表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソリアナの最後の転生 だからのんびり楽しく旅ぐらしがしたい…だけどなぜかいつも波瀾万丈  作者: 青山心為
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/22

13 勉強会

 朝食の前に、ソリアナはプラート兄さんとサレント兄さんを呼び止めました。ソリアナは二人に、旅に憧れていることを伝えて、この世界について教えてもらえるよう正直にお願いしてみることにしました。


「私、いつか旅をしてみたいの。それでね、この世界についてほとんど知らないことに気がついたの。だから勉強したいと思ったのだけど、プラート兄さん、サレント兄さん、私にこの世界の歴史や地理を教えてもらえる?」


「ああ、僕も地理についてそれほど詳しくないんだけど、それでも良ければ一緒に勉強しよう。プラート兄さんはどうだい?」


「おれもまだまだ学びの途中さ。なあ、他のみんなも誘ってみないか?この世界の歴史については、父さんと母さんからもっと教えてもらいたいと思っていたんだ。みんなで調べた方が楽しそうだしな。どうだい、ソリアナ?」


 二人の兄さんたちは、ソリアナから頼みごとをされたことがとても嬉しかったようです。二つ返事で、勉強会を開くことを快く引き受けてくれました。そして、プラート兄さんのアイデアで、他の兄さん姉さんもこの世界のことを学ぶ勉強会に誘ってみようということになりました。


「うん!みんなも誘ってみよう!」


「あら、あなたたち、なんだか楽しそうなことをはじめるのね。ぜひ私とスプルースも、ソリアナたちの勉強会に参加したいわ。この続きは、みんなで食事しながら話し合いましょう」


 ソリアナたちが振り返ると、朝食の支度を整えた母さんがにこにこと微笑んでいました。三人は母さんに促されて食卓へと移動しました。席に着いたのはソリアナたちが最後でした。今朝は珍しいことに、父さんもすでに一番奥の上座の席に座っていました。


「さあ、朝食にしよう。いただきます」


「いただきます!」


 家族全員が胸の前で手を合わせ、父さんに続いて食前の挨拶をして朝食を食べ始めました。母さんとシエナ姉さんは、本当にお料理が上手でした。毎日こんなにおいしい食事を食べられることを、みな嬉しく思っていました。



 食後にシエナ姉さんがお茶を入れてくれたタイミングを見計らって、プラート兄さんは、今朝の勉強会の話をみんなにしてはどうかとソリアナに目で合図してくれました。ソリアナは、家族のみんなに話をするために立ち上がりました。


「あのね、今朝、夢で前回の人生のことを見たんだけど、旅に出たいなあって思っていたことを思い出したの。それで、この世界を旅してみたいなあって思ったけど、私はこの世界のことをほとんど知らないから、プラート兄さんとサレント兄さんにこの世界の歴史や地理を教えてほしいってお願いしたの。そしたら、兄さんたちもまだまだ父さんと母さんから教えてほしいことがあるって。だから、みんなで一緒に勉強するのはどうかなって思ったの。父さん、どうかしら?」


 話を聞いている家族全員の顔が輝いていたので、ソリアナはきっとみんなも賛成してくれるだろうなと感じました。母さんはさっき参加したいと言ってくれたので、まずは父さんの意見を聞こうと、ソリアナは上座に座っている父さんの方へ顔を向けました。


「この世界の歴史や地理について学びたいのなら、私もエルムも、もちろんいくらでも協力するよ。マージナルのことについては、もっと詳しくみんなに伝えておこうと思っていたんだ。それに、ランドラに戻るまであと一年だから、しっかり隅々までマージナルを見ておきたいとも思っている。まずは、マージナル、迷いの森、ランドラのことから学んでいこうか」


 父さんは母さんと顔を見合わせて頷くと、嬉しそうに子どもたち全員を見渡しながら話をしました。子どもたちもみんな勉強会に参加することに賛成のようで、それぞれ頷き返していました。


 冒険することに憧れているメーラ姉さんは、旅と聞いて一番やる気を見せています。シエナ姉さんとレゼダ姉さんも、興味津々といった表情で父さんの話を聞いていました。すると、シプロ兄さんが立ち上がり言いました。


「オレもその勉強会に参加したいよ!それで、いつから始めるの?」


「そうだな、勉強会は、今日の午後から初めてみてはどうだろう?午前中は、私と男の子たちで道具の棚の雨除けの囲いを仕上げてしまおう。そうだ、マージナルの旅では魔女の家は使えないから、馬車の整備もしなくてはいけないな。それはまた別の日にするとして……いろいろ忙しくなってきたぞ!」


 父さんは楽しそうに考えを巡らせ始めました。そこで、父さんの話を引き取って、母さんが言葉を続けました。


「私たち女子チームは、勉強会の前に魔女の家のお掃除を終わらせてしまいましょう。これからは、いつあの家を使うことになるかわからないものね。では、午後にまたここに集合しましょう」



 男子チームは勝手口の横に移動した道具棚に雨除けの囲いを完成させ、女子チームは魔女の家の掃除を全て終え、全員がテーブルに戻ってきました。


 シエナ姉さんの入れてくれたハーブのお茶で一息つくと、いよいよ第一回目の勉強会が始まりました。


「さて、まずはマージナルのことからだな。一度話した内容もあるけれども、最初からすべて話しておこうと思う。今から数百年前に、ランドラだけでなく世界中からネガティブなエネルギーの者たちが集められてマージナルはできた。これがマージナル周辺の地図だよ。私たちが住んでいる迷いの森によって、ランドラと隔てられている。マージナルは周囲を崖に囲まれた半島なのだよ。何か所か崖の下に降りられるようになっている場所もあるが、マージナルの周辺の海は荒くて船を係留できる場所はないんだ」


 父さんは、歴史や地理を交えながらマージナルのことを話し始めました。


 プラート兄さんは自分で学んでいた歴史のノートを持参し、メモを取りながら聞いていました。他の子どもたちもそれぞれ紙と筆記用具を持ち寄り、集中して話に聞き入っていました。


 次いで、母さんがマージナルの歴史について説明をしてくれました。


「マージナルの人々は意識の力をうまく使えないから、その生活はこの世界の水準を大きく下回っているの。この世界には貴族の階級制度のような身分の序列はないの。マージナルでも身分による優劣の別はないけれど、大きな都市と小さな村では生活の質に大きな差があるわ。マージナルが作られたときに神殿も作られたのだけれども、人々の意識のネガティブなエネルギーが強くて、神殿の神官たちの意識も今ではネガティブになってしまった。神殿が富と権力を追い求めているように見えることも気になるけれど、みんなを守護するための守り石がどのように機能しているのか、そのあたりも詳しく調べてみないとね」


「母さん、森に入ってくる人を見たことはないけれど、マージナルには旅をする人はいるの?」


 メーラ姉さんは、疑問に思っていたことを母さんに質問してみました。


「小さい村の人々には、旅に出るような生活の余裕はないわね。都市部ではどうかしら。旅に出る人もいるかもしれないわね。今年は少し遠出をして、都市の人々の意識の状態と生活の様子も見に行ってみましょうね」


 ランドラには意識の力で動く乗り物がありましたが、マージナルの移動の手段は主に馬車でした。小さな村になると馬車を持っているのは村長くらいで、人々は徒歩で移動しました。迷いの森から近いところにある小さな村には、観光するような場所もありませんでした。


 マージナルは周囲を崖と森に囲まれており、マージナルの外へ出ることはできませんでした。そしてなぜか、マージナルの人々は、マージナルの外への興味がありませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