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陽だまりのセプテット  作者: ÷90
第2章 風花〜儚く舞い散る雪のように〜

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第29話 聡士のケジメ

読みづらさを感じたので場面切り替わりの印をやめ、言葉での表現に切り替えたので多少文章の変更がありますが本筋への影響はございません。1話から25話まで修正しています。12/11完了予定です。(今更ですみません)

=は変わらず、1人称キャラの切り替わりで使用してます。


肌を焦がす灼熱の太陽! ビーサン無しでは歩けないほど焼けた砂浜! コバルトブルーとまではいかないが海! 

 俺達、アンソレイユのメンバー全員で今、小樽のビーチへ来ていた。

朝早く出発し10時くらいに着いた、もうすぐ12時で昼メシの時間だが俺は既に力尽きていた。

何故かって? それは……アイツらがナンパされまくっているからだ!


 ただでさえあのビジュアル、花火大会でも注目されまくっていたのに、今回は水着だ!

野郎共は光に集まる蛾の如くウジャウジャ寄ってくる、1人で防ぐには限界を感じていた。


 美優さんも追い払ってくれてはいるが、彼女自身もナンパされるのであまり機能していなかった。

普段、殆どオシャレしないラフなスタイルだからアンソレイユの中では目立たないが、れっきとした美人である事には間違いないからな。


 泳げない人の為に浮き輪を借りて戻って来たが皆んなの所に戻るとまた、野郎共が群がっていた。

頭にきたので浮き輪をぶん投げて追い払った。

あと何人か男がいれば寄って来ないのだろうが、今は俺1人で彼女達を守らねば!


「響介くん! ナンパの人達がしつこくて怖かったよー、グスン」

ムニュ。

来愛の豊満な胸の感触が水着なだけあって、ダイレクトに伝わる、だが、俺は微動だにしない! 何故なら

もう慣れたからだ! 着いてから、さっきまでずっと密着してるからな、慣れとは恐ろしいものである。

 花音や一華が止めようとしたがナンパしてくる奴らに阻まれたりで来愛の独壇場と化していた。


「お兄ちゃん、泳ぎに行こうよ!」

「響介くん、その前に日焼け止め塗ってよ。変なとこ触っちゃっても今日は許してあ・げ・る」

「許すか! ほら貸しなさい、アタシが塗ってあげるから」

「花音タンには頼んでないから!」

「花音、アタシにもクリーム貸して。来愛、アタシも塗ってあげるよ、それ!」

「はあん! いっタン、どこ触ってるにゃん!」

「どこ触ってもいいんだよね、今日は?」

「ああん! ダメだってば! ボクの身体は響介くんだけのものにゃんだから」

「来愛、変な声出さないでよ! 響介も見ちゃダメ!」

「ゴ、ゴメン!」

いくら女の子同士だからって目のやり場に困るんだよな。


 さて、どうしよう。泳ぎに行けば待機組みにまた野郎共が群がるだろう、だが逆もまた然り。

「ココも塗ろうね」

「お姉ちゃん、ココもビキニが良かったな」

「高校生になってからでもいいんじゃない?」

「中学生でもビキニ着てる子いるよ? ココの胸が小さいから着ない方がいいの?」

「そ、そんなんじゃないよ、ココ。その水着だって可愛いいじゃん」

「いや、ココたん、その通りだにゃん、胸が小さいからなのだ」

「ちょ、来愛!」

何の会話してんだよ、アイツら。


「いいかい、ちっぱいは水着に隙間が生じるにゃん、その小ささゆえに悲しい隙間が」

「ううっ、だからダメなの?」

「来愛、いい過ぎだよ!」


「最後まで聞くにゃ、いっタン。その水着で泳いだらどうなるにゃん? 隙間から水が入るから水着が取れやすいのだよ、ちっぱいは!」

「がーん! 来愛はそれを心配してくれてたの?」

「もし、響介くんが、ちっぱい好き、またはちっぱいに目覚めたらどうなるにゃん? 巨乳の天敵はちっぱいなのだよ……しかもココは生粋の美少女、もし響介くんがちっぱい好きだったらボクに勝ち目はないのだ!」


 ゴン!

