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第4話 ビチ子

『洞窟奥……通称「繁殖場」に移動してください。ルートを表示しますか?』


「大丈夫だ」


 せっかくゴブリンに転生したのだから、せめてもの役得に、と何度か足を運んだことがある。


 だが、行為に及んだことは一度も無い。


 酸鼻を極めるゴブリンの交尾に性欲が削がれたこともあるが、それ以上に「可哀想な女」は俺の趣味じゃないからだ。


「可哀想なのは抜けないんだけど?」


『問題ありません』


 歩いて3分で「繁殖場」に到着。


 現在「繁殖場」には3人の女が捕らわれている。


 残った衣類の残滓からおそらくは村娘だろう。


 ……いずれも酷い有様だ。


 全身は子種と泥、彼女らの糞尿と愛液に汚れ、悪習に慣れきったゴブリンの鼻でもすえた匂いが漂ってくる。


 悲鳴が聞こえてこないのが、唯一の救い、かどうかはわからない。


 聞こえてくるのは、ゴブリンの雑な息づかいと、獣のようなあえぎ声。


 ゴブリンと事に及ぶ彼女らの顔は極上の幸福の中にあるかのように蕩けきっているが、それは「正気」という大切なもの失った狂人のそれに他ならない。


  度重なる強姦に今や彼女らは正気を失い、ゴブリンの腰の動きに連動して喘ぎ、ゴブリンを生み出すだけの玩具に成り下がっているのである。


 そのことを知らしめられたのは、初めて繁殖場を訪れた夜のことだ。


 初めて繁殖場を訪れた夜、無駄に正義感を刺激された俺は、彼女たちを真夜中に逃がそうとした。


 だが、失敗に終わった。


 逃がそうとした俺に、彼女らは何を思ったか、ひとりは股を開き、ひとりは尻を向け、ひとりは乳房を揉みしごき、事に及ぼうと襲いかかってきたのだ。


 あまりの恐怖に逃げ帰ったため、未遂で終わったが……。


 怖かった。本当に、怖かった。


 強姦って悪いことだな、と身を以て知った、



(……はぁ、帰りたい)


 でも、帰れない。


 女神がいるのだから、当然、女神教で伝えられる地獄もあるわけで、女神に暴言を吐いた以上、次に死んだら転生なしで、間違いなく地獄行きだろう。


 地獄に落ちるだけの悪事を働いた自覚もあるしな。


 ……まあ聖女に復讐できるのなら地獄行きもやぶさかではないが。


「や、やるか~」


 気は乗らんが、地獄行きを回避できるのなら、何だって御の字だ。


 ……さて、誰に相手して貰おうか。


 俺の使い尽くされた鉛筆ほどのゴブリン棒でご満足いただけるかは懐疑的だがね。


『個体名「ビチ子」との性交を推奨します』


「――誰?」


『繁殖場、右から1番目の個体です』


 ああ、あのブロンド美人か。


 赤いドレスの残滓が申し分程度に肢体を隠し、子種と泥の化粧が美貌を損なうことなく、かえって妖艶さを際立たせている。


 ……うわ、目が合った。


 狂気に濁ったエメラルドの瞳が、俺を見て三日月に歪む。


 俺を誘うように足を組み替え、胸部を前に垂らし、その豊満さを主張してくる。


 蛇に睨まれたカエル……いや、ゴブリンか。


 娼館で出会っていたら小躍りしながら向かっていっただろうが、ゴブリンに転生したからか、生存本能が際立ち、やばよやばよ、と警鐘を鳴らしている。


「な、なぜ、彼女を推奨する?」


『堕落率80%を超えながらも正気を保っている有望個体だからです』


「だ、堕落率? いや、ちょっとまて――あれで、正気なのか?!」


『堕落率とは、人間の魔物化浸食度合いをパーセンテージで表したものです。数値が高いほど魔物に近い存在となります。「正気なのか?」については「Yes」です。彼女は正気を保ったまま、ゴブリンとの性交、出産を楽しめる希有な個体です』


 だから「ビチ子」か……。ネトラレさんはなかなか毒舌でいらっしゃる。


「ちなみになんだが、他の子じゃだめなのか?」


『雌個体A、ならびに雌個体Bの堕落率はすでに90%を超え、魔物化の兆候が見られます。そのため、セーブポイント作成にはリスクが高いと判断しました』


「ちょ、魔物化してんの!?」


『あくまで兆候です。ただし正気を失っている時点で耐性がないと判断されるため、堕落率100%を超えた時点で魔物化に耐えきれず肉体が崩壊すると推測されます』


「堕落率は、その……やると上がる感じか?」


『正確には、魔のモノを体内に取り入れることで上昇します。具体的には、性交、吸血、食肉などです。魔法契約による関係性でも上昇することがあります』


「堕落率は下げられないのか?」


『女神教会所有の「聖水」を服用することで快癒は可能です』


「なるほど……」


 近いうちに『雌個体A』さんと『雌個体B』さんを村か街の教会に連れて行こう。


 ゴブリンにヤられまくった挙げ句に魔物化で肉体崩壊なんてあまりに忍びない。


 ……まあ今の俺はこの群で勝手ができるほど地位は高くないんだけどさ。


 んぐっ、と生唾を呑み込み、覚悟を決めてビチ子に歩み寄る。


 どどどどっ、と心臓が病的に高鳴る。


 初めて娼館に行ったときもこんな感じだったか、……いや、違うな。


 今のドキドキワクワクはあのときとは真逆のものだ。


 初めて戦場に立ったときの方が似ているかもしれない。


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