 沙代をぼーっと見ている武雄を吉村が肘でつつく。


「お、おはよう。まだ15分しか待ってないよ! 俺、来たの10時半だからさ!」


「ばっかお前……」


 吉村の言葉も耳に入らず、武雄は目を輝かせながら沙代を見る。


「武雄、こちらの女性を紹介してはくれぬか?」


「え? ああ、こっちは吉村の彼女で山野好美ちゃんだよ。若葉学園に通ってるんだ」


「若葉学園といえば、長浜にある女子高だな。わたしは、野口沙代。大堀高校に東京から転校してきた。どうぞよろしく」


 そう言って、沙代が微笑むと好美は顔を赤らめる。


「や、山野好美です。よろしく……」


 好美の様子をみて、吉村が好美の肩を叩く。


「お前までなに緊張してんだよ。同い年だろ?」


「だって、こんなに綺麗な人なんて……。なんかオーラあるし……」


「ふふふ。そう緊張しないでくれ。お主たちは武雄の友人だ。わたしも気楽に話すとしよう」


「じゃ、じゃあ、沙代さんって呼んでもいいかな?」


「呼び捨てで構わんぞ。私も好美と呼ばせてもらおう」


 好美はにこりと笑うと、沙代の左手に抱きついた。


「えへへ。じゃあ、沙代って呼ぶね!」


「ふふふ。では、買い物を楽しむとしようか。まずはどこへいく?」


「ええっとね、わたしバッグとか見たいんだ。行こ!」


 好美は、沙代の手を引いて、武雄と吉村をおいてさっさと歩きだした。


「あちゃー、あいつ絶対目的忘れてるよ。坂田、あとで好美にはちゃんと言っとくから、心配すんな」


「お、おう」


 武雄は不安を覚えつつも二人の後を追った。


「わぁ、これかわいい! ね、これいいと思わない?」


「そうだな。いいのではないか?」


 好美はきゃいきゃいと、はしゃぎながら、沙代の手を引き様々なものを見て回る。


「沙代はスタイルいいから、これ似合いそう。ああん、こっちもいい~」


「好美が欲しいものは、いいのか? さっきから私に似合うか、似合わないかばかり見ているようだが」


「だって、こんなに綺麗なんだもん。着飾らないのは罪よ罪!」


「ふふふ。それはありがたいな」


 そう言いながら、沙代はピンク色のパーカーを手に取ると、好美の身体にあてる。


「これなど、好美に合っているな。どうだ?」


「え? 私に? うん、かわいいと思うけど。これ高いからちょっと買えないわ」


「金額を気にすることはない」


 沙代はそういうと店外に控えているSPに手をあげて合図する。SPが服を受け取り、会計を済ませるのを見て、吉村と好美は驚きの表情をした。

武雄が吉村に耳打ちする。


「言っただろ? なんでか金をいっぱい持ってるんだよ。この前買い物について行った時も軽く30万は使ってた」


「おいおい、どんな金持ちだよ」


 沙代は後ろでささやきあう二人に構わず、好美に袋を渡す。


「これは私からの友好の証だ。もらってくれ」


「ちょっと。こんな高いの貰えないよ。これ1万5000円もするんだよ?!」


「いいんだ。私は金に不自由はしていない」


 好美は戸惑いの表情で、沙代を見るとしばし考えてから言った。


「じゃ、じゃあ私もプレゼントさせて! ね? いいでしょ?」


「そうだな。じゃあ、そうしてもらおう」


 にこやかに笑いあうと、手を繋いだまま店を出る。


「なんだかすっかり打ち解けてるな。まあ、好美は誰とでも仲良くなるからなあ」


「うん。好美ちゃんと仲良くなってるみたいで安心したよ」


 その内、12時をまわり昼食をどうしようかという話になった。


「上の階のレストラン街に行こうよ。何でもあるし」


「よーし、そうすっか」


 エレベータを待っている時、好美が武雄に目配せした。武雄がおやっと思っていると、好美が沙代の手を引いて言った。


「私、トイレに行きたい。沙代ついてきて」


「ふふふ。好美は甘えん坊だな。ひとりでトイレもいけんのか?」


 なついてくる好美に沙代も悪い気はしないようで、二人はトイレの方へと歩いて行く。

 吉村が武雄に言う。


「お、珍しく忘れてなかったらしい。いい結果だといいな」


「う、うん」


 武雄は不安気に二人の後姿を見送った。


 化粧室の鏡の前で、イヤリングを見ながら好美がいう。


「ね、沙代と坂田くんはどういう関係なの?」


「ん? 幼馴染だよ。ずっと昔のな」


「彼、オリンピック候補とかいって一時期騒がれてすごかったじゃない? 沙代は彼のことどう思ってるの?」


 沙代は鏡の好美に微笑んで言った。


「好美、お主はこの時代で初めてできた同性の友人だ。お主には本当のことを話そう」


「本当のこと?」


 好美が怪訝な顔で、沙代の方に振り向くと沙代は悲しそうな目をした。


「好美、私は普通の人間ではない。数百年前に封印され、現代に蘇った。私を捕らえて身体の秘密を探ろうとする敵に常に狙われている。そんな女に恋人など作れると思うか? 周りの人間に危害が及ぶことを私は好まない。だからお主のように恋人を作ろうなどとは思ってはならないのさ」


「……。それって私をケムに巻こうとしてる?」


「いや、本当のことだよ。これを見てくれ」


 沙代は左手を好美に見せてから、炎に変えゆらゆらと手を振った。


「納得したか?」


 好美は目を見開き口をぽかんと開けたが、数秒して顔を振ると語気を強めて言った。


「そうじゃなくて、坂田くんのことをどう思ってるの? 一緒にいつも帰ったり、週末に誘ったりって気があるってことでしょ? それに沙代の坂田くんを見る目、恋している目だわ! 好きなんでしょ? 坂田くんのこと!」


 沙代は目を瞑り、少し考えたあとに口を開いた。


「ああ。好きだ。この世の誰よりも。前世では将来を誓い合っていた。目覚めてからも武雄のことが恋しくて、迷惑をかけるというのに会いにきてしまった。好美、このことは内緒にしてくれ。私の恋人となれば武雄も狙われる。私のせいで武雄になにかありでもしたら、私は……」


 好美はふーっと息を吐くとにこりと笑った。


「ふふ。両想いかぁ。いいね。安心しちゃった。わかったわ。坂田くんには内緒にしてあげる。でも、あなたから離れないと思うわよ。坂田くんは思い込んだら一直線だもん。

 沙代がその敵っていうのに狙われなくなったら、坂田くんの彼女になってあげてね」


「そうだな。そうしよう」


「さ、行こ!」


 二人がエレベータホールで待つ、武雄と吉村のもとに戻ると、武雄はそわそわと好美の方を見る。

 吉村は、武雄の足を軽く踏んでから、にこやかに言った。


「じゃ、上のレストラン街に行こうぜ。俺腹減っちゃったよ」


 エレベータで上階にあがり、通路を歩くとき武雄が好美に耳打ちした。


「好美ちゃん、沙代はなんて?」


「ん? 坂田くんのこと嫌いじゃないけど今はまだ彼氏とか作る気ないんだって」


「そっかー」


 肩を落とす武雄の背中を好美がぱーんと叩く。


「気合でしょ? 気合!」


「そうだな! 男は気合だ!」


 その音に、沙代と吉村が振り向く。


「何をしておるのだ?」


「べっつにぃ。ね、坂田くん?」


「おう! ガンガン行くぜ! ガンガン!」


 4人はレストランへ行き、にぎやかな食事をした。

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