「痛いにゃん! 何するのだ、響介くん」

「誤解を招くような事は言うな!」

「ホントよ、結局自分の心配してんじゃん」


「ちっぱいを侮ってはにゃらん! 今やちっぱい市場は数兆円とも言われ巨大マーケットへ成長しているにゃ、おっぱいは成長しないけど。ちっぱいはまさに小さな宝石なのだよ!」 

「何調べだよ!」


「響介くん! どっちのオッパイが好きにゃん?」

来愛はココを横から抱き寄せ迫ってきた。

くぅー、何て質問しやがる。


 ゴン!

「いったーい! 何するにゃん、美優タン」

「ココを巻き込むな」

「は、はーい」


 ヒソヒソ

〈響介は誰のオッパイが好きなの?〉

「い、一華!? な、何言ってんだよ!」

「へへっ、教えてよ」

この子はよくも恥ずかしげもなく。

「お、教えない!」

「へっ? ってことは誰かのオッパイは好きなんだ?」

言い方よ!

「にゃんだと! ボクだよね? ボク!」

「来愛! 響介から離れてよ」


 何か居た(たま)れない、逃げようかな。そういえば何か物足りないと思ったら花音がいない。

「花音は?」

「いないわね、お腹が空いて何か買いに行ったのかしら」

1人はマズいだろ。



      ==================



 何よ、響介ったら、来愛にまとわりつかれて、まんざらでもない顔しちゃってさ、これだから男って!


「アタシだってそんな小さくないのに、男の人って大きい方がいいのかな」



「あれ、お姉さん1人? めっちゃ可愛いじゃん!」

またか、シカト、シカト。

「待ってよ、ちょっとお話ししようぜ」

「なっ、離してよ!」

手首掴んできた、蹴りでも入れてやろうかしら、でも相手は男3人か。

「ちょっとでいいからさ、俺らと遊ぼうぜ」

「しつこいわよ、誰がアンタ達なんかと、猿と遊んでた方がマシよ!」

「何だとこの! 可愛いからって調子乗ってんじゃねえぞ!」


「それはテメーらだろが」

「ヒッ! か、彼氏かよ、邪魔したな」

逃げるように去って行ったわね、助かったけど誰? この人。

金髪にグラサン、顎のチョビ髭、金のネックレスに腕のタトゥー。こんなチンピラに助けられても後が怖いわ。


「誰と来たんだ桐島はよ」

「えっ? アンタ誰? 何でアタシの事知ってんのよ」

「はあ? 同じクラスなのに何言ってやがる、藤岡聡士だ」

「へっ? 輩っぽいヤツだと思ってたけど、その様子じゃ遂に振り切ったみたいね」

「おおよ、シビレるカッコ良さだろ?」

「ええ、アンタの脳みそが痺れているのはわかったわ」

「相変わらず口の減らない女だな、助けてやったのによ」

「まあ、それに関してはお礼を言うわ、ありがと」

助けてくれたのが響介だったら良かったのに。


「花音! 大丈夫か!」

「えっ、響介!」

響介だ! やっぱ心配して追い掛けて来てくれたのね、アタシを守るように前に立ってくれた。

もう、カッコいいんだから!


