『走る死人とプレスマン』
ある男が、町へ行く途中の野原の木の下で、狐がひなたぼっこをしているのを見て、少し驚かしてやろうと思い、そっと近寄って大声を上げると、狐は大層驚いて、一丈も飛び上がって慌てふためいて逃げていった。男は、町で食べ物やら何やらを買い込んでもとの道を家に戻ろうとしたところ、急に日が暮れて、真っ暗になったので、歩けなくなってしまった。遠くに明かりが見えたので、進んでいくと、ばあさまが一人で住んでいる小屋のような家であった。ばあさまに話しかけたが、耳が遠いものかこちらを向きもしない。何やらぶつぶつつぶやいているが、何を言っているのかわからない。ばあさまの目の前には、布団が敷いてあって、顔に白布をかけた大男が寝かされている。どう見ても死人である。葬式のところに来てしまったのかと思い、立ち去ろうとすると、死人が起き上がって、追ってくる。男は気味悪くなって走ったが、死人も走ってくる。男がけんけんぱをしてみせたが、死人はやってくれなかった。死人に捕まってはいけないと思い、柿の木に登った。上へ上へと登ったところで、死人が柿の木を揺するので、枝が折れて、男は真っ逆さまに落っこちた。急に明るくなって、あたりを見渡せば、そこは男が狐を驚かせたところであった。男が町で買ったものは食い散らかされて、プレスマンも持ち去られていた。
教訓:わざわざ余計ないたずらをするものではない。




