表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陽だまりのセプテット  作者: ÷90
第1章 邂逅

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/27

第14話 揺れる想いと一途な恋


「ね、次の土曜日皆んなで遊びに行かない?」

昼休み唐突な玲彩からの提案。


「うむ、良かろう」

「おう、いいぜ!」

「うん、俺も大丈夫。槇斗、塾は?」

「塾はないんだけど、あのさ……」

なんだ? 槇斗にしては歯切れ悪いな。

「鈴羽も連れてっていいかな?」

俺達は顔を見合わせて即答した。

「勿論!!」


——— 土曜日


「この度は私もお招きに預かりありがとうございます」

小鳥遊さんは皆に丁寧に頭を下げて挨拶した。

「うんもう、優等生! こんなお姫様みたいな人と遊べるなんてこっちこそ、よろしくだよー」

ホント人見知りしないヤツ、でも玲彩のこういう人との垣根を軽く超えちゃう性格は羨ましく思う。悪い方に行かなければだけどね。


 でもやっぱ気になるな、玲彩はあの子何だろうか?


「今日はカラオケにボウリング、ゲーセン、そして焼肉食べ放題! 満喫して大会前に英気を養うのだ!」

「おう!」


「時に小鳥遊殿は、かような遊び事は初めてかえ?」

「あ、はい、でも凄く楽しみです!」

「そこは王子様のエスコートの見せ所だな」

「ですね!」

「おい、響介、鈴羽までも」

「フフ」

「もしかして2人、付き合ってるの?」

興味深々に聞く玲彩。俺は知っている、キッカケを作った張本人だから。


 槇斗と小鳥遊さんは目を合わせ軽く頷いた。

「うん、実はそうなんだ。言い出すタイミング分かんなくてゴメン」

「キャー、ウソー!」

興奮のあまり玲彩と琴子は両手を繋ぎ飛び跳ねている。というか、興奮してる玲彩の巻き添えになった無表情の琴子の顔よ。


「マジかー! 学年で1.2を争う美女の1人が陥落しただとー!」

「陥落って、憂太言い方な」

「残念ながら、1.2を争ったもう1人の美女のアタシも堕とされてしまうわけね」

「一応聞いてやるが誰にだよ」

「響介よ、ウフ」

「えっ、俺?」

「うん、付き合いましょ!」

「響介、相手にする事はないぞよ」 


「それに1.2を争ってんのお前じゃないからな」

「はあ? アタシ以外に誰がいんのさ?」

「そりゃ、夢野一華だろ?」

「何でアイツなのよ!」

「そりゃあクールビューティーだからだろ? たまに見せる笑顔に皆心を射抜かれるみたいだぜ、俺も見たいなー!」

「愛想悪いだけじゃん」

「そこがいいんだろ?」

「そうじゃ、主にはその座も響介も過ぎたるものじゃ」


「なんでアンタがそこまで言えんのよ? まさかアタシより恋愛してるとでも? その幼児ボディで」

「フフ、妾に意見するとは笑止千万、朝チュンしてから言うがよい」

「えっ、アンタまさか、やったの?」

「玲彩、言い方な!」

「フッ、熱いお方じゃった」

「ア、アタシより、先に……」


「真に受けるな玲彩、ゲームの話だ。戦国の恋愛もんだろ? 大方夜通しやって朝に結ばれたって所だろが? 何か朝方◯◯様ー! とか叫んでた時だろ?」

「憂太、貴様ー! 女子(おなご)の秘め事をバラすとは万死に値するぞ! 死をもって償うがよい!」

「バラすも何もお前の叫び声が聞こえてくんだよ、家隣りだから!」


 琴子は顔を真っ赤にして憂太に突進するも簡単にいなされ膝の上に座らされていた。

抗えなくムフーと怒る姿は捕獲された小動物のように可愛いくて何かほっこりするやり取りだった。


「あの2人ってどういう関係?」

「家がお隣りの幼馴染みよ、琴子の部屋の窓開けたら憂太の部屋が目の前にあんの」


 そうなんだ、何か違和感。その割には2人はたまによそよそしいと言うか距離感が分かりにくい。どちらかと言えば憂太と玲彩の距離感のほうが近い。でも今は琴子を膝の上に乗せてるんだが、2人とも自然な感じがするんだよな。