「絡まれたの、嫌だって言ったのにしつこくて」

「おい! お前こそ脳みそ大丈夫か、桐島」

「誰だお前! 何で名前知ってんだよ」

「多分、ストーカーだわ」

「お前、助けてやったのに俺を悪者にする気か? イカれてんな。何で響介もいんだよ、お前ら知り合いだったんか?」

「な、何で俺の名前まで……ストーカー?」

「ちゃうわ! 俺だ、聡士だよ!」

「先輩? マジで? 何でストーカーに。改心したんじゃなかったのかよ」

「いい加減にせい! そのネタやめろや!」

「先輩、遂に振り切ったね」

「お前ら似たもん同士だな」



「ところでお前ら2人で来てんのか? そういう関係?」

「そうよ、一緒に住んでるんだから」

「ちょ、花音、それは内緒だろ」

「まさか嫁!? これが噂の学生結婚か!」

「そうなの、結婚式はまだだけどね」

「それは大学生! 高校生じゃ出来ないから!」


「お前らどこに居たんだ、俺達も合流しよっかな、いいかな奥さん?」

「あら、いいわよ、是非いらして。他にも連れがおりますけど、お気になさらずに」

何、このやりとり……。


「連れ? 2人で来たんじゃなかったのか」

「ああ、一緒に住んでる皆んなで来たからね、向こうに5人いるよ」

「……響介、ここは日本だぜ?」

「? そうだけど」

「日本で一夫多妻をやろうとは、お前は男の浪漫のパイオニアか! 流石が兄弟子、尊敬するぜ!」

「ねえ響介、アイツとはどこで知り合ったの? 友達?」

「ま、まあね」

「友達やめた方がいいわよ」



「聡士先輩、ホントに来るんですか?」

「おう、今皆んなに連絡したところだ、翔子も来てるんだ」

「あの、夢野も居るんだけど大丈夫かなって……」

夢野って一華の事? あのバカ急に大人しくなったわね、何があったのよ。


「藤岡、アンタ一華に何かしたの?」

「いや、その……」

「先輩、もう終わった事だから。でも皆んな居る場所に行くのはやめた方がいい、やっぱり今度にしよう、それじゃ、俺達行くから」


「待ってくれ、響介。夢野の親御さんもいるのか?」

「いるよ」

「お前の親御さんはアメリカだから、もし帰ってきたら教えてくれ、あの事件の事ちゃんと詫びたい。今、夢野の親御さんがいるのなら会わせてくれないか? 夢野にした事もちゃんと謝りたいんだ」

「何の話ししているの? それに事件って、まさか……」

「先輩、今日はやめよう! いずれ場を設けるからさ」


「待って響介! あの時、響介を傷付けたのはアンタなの? 藤岡」

「花音、落ち着いてくれ、もう和解してるからさ」

和解? 意味わかんないよ響介、許せるはずないでしょ、アンタを傷付けたヤツを!


 パンッ!

乾いた音がビーチに響く。


 ヒソヒソ

〈痴話喧嘩か?〉

〈いい女じゃん、スタイルもいいし、こりゃ取り合いになるよな〉

〈見た? ビンタしてたぜ、気の強い女だな〉


「花音!」

「この程度で済むと思わないで! 着いて来なさい、皆んなの所に案内するわ」

「お、お兄!」

「お前らは来んな! この件、責任取るのは俺だ」



      ==================



 あの時、俺が強かったら、傷付かずに勝ってたら、こうはならなかった。

 それが無理でもアンソレイユの皆んなが、納得いく説明ができる程雄弁だったら、あの時の事を皆んなが忘れることだって出来たんだ。


 俺は確かに無鉄砲で突っ走る、正直自分の事なんてこれっぽっちも考えてない、でも俺が傷付く事で心を痛める人がいる事を知った。足りないんだ、俺には力が足りない。

 誰かを守る事で他の誰かが傷付くなんて嫌だ。俺はまだ何者でもない、どうすれば強くなれるのだろうか。


 ある科学者が言っていた、敗者の遺伝子の話しを。

初めから強者が存在するのではなく、恐れを感じて逃げる者がいるから強者が生まれるのだと。その恐れを感じるのも遺伝子なのだと。確かに小さい頃から物怖じしない人間や度胸のある人間はいる、それは性格だと思っていたがそれも遺伝子が成すものなのか?

それに対してそんな相手を恐れる者が強者を生み出しているという事なのだろうか。

 俺は色んな事から逃げてきた方だ、その話しが本当ならこの先負け続ける敗者の遺伝子なのか?


 それならどうしようもないと諦める?

いや、諦めたくない、弱い自分に抗いたい。

何の為に?

そうだ、俺は何の為にそう思うのだろう……。




 皆んなの所に戻るも、ずっと無言だった花音が怖い。

「お帰り、花音、響ちゃん。あら、そちらの方々はお友達かしら?」

結局、翔子も先輩のダチも付いてきた。

「は、はい、えっと……」

「響介をカッターで傷付けた男よ」

花音の一言はその場を一瞬で氷つかせた。


「ホントか、花音?」

「へー、キミが響介くんを? よく顔を出せたものね」


「び、美女ばかりだと!? ここは天国か!」

先輩! この人はアホなのか、自分の置かれてる状況わかってる?

「先輩、そんな事言ってる場合じゃないだろ!」

「天国? いいえ、地獄よ」

花音、早まるなよ!


「皆んな、いいわね?」

花音の一言に皆んなは頷いた。そして花音からそれぞれ

角スコップを受け取る、どこから持ってきた?


