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第11話 変わる世界

 頭の中は考えることで一杯だった。


 ビチ子さんに膝枕――俺が望んだのではない、半ば強引にだ――されながら、まず考えたのは、ゴブリンでもそれなりに強くなる方法だ。


 せめて農夫に殺されないくらい強くなりたい。


 ……というか、もう誰にも殺されたくない。


 転生回数が残り1回というのもあるが、単純に死ぬのは怖いし、致命傷の類は文字通りに死ぬほど痛いからだ。あれはもうちょっとしたトラウマものだ。


 やはり楽して強くなるにはスキルの習得が手っ取り早い。


 だが、そのための業ポイントを稼ぐのは、なかなかにリスキーだ。


 残りの業ポイントは「60」、これで何を取るのが、……あれ?


「ネトラレさん、ネトラレさん」


『はい、NT-R3です』


「今気づいたんだけど、俺の業ポイント増えてない?」


 俺の記憶が正しければ農夫に殺される前は「50」しか残っていなかったはずだ。


 その後、カンストと好感度を見られるようにしたから残りは「10」のはず……。


 ……はは~ん、ネトラレさんめ、計算をミスったな?


『ミスってはいません。農夫の安眠を妨害したことで獲得したポイントです。デフォルトでは100ポイント以上の獲得で通知するように設定されていますが、獲得時に逐一通知することもできます。逐一通知するように設定しますか?』


「あ~、うん、――い、いや、やっぱりデフォルトのままでお願いします。でも、ある程度ポイントが貯まったら教えてくれるとありがたいかな~」


 逐一通知を受けるのは鬱陶しいが、さりとて、ポイントが貯まっているのに気づかずにいるのも阿呆くさいからな。


『了解しました。何ポイントで通知するように設定しますか?』


「その時に習得可能なスキルの必要ポイントまで貯まったらお願いします」


『了解しました』


 ……さて、降って湧いた「60」ポイントだ。


 技能系スキルを覚えるには足りなすぎるが、ステータスup系ならいくらかいける。


 どのステータスを上げようか……まあ悩むまでもない。


 もちろん「かしこさ」だ。


 ついさっき「かしこさ」の大切さを噛み締めたばかりだからな。


「ネトラレさん『かしこさup』を取れるだけお願いします」


『了解しました。スータスup系のスキルは5ポイント以上の習得から業ポイントは「20」が必要となりますので、現在所有の業ポイント「50」で「かしこさ+5」を習得します。残り業ポイントは「10」です』


「よろしく~」


『……』


 ……むぅ?


 視界がぐにゃりと歪み、


「……ん?」


 目を覚ます。どうやら眠ってしまったらしい。


『おはようございます、ガガ』


 抑揚のある声に、一瞬「だれ?」と本気で首を傾げてしまった。


 もちろん、誰でもない。


 ネトラレさんだ。どうやら「かしこさ」が上がったのでアップデート――、


「――!?」


 思わず目を擦る。


『どうしましたか、ガガ?』


「いや、今、……幻覚?」


『幻覚、ですか?』


「ああ、緑色をした二歳か三歳くらいのがきんちょが俺の前を――」



「ボス、腹減ったか?」



「いや、大丈夫――」


 ……じゃない!


「どわあああああああ~!」


 前世でも滅多に上げることのない絶叫を上げて、俺は全力で後ずさった。



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