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第16話 ツンデレさんの夜

 後ろを見渡すが……松明の明かりは、ない。


 30分は森の中を逃げ回ったからいい加減諦めてくれたかな?


「ふぅ~」


 ようやく一息つける。


 本当は(うち)に帰ってゆっくりしたいところだが、森の中を滅茶苦茶に逃げ回ったせいで、今どこにいるのかもわからんから、今夜はここで野宿だな。


 日が昇ったら村人が起き出す前に(うち)に戻ろう。


 ごろん、と寝転び、枝葉の間にあるお月様を眺める。


「……あ~あ、酷い無駄骨だった」


『ツンデレさんですね』


「――あん?」


『ガガの行動は「業ポイントを稼ぐ」という点では合理性を欠いていましたが、「女の子を救出する」という点においては、まさに合理的でした』


「たまたまだよ……」


『そうですね、たまたま台所で鍋とフライパンを手に入れ、たまたま女の子の救出に役に立った、そういうことにしておきましょう』


「……」


『そんなツンデレさんに嬉しいニュースです』


「なに?」


『【ゴブリン言語】を習得するのに必要な業ポイントが貯まりました』


「……ろくに悪事を働いていないと思うが?」


『最初のノックで「10」ポイント、鍋などの窃盗で「50」ポイント、村人をゴブリンのもとに誘導したことで「100」ポイント、ゴブリン3匹討伐で「30」ポイント、残りの「10」ポイントは女の子を驚かせたことにより加算されました』


「色々ツッコミを入れたいところがある。……まず『村人をゴブリンのもとに誘導した』のが悪事か?」


『非戦闘員をゴブリンのもとに誘導したのです。今回は上手くいきませんでしたが、サイコロの出目がよければ村人に損害を与えられていました。立派な悪事です』


「さようか……」


 悪事を働くつもりはなかったが……、言われてみればネトラレさんの言うとおりだ。村人をゴブリンのもとにおびき寄せて、危険に晒したわけだしな。


『他には何かありますか?』


「なんでゴブリンを退治してポイントになるんだ?」


『「人類勢力のレベルアップを妨害した」からです』


「その理屈だと魔物狩りで業ポイントを稼げるのだが……いいのか?」


  ……というか、魔勢力側の損害にならんのだろうか?


『構いません。魔軍所属でなければ好きにしていい、との決定が出ています』


「……扱い雑だな」


 生きて人類に仇なすもよいが、人類の糧にならねば死んでもよし、ってか?


 ……まあ下っ端なんてそんなもんか。


 ありがたく業ポイント稼ぎに使わせて貰おう。


 人に危害を加えるより気楽で良いしな。


『ところでガガ、帰らないのですか?』


「道がわからん」


『わかりますよ?』


「どうやって?」


 ぴこぉ、と目の前に画面が浮かぶ。


 これは……ここら一帯の地図、か?


『アップデートにより自動地図作成機能が追加されました』


「さ、さよか……」


 早く言え、とツッコむ気力さえなかった。

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