「やるわよ!」

花音の号令であっという間に掘られた穴に聡士先輩は埋められてしまった。首から下を埋められ顔が出てる、アレだ、スイカ割りと間違われるアレだ。


「どうだボウズ、砂の中も悪くないだろが」

美優さん、ガラが悪くなってきてるよ。

「見上げるアングルもなかなか悪くないな」

この人は状況わかってねえ。


「ダメよ、美優」

「栞、止めるなよ。コイツに情けは無用だ」

「ちょっと遠いわね、波打ち際に移そっか、ここじゃ波がかぶんなくて、つまらないでしょ?」

「何言ってんだアンタは、ヒトデナシか!」

「アナタが娘のシューズを切り裂いた人よね? あと響ちゃんを傷付けたのもアナタなんでしょ?」

栞さんは先輩の前でしゃがんで問いかける。微笑んでいるが何か怖い。


「へっ? アイツの母ちゃん? ウソだろ、メッチャ若いじゃん! しかもこのアングル最高っすわ!」

先輩、ここまでバカだと清々しいわ。

「全然反省していないようね、美優、割っちゃう? このスイカ」

スイカじゃないから栞さん!


「ま、待て、違う、俺はスイカじゃねえ! なんだこの威圧感、はっ!? まさかアンタが……」


《先生、俺、真壁と夢野の親に謝ってきます》


《やめとけ、響介の親はアメリカだ。一華の方は今はダメだ、ほとぼり冷めてからの方がいい》


《すぐ謝った方がいいんじゃないっすか?》


《流れ星のように美しく、見惚れたら最後、一瞬で葬られる事から“流星の栞“と呼ばれ恐れられた、それが一華の母親の通り名だ。生きて帰れると思うな》


「まさか、アンタが師匠が言っていた、流星の……」

「あら、どこで覚えたのかしら、そんないけない言葉」

栞さんは角スコを振り翳し、先輩目掛けて突き刺した。


「ママ!」

「シオりん!?」

「栞さん!!」


 角スコは先輩の顔をギリギリで交わし、砂に突き刺さっていた。


「先輩! き、気絶してる」

「大丈夫よ、響ちゃん。ちょっとお灸を据えただけだから」

ちょっとじゃないでしょ! 翔子達、青ざめてるよ、砂の上で正座してるし。




「すみませんでした!!」

埋められていた砂から出され、目を覚ました先輩は栞さん達の前で土下座した。


「俺がやった事は謝って済むものではないという事はわかってる。けど、これからも響介のそばにいる事をどうかお許し願いたい!」

「あん? なんでお前が響のそばにいなきゃなんねーんだ、お?」

美優さん、もう、チンピラじゃん。


「あんな事した俺を響介は許すどころか、くすぶって腐った生き方してた俺を救ってくれたんだ。アイツが庇ってくれなかったら今頃俺はもっと暗闇に堕ちてた。だから恩返ししてえんだ、響介はバカみてえにお人好しで無鉄砲なヤツだから、これからも傷だらけで生きていくだろう、だから守ってやりたいんだ! 命も体も張って守っていく、コイツがお人好しのまま生きていけるように! 今回の件は本当に申し訳ありませんでした! どうか響介のそばにいさせて下さい!」

先輩……。


「わかったわ、様子見しましょう、その言葉が本当かどうか確かめさせてもらうわ」

栞さん……。


「ア、アタシも謝りたい、発端はアタシがイッチにくだらない嫉妬した事から始まった事だから、本当にゴメンなさい!!」

「大丈夫、もう許してるよショコ。部活でも仲良くしてくれるし、こないだもテストの問題、事前に教えてくれたじゃん」

ん?


「ハハ、あれくらいは朝飯前さ、先生のパソコンに潜り込むなんてチョロいもんだよ。アタシさ、将来ホワイトハッカーになりたいんだよね!」

「ショコならなれるよ!」

それ、ホワイトじゃないからね。


「お前、名前は?」

「聡士っす!」

「ケーバン教えろ」

「ケーバン?」

「携帯の番号だよ!」

「はい、姉貴!」

「ワタシらはまだ許してねーかんな、暫くお前はパシリだ、呼んだらすぐ来いよ!」

「喜んで!」

美優さん、怖すぎなんだけど。先輩、舎弟になってんじゃん。


 こうして和解? してその後皆んなで昼メシを食べた。

 後に思う、俺は仲間に恵まれていたんだと。

そしてもうすぐやってくる新たな出会いは俺を次の舞台(ステージ)へと連れて行く、運命の歯車へ向かって。



 






海の次はキャンプだ! 釣り堀にBBQを満喫するアンソレイユのメンバー達。しかし響介にはある企みがあった。それはこのキャンプで皆んなに花音の手料理を食べてもらう事だった。

第30話 この料理に想いを込めて  

12/13 お昼に更新します!

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