「ねえ、UFOキャッチャーやろうよ、獲って欲しい物があるんだ! 響介、ほら、行こ、行こ」

玲彩に引っ張られ強引に連れて行かれたが、玲彩のこういう所は割と嫌いじゃない。



======


「ハハ、あの感じ響介も満更じゃなさそうだな」

「相変わらずお主の目は節穴よのう、じゃから未だに彼女ができんのじゃ」

「イタタタタタ、頭をグリグリするな! ハゲる、ハゲるー!」


「どうみてもいい感じじゃねーかよ、あの2人」

「と、友としてはな、お主は響介の態度に疑問を持った事はないかえ?」

「疑問? どんなだよ」

「浮いた話が殆どないじゃろ」

「そうか? 結構告白されてるみたいだぜ?」

「じゃが、その後の話しはないじゃろ? 付き合わなくともデート位あっても良さげじゃ。それに儂は、あやつが女子(おなご)に気のある素ぶりを見せている所を1度も見た事がない、チョットでも見せれば、簡単に女子(おなご)を釣れるだろうにのう」


「魚みたいに言うなよ。でも言われてみたら確かにな、女に興味無い? 違うな、彼女作る気無い感じだな」

「そうじゃ、そげな眼で見る女子(おなご)がおらんのじゃよ、友達ならいいが恋愛にはまるで興味が無さそうに見えるのじゃ」

「まあ、その内何かわかるだろ、取り敢えず俺達も行こうぜ」



======


「ねえ響介、このヌイグルミ獲ってよ!」

割とデカいな、取れるんかコレ? で、俺の金でやんの?

「葉好きー(ケン)! 可愛いでしょ! このシリーズ好きなんだ!」

葉っぱが好きなハスキー犬、よく思い付くもんだな‥‥‥。


「あーん、この子がいいな、頭の上に葉っぱが乗った子、可愛いいー!」

あんま得意じゃないが、しゃーない頑張ってみるか。


「ありがとう槇斗、この子可愛い!」

小鳥遊さんは、嬉しそうに槇斗が獲ったヌイグルミを抱きしめてる。

ゲッ、あんなデカい猫のぬいぐるみ取ったの槇斗? アイツに出来ない事あんのか!?

