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第6話 不意打ち

「あれ、なんで綾瀬さんがいるの?」


 綾瀬さんとは挨拶したり、席が隣になった時には教科書を見せてもらったような仲である。

 休み時間になると話しかけたりもしてくれた。


 正直綾瀬さんは早口なことが多くて、何を言っているのか分からないこともあったが、僕になにか伝えたいという気持ちは分かった。


 そんな彼女がなんで隣の席に居て、桃園さんを睨んでいるのだろうか。


 どうやら僕は寝ていたようなので、その間に喧嘩でも起こったのかもしれない。


「あのね、悠くん。この女はマスターと組んで、悠くんの飲む紅茶に睡眠薬を盛っt」


「そんなことはありませんよ。そもそも私が茅森くんに薬を盛る理由がないですよ」


 桃園さんは綾瀬さんが話しているのを無理やり遮った。

 しかも、僕の目をまっすぐと見てきた。

 まるで私は嘘を吐いていませんよと、言わんばかりの視線である。


 でも昨日の寝た時間を思い出してみると、そんなに遅くまで起きていなかったような気がする。

 詳しく憶えてはないが。

 だから、こんな時間に寝ちゃうのは流石におかしい気もする。


 しかし、桃園さんの言い分もごもっともである。

 この前財布を拾ってあげただけの関係なのに、僕に薬を盛るなどありえないだろう。


 自分の思考に浸っていると、いきなり机を叩く音が聴こえた。


「悠くん、あの女は嘘を吐いてる。私を信じて」


 いきなり僕の手を握って言ってきた。


 少し気味が悪いのでやめてほしい。

 しかも、握る力が強くて手が痛い。


 2人から熱烈な視線を向けられて困るが、自分でもなぜ寝てしまったのか分からない。

 なので、この場でどちらが正しいのか判断出来ないし、被害者である自分は特に何とも思わないのでこの場は不問にすることにした。



「茅森くんはこんな時間にも寝ちゃうぐらいなんだから、多分疲れてるんだよ。だから今日はゆっくり休むんだよ」


 やはり桃園さんは、僕に薬を盛るなんて事はしてないと思う。

 表現しづらいのだが、雰囲気というかなんとなく嘘を吐いてる感じがしない。


 しかし、綾瀬さんも同じで嘘を吐いてる感じはしない

 非常によく分からない状態だが、このままここに居ても何も変わらないので桃園さんとは解散することにした。


 どうやら綾瀬さんも帰るようでお会計をしている。


「じゃあまたね、茅森くん」


 綾瀬さんより早く会計を終わらせた僕たちは、お店を出て別れた。


 喫茶店の中で寝たにも関わらず、まだ眠い気持ちもある。

 そのせいで視界が少しぼやけるが、目をこすりながら帰路についた。


 ふとした時に先程まで会計をしていた綾瀬さんの方を窺うと、既に居なくなっていた。

 辺りを軽く見渡してみると、綾瀬さんどころか桃園さんの姿も見えなかった。


「(二人とも帰るのが早いな…何かこの後に用事でもあったのかな?)」


 驚くほど静かになった道路に、少し不気味さを感じながら歩みを進めた。




「(せっかく茅森くんを監禁できる一歩手前まできたのに邪魔しやがって。あ〜あ、ムカつく)」


 いい気持ちを台無しにされたせいで、フラストレーションが溜まっていた。

 この日の為に色々と準備をしてきたのに。


 あんな女がいるなんて情報はどこにも無かった。

 それに茅森くんと少し親しげだった。


 明らかに自分のリサーチ不足な気もするか、正直想定外である。

 どうやら他にも彼を狙っている女はどうやら他にもいるらしいが、あの女はどこか異質さを感じざるおえない。


 そんなことを思っていると後ろから、いきなりナイフを突き立てられた。


「動いたら刺す」


 刃渡りは12cmほどで、人を殺すには十分な武器だろう。

 しかし、あまり脅威には感じない。

 だって刺されるまでの間にナイフを奪うことぐらいは、私なら余裕だ。


「それで何が目的なの"綾瀬さん"」


 私にナイフを突き立ててきている相手は、茅森くんに綾瀬と呼ばれていた女だろう。

 先程まで聞いていた忌々しい声が後ろから聴こえたので、一発で分かった。

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