8 光のガイドさんのお話 その1
父さんから声をかけられたとき、ソリアナは、お皿にあった最後の一枚のソルトクッキーを手に取って食べ始めたところでした。サクサクとした食感とバターの香りを楽しみながら大事に大事に味わい、満足そうにクッキーを食べ終えると、紅茶を一口飲んでから父さんの方へと顔を向けました。
「父さん、家族のみんなも一緒に教えてくださいって、光のガイドさんにお願いしてみるね!光のガイドさんはいつも私たちを見守ってくれていて、見えないけれど今もここにいてくれてるのよ」
昨日、光のガイドさんと出会ってからずっと、ソリアナは、彼らが自分を見守ってくれていることをなんとなく感じ取っていました。そして、今この瞬間も光のガイドさんがソリアナたち家族の傍らに寄り添ってくれていること、父さんの質問にイエスと答えてくれていることを、ハートの中心ではっきりと感じていました。
「光のガイドさん、私と一緒に家族のみんなにも、これからいろいろなことを教えてもらえますか?よろしくお願いします」
ソリアナは、声に出して光のガイドさんに話しかけました。頭の中で話しかけても答えてくれると言われましたが、光のガイドさんとどんな会話をしているのか、家族のみんなにも聞いてもらった方がいいと思ったのでした。
家族全員が、期待を込めた眼差しでソリアナを見ていました。すぐに、ソリアナの頭の中に光のガイドさんからの返事が返ってきました。
(ソリアナ、またあなたと話せることをうれしく思います。あなたがそう望むのなら、私たちがあなたと対話するときには、家族のみなさんにも私たちの声が届くようにしましょう)
「ガイドさん、ありがとう!あのね、みんなにも声が届くようにしてくれるって」
みんなが囲んでいるテーブルの真ん中あたりに金色の光の球が現れ、目線より少し上のあたりにふわりと浮かびました。ソリアナには、その光の球が光のガイドさんなのだということがなんとなくわかりました。そして、なんだかとてもやさしい気持ちになり、ソリアナはにっこりと微笑みました。
『ヴェルデ家のみなさん、私たちはソリアナの光のガイドです。この光の球は、私たちのエネルギーの一部です』
光のガイドさんの話す声は、光の球から聞こえてくるようにも、頭の中に直接聞こえているようにも感じました。その美しい声は、繊細な響きだけれどもとても力強くて心地のよいものでした。
「ソリアナの光のガイドさん、私たち家族にもあなたがたとの対話の機会を与えてくださって、本当に嬉しく思います。ありがとうございます。私たちには、あなた方にお聞きしたいことがたくさんあります!ソリアナの質問の後で、私たちにも質問させてください。どうぞよろしくお願いします」
父さんは家族を代表して、光のガイドさんに感謝の気持ちを伝えました。母さんも子どもたちも、みんなが目を輝かせて光の球を見つめていました。
『ソリアナの家族の皆さんとも対話できることを、私たちもとてもうれしく思います。では、ソリアナ、質問をどうぞ』
ソリアナは、光のガイドさんに聞いてみたいことを頭の中で思い浮かべてみました。昨日初めて聞いた言葉がたくさんあり、まずはそれをひとつずつ聞いてみることにしました。
「はい!ありがとうございます。昨日、私は魂が浄化されたから今回が最後の転生だ、と言われましたよね。転生とはどういうことですか?どうして今回が最後なのですか?」
『まず、転生についてお話する前に、意識と魂についてお話します。あなたがたも私たちもみな、意識というエネルギーの存在です。実際には、この宇宙には大いなるひとつの意識のみが存在しています。その大いなるひとつの意識の中に意志が生まれ、魂という器によって意識を分割しました。個々の魂は、魂の本質はすべて同じ大いなるひとつの意識である、という記憶をすべて忘れてから、個々の肉体の中に宿りました。ひとりひとり別々の人間であるという体験、すなわち、ひとつの意識から分離しているという体験をするためです』
大いなるひとつの意識は、ソース、グレート・スピリット、一なるもの、創造主、とも呼ばれ、始まりも終わりもない絶対的な無限の存在、私たちの理解を越えた永遠の存在です。ひとつの意識は二つ以上に分かれることで、自分と他者という体験をすることを始めました。ひとつの意識が分離したその瞬間に、すべての物質的な宇宙も生まれました。
『魂とはゴム風船のようなものに例えられます。ゴムでできた風船の部分が魂という器で、中の空気が大いなるひとつの意識です。風船の中の空気、魂の本質はみな同じです。ゴムでできた風船の部分、魂という器には、名前、性別、生まれてくる時代と場所、性格、考え方の癖、思い込み、痛みや傷、カルマ、学びたいこと、才能、目標、体験したいことなど、それぞれの魂が選択した設定が記録してあります。この設定がそれぞれの個性となります』
ヴェルデ家の人々は、意識がひとつだということは初めて聞きましたが、みな話に惹きこまれ、言葉もなく聞き入っていました。目を輝かせながら驚くべき情報を素直に受け入れて、光のガイドさんの話を自然に吸収していきました。
『魂とは、大いなるひとつの意識を分離した状態に分けておくための器です。私たちの本質は大いなるひとつの意識です。肉体の死後、魂という器がなくなると、個々の意識は自然に大いなるひとつの意識の状態に戻っていきます。そして、個としての分離の体験のすべてはひとつの意識へと統合され、永遠に保存されます。それらのすべての人間のすべての人生の体験の記憶をアカシック・レコードといいます』
ソリアナは、とてもワクワクした気持ちで光のガイドさんの話を聴いていました。すべてが初めて聴く内容なのですが、こういうことを聴きたかったのだという不思議な感覚がハートを満たしていました。ソリアナは、こういうお話ならば飽きることなくいくらでも聴いていられそうでした。
『転生とは、魂という器と肉体が新しくなることです。ほとんどの場合は生まれ直す際に記憶を失いますが、あなた方のように、前回の人生の魂の設定と体験を覚えていることを意図して生まれ直すこともあります。そういったことは、魂の個々の設定に含まれているためにそうなっています。個々の魂の設定は、転生を重ねるうちに増えていきます。そして、ひとつの意識から最も分離した状態、最も深いところに到達し臨界点を越えると、魂は設定を体験することに満足して設定を解消し始めます。それが魂の浄化と表現される現象です』
『ソリアナは、これまでの転生の間にほとんどの魂の設定を解消し、人間として生まれることを最後にすることを設定したので、今回が最後の転生になります。物質の肉体を脱いだ後は、エネルギーの光の体となり、宇宙の善いことのために活動するという同じ意志を持つ意識と集合し、私たちのような集合意識として意識の力を用いていくことになるでしょう』
ヴェルデ家の人々は、この体験がとても貴重な機会であることを全員がよく理解していました。そして光のガイドさんの話を聞けば聞くほど、光のガイドさんに質問したいことがどんどん頭の中に生まれていきました。今まで誰も教えてくれなかった、どんな本にも書かれていなかった、意識の本質を教えてもらったことで、目を開いている状態からさらにもう一度心の目を開いたような、真に目覚めた感覚を初めて体験していました。




