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ソリアナの最後の転生 だからのんびり楽しく旅ぐらしがしたい…だけどなぜかいつも波瀾万丈  作者: 青山心為
第一章

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12/22

12 ソリアナ、旅に憧れる

 ソリアナと兄たち姉たちは、マージナルとランドラの間にある迷いの森で生まれ育ちました。父さんと母さんは、人々の意識の状態を見るために月に何度か、森の近くにある村々を訪れていました。意識の力で外見を変え、小さな馬車に乗って旅人のように振舞いました。


 村の人々はみな一様に貧しく、日々の生活で精一杯といった印象でした。迷いの森の近くに住む人々にとって旅人は珍しく、お金を持っていると思われて盗人に狙われやすくなりました。そのため、人々の意識の状態を確認するという目的を果たすとすぐに、足早に村を通り過ぎて森の家へと戻るのでした。


 ソリアナも父さんや母さんと一緒に何度か村を訪れたことがありますが、日帰りということもあり、旅という感じはしませんでした。ソリアナの存在の真ん中にあった旅に憧れる思いは、気づいたのと同時に少しずつ大きく膨らんでいきました。ソリアナは、マージナルやランドラ、そしてそのまた遠くにあるというたくさんの国々を訪れ、この目で見てみたい、この世界についてもっと知りたい、心からそう思いました。



 そして朝が来て、ソリアナはすっきりと目が覚めました。いつもは起きた途端に忘れてしまう夢の中で考えていたことを、今朝は全てはっきりと覚えていました。忘れないうちに日記に書き記しておこうと、ベッドの周囲のカーテンを開け、ロフトベッドの横に設置されている階段を下りました。姉さんたちはまだ起きていないようでした。


 寝間着のまま、夢の中で考えたことを日記に書き止めながら、ソリアナは、夢の中で自分が夢を見ていることに気づいたのも初めてのことだなあと思いました。よくよく考えてみれば、誕生日の前日に光のガイドさんと出会って前世の記憶を思い出したこと、庭に魔女の歩く家があったこと、みんなで光のガイドさんと対話したこと、ここ二日間はソリアナにとって初めてのことだらけでした。前世の記憶が戻ったことで、自分の内側が広がったようにも感じていました。


 もともとソリアナは、物事をよく見てじっくりと考え答えを導き出す子でした。毎日の生活の小さなことを楽しんで取り組む、実直さと素直さも持っていました。思い出したクレアコグニザンスの能力によって、何か疑問が浮かんでも何となくその答えがわかるようになりましたが、素直な性質は浮かんできた答えを信頼することに良い影響を与えました。



 ソリアナが日記を書いていると、シエナ姉さんが起きてきました。シエナ姉さんのロフトベッドはソリアナのベッドの隣にありました。十五歳になるシエナ姉さんは、いつもこの部屋で一番の早起きで、進んで母さんの手伝いをしてくれる頼りになる存在でした。


「ソリアナおはよう。今朝は早起きね。昨日、早く寝たからかしら?」


「シエナ姉さんおはよう!あのね、今朝夢に見たことを忘れないうちに日記に書いておこうと思ったの」


 ソリアナのひとつ年上、十二歳のメーラ姉さんと、ふたつ年上の十三歳のレゼダ姉さんは仲が良く、ロフトベッドも同じ側に並んで置かれていました。ソリアナとシエナ姉さんの話声を聞いてか、メーラ姉さんとレゼダ姉さんもすぐに起きてきました。


「おはよう。昨日は早く寝たから、みんな早起きだね」

「おはよう…ふわー」


 レゼダ姉さんは伸びをしながら、部屋の真ん中にあるテーブルへと歩いて行きました。メーラ姉さんはまだ眠そうで、あくびをしています。


「ぬるま湯を出してちょうだい」


 姉さんたちはそれぞれ洗面器を取り出し、お湯を出して洗顔を始めました。ソリアナも日記を閉じて、身支度をすることにしました。姉さんたちは、シエナ姉さんが育てたハーブで作ってくれたハーブ水でお肌を整え、身支度を終えると母さんを手伝うためにキッチンへと階段を下りていきました。



 ソリアナの心は、いつか旅に出るために、マージナルやランドラについて調べ始めることに向かっていきました。プラート兄さんは歴史に詳しいので、きっと色々と教えてもらえるでしょう。そして、サレント兄さんはあちこちの風景が描かれた画集を持っているので、知っていることを教えてほしいとお願いしてみようと思いました。


 魔女の歩く家で旅に出られたならきっと楽しいだろうなあと空想しながら着替えを終えて、ソリアナは胸の前で手を合わせ、心の中で感謝の祈りを唱えました。


(今日も楽しい一日が始まりました。ありがとうございます)


 そして、イスに座り十五分の瞑想を終えると、ソリアナは何となく、心の中で光のガイドさんに話しかけました。


(光のガイドさん、おはようございます。今、少しお話してもいいですか?)


『おはようソリアナ。私たちはいつでも、あなたと対話できることを嬉しく思いますよ』


 光のガイドさんの心地よい声が、ソリアナの頭の中に聞こえてきました。今朝は、姿の見えない光のガイドさんの存在、エネルギーのようなものを、自分の正面に何となく感じることができました。ソリアナは、気になっていることを聞いてみることにしました。


(ありがとうございます。あの、私のブループリントとは何ですか?情報をパッケージにして送るとはどういうことですか?教えてください)


『あなたのブループリントとは、あなたの魂に保持されている情報や設定のことです。魂のブループリントとも呼ばれます。あなた方は、何層にもなっているエネルギーの体を持っています。大いなるひとつの意識を個別化しているそれぞれの魂は、あなた方の最も微細な振動数のエネルギーの体です。魂のブループリントは、エネルギーの体に記録されている様々な情報や設定です。私たちは、あなたのブループリントに、新たにお伝えした情報を一式まとめて送りました』


(エネルギーのからだ……)


『あなた方の肉体は、最も荒い振動数である物質から成っています。振動数が細かくなるほど純粋なエネルギーになっていき、その最も繊細なものが大いなるひとつの意識です。私たちもエネルギーの体を持っています』


(あ、昨日の光の球は、光のガイドさんのエネルギーの体でしたよね)


『馬車の車輪を思い浮かべてください。車軸へとつながる継ぎ手の部分は、車輪が止まっているときにははっきりと見えますが、回転が速くなるに連れて目に見えなくなって、高速で回転しているときにはまったく見えなくなりますね。光の球は私たちのエネルギーの体の一部の振動数を下げて目に見えるようにしたものです』


(私にもエネルギーの体があって、そこに情報を一式送ってくれたということだったのですね!分かりました。ありがとうございました。またお話させてくださいね)


『私たちはいつでもソリアナと対話ができます。お話しできたことを嬉しく思います』



 ソリアナは、光のガイドさんとお話しすると心の内側が整い、気持ちが穏やかになるのを感じました。ソリアナにとって光のガイドさんは、何でも教えてくれる素晴らしい先生であると同時に、心から分かり合える掛け替えのない友人のようにも思えました。ソリアナは、光のガイドさんと出会えたことに心から感謝を感じながら、すっきりとした表情で姉さんたちの後から階段を下りていきました。

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