第19話 廃屋探索
とりあえず材料集めに出張ることになった。
本当は、他のゴブリンに材料集めを任せ、俺は【ゴブリンクラフト】に専念したいところではあったが、如何せん、ゴブリンの目利きは信用ができない。
何せ、糞と泥も見分けらない連中だからな。
結局、俺が全部やらなければならない。
所詮はゴブリンだからな。……俺もゴブリンなんだけど。
護衛にゴブリンCを率きつれ、村外れを目指す。
護衛は多い方が良いので、本当はゴブリンEも連れてきたかったのだ。
だが、イータやイプシロンまで来たがったので、ゴブリンEには子ゴブリンの玩具……いや、保父さんをやってもらってる。
好奇心旺盛な子ゴブリンを外に連れ出したらどうなるか……少なくとも無事に帰ってくる自信はない。せめて成体に進化するまで巣でお留守番だ。
そんなこんなで夕闇に紛れて村はずれに到着。
狙いは、もっとも村の外縁に位置する、半ば自然に呑まれて朽ちつつある廃屋だ。
おそらくこの村で一番古い家屋と思われる。
早速、中に入る。
「おじゃましま~す」
おぅ、なかなか酷い有様だ。
床は腐れ落ち、天井は雨漏りの染みとカビに覆われ、ところどころ空が見える。
大嵐でもきたら綺麗さっぱり吹き飛ばされそうな有様だ。
家探しを開始するが……、棚には何もない、引き出しにも何もない。
せいぜい、うち捨てられたテーブルと椅子があるだけだ。
おそらく引っ越しに時に不要となって置いていったのだろう。
どうやら住人は物を大切にする良い人物だったようだ。
……工具のひとつも忘れていっちゃくれていない。
だが、まったく収穫がないかと言えばそんなことはない。
棚がある、床ある、何よりもテーブルと椅子が残っている。
控えめに言って大収穫だ!
物を見つからずに運ぶには夜の闇に紛れるに勝るものはない。
夜を待つ間、ゴブリンEと一緒に床板から釘を抜き、棚をばらす。
棚ひとつで何枚もの木の板と釘が手に入るので実にお得だ。
暇つぶしに【ゴブリンクラフト】で「ゴブリンの木盾」を作ってみた。
床板と錆びた釘でできているので、実にお粗末なものだ。
……まあ無手よりはマシだろう。
ゴブリンCが欲しそうにしていたのでくれてやった。
「ありがとう、ボス!」
大喜びである。
気を良くした俺は、ついでに椅子の足に釘をぶっさし、滑り止めに植物の茎を柄に巻いただけの、簡単な「釘棍棒」を作って、ゴブリンCにくれてやった。
「いいんですか? 本当に? ボス、大好きです!」
これも大喜びである。
よしよし、これでもしも人間に見つかっても安泰だ。
俺よりも武装したゴブリンCの方に注意が向くから俺は逃げやすくなる。
簡単に殺されては護衛の意味がないので兜や籠手なんかも作りたいところだ。
……しかし。
「ふぅ~」
作業を止めると、途端に石で釘を打っていたのが馬鹿らしくなってくる。
――工具が欲しい。
切に思った。
金槌ひとつ、鋸ひとつ、万全のものとは言わない。錆び付いているものでいい、どっちかひとつでもいい、とにかく工具が欲しい。
金槌代わりの石で釘を打って、へにゃってなるのはもう嫌なのだ。
板を割ろうとして、変なところでバギッってなるのはもう勘弁して欲しいのだ。
「次の廃屋に行くぞ」
立ち上がり、隣の廃屋に向かう。
材料集めよりもまずは工具集めだ。
「ボス、お腹がすきました」
後ろからゴブリンCがついてきて無邪気にそんなことを言った。
「その辺の虫でも食っとけ」
「は~い」
むしゃむしゃ、と咀嚼音。
「ボス、ボス」
「なんだ?」
「暇ならうちと交尾しましょうよ~」
「暇じゃ、――あんだって?」
「交尾交尾~♪」
後ろを振り返ると、無邪気な笑顔で腰を振るゴブリンCの痴態があった。
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