「響介、コツ教えてあげるよ」

「おおう、友よ!」


 はー、やっと取れたよ。あ、玲彩が目をキラキラさせながら見てる……。

「はい、どーぞ」

「ウソ、くれんの? 嬉しい! 大切にするね!」

何このやり取り、強引にせがまれて獲ったのに、くれるの? って、意味わからん。


「まあそんな顔すんなよ響介、玲彩はこのシチュエーションが欲しかったんだろ? 何気にお付き合いスルーされてたから許してやれよ」

スルーしたのバレてたのか、案外見てんな憂太、でもあんなの答えられるわけないだろ。


 玲彩がもしあの子なのだとしたら、小さい時とはいえ、あんな別れ方した相手にこんなにグイグイくるもんかね。

 でも、いつまでもウダウダしたくはないな、近い内にタイミング見て思い切ってストレートに聞いてみるか。


「うーん、遊んだねー、お腹ペコペコだ! 皆んな

焼肉食べ放題で大丈夫?」

「俺達はいけるが小鳥遊は大丈夫か? そんなに食うように見えんが」

「は、はい、頑張ります!」

「鈴羽、焼肉は頑張るものではないんだよ」

「でも私、この様なお店初めてなので皆さんと一緒に食べたいです!」


「槇斗、いい子だな、大事にしろよ」

「響介、焼肉で言うセリフ?」

「たしかに!」

笑いが湧き上がった。


「琴子は大丈夫なのかい?」

小動物だし少食のイメージなんだが。


「コイツは気にしなくていいよ、慣れてるからよ」

「こやつらと行く時は大概食べ放題じゃからな」

「何か大変だね」

「そうでもないぞ、別のところで妾に合わせてくれてるからのう、昔からそんな関係なんじゃ」

 なんか凄く羨ましいな、言わなくても分かり合える関係なんだな。


「響介、焼肉代はアタシが払うよ。ヌイグルミ獲るのにお金使わせちゃったしさ」

そこはちゃんとわかってたのか、憂太の言ってた通りあのシチュエーションを体験したかっただけなのなら、なおさら、金なんて気にして欲しくないな。


「何言ってんだよ、プレゼントだって言ったろ? 気にすんなよ」

「せがんだのアタシだよ?」

「あんなに喜んでもらったんだ、金使った甲斐はあったよ」

「ありがとう、響介! 凄く嬉しい! 大切にするね!」

玲彩の笑顔にドキッとした。おかしいな、玲彩は良く笑う子だ、玲彩の笑顔は見慣れてるはずなのに、一瞬心を奪われた。


「腹減ったー! 早く入ろうぜ!」

「待って憂太、その前にこの子コインロッカーに預けてくるね、匂いついたらヤダもん。鈴羽ちゃんも行こ!」


〈なあ琴子、本気になる前にさっきの話し玲彩にした方がいいんじゃねーか〉

〈そうじゃが、もう手遅れかもしれんがの〉

「何2人でコソコソ話してんの? もしかして何か企んでる?」

「違う、違う! メニュー豊富だなーって、なぁ琴子!」

「うむ、それだけで妾は腹が一杯じゃ」

「いや、食べなよ、お金払うんだからさ」

何か慌ててない? 変な事企んでなきゃいいけどな。


———


「いやー今日は楽しかったな! またこのメンツで

遊びに行こうぜ!」

「うん、いいね! もうそろ外で焼肉出来そう!」

「玲彩は卒業したら焼肉屋に就職したらいい」

「響介それはダメじゃ、客に出す肉がなくなるわい」

「酷い! アタシそんなに食いしん坊じゃないよ!」

「じゃあ次は外でBBQだな、どこでやる? 予約必要だよな?」

「ウチの近くの公園で出来たはずだから俺が聞いてみるよ」

「おう、響介頼むわ」

「楽しみですね、槇斗。私デザート作ってきます!」

「鈴羽、お菓子作るの好きだもんな」

「出来た嫁だな」

「な、何言ってんだよ憂太!」

ハハ、2人して照れちゃってホントお似合いのカップルだな。

「それじゃあ、またな!」

俺達はそれぞれ帰路に着いた。



======


「へへー、いいでしょ、響介がプレゼントしてくれたんだ!」

「かなり強引だったがな」

「へへー、響介優しい」


「のう玲彩、お主、響介の事は本気なのかえ? 響介にその気がなかったとしても」

「おい、琴子!」

「……わかってるよ、そんな事はアタシが1番わかってる」

「玲彩……」


「でも好きでいるのは自由でしょ? 響介、彼女どころか好きな人もいなさそうだもん」

「そうなんだよな、作らない理由が何かあるのかもな。アイツこの間なんか2年に告白されてたんだぜ」

「作らない理由か‥‥‥妾にはどこか恋愛感情というものが欠落してる様にも見えるがの」


「流石恋愛マスター琴子様、ゲームではだがな」

「ムゥー! 憂太、お主はいつも一言余計なのじゃ」

「イタイ、やめろって、暴力反対!」

「その痛み妾の心の痛みと知れ!」

「じゃあ大した事はないな」

「なんじゃとー!」


「アハハ、ありがと、2人とも。心配してくれてるんだね、大丈夫だよ」


 琴子の言った事、何となく気付いてた。最初はアタシに興味ないのかなあってショック受けたけど、一緒に過ごす中で他の男子との違和感を感じる様になったの。それでも気付かない振りしてたのはね、もうちょっと様子を見たかったんだ。


    だって彼は気付いてないんだもん


  アタシ達はもっと前から出会ってたんだから




少しずつ近づいていく響介と玲彩の想い、その鍵になっているのは8年前のあの子の存在。あんな事件があってもなお、あの子に会いたいのか自問自答し始める響介だが、思い掛けない場所で玲彩を見かける。

次回 第15話 わがままな太陽 

10/24 お昼 更新です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