第10話 好感度
まさかまさかである。
「お前……ゴブリンCか?」
「ぎゃぎゃぎゃ!」
「ちょっと何を言っているのかはわからんが、そうなんだな?」
「ぎゃぎゃぎゃ!」
やっぱり何を言っているのかわからん。
だが、ネトラレさんの視覚アシストに間違いがあるとは思えない。
ってことは、どうやら俺を助けてくれたらしい。
ゴブリンにしておくには惜しい、なかなかの忠義者だ。
――ひとつ疑問なんだが。
「なんで転生した俺がわかったんだ、こいつ?」
『一度、獲得した「好感度」は転生しても損なわれることはありません。そのため、転生時に形態が変化しても同個体として認識されます』
「なるほど、……ってか『好感度』ってあるのな?」
『「好感度」は「ステータスの詳細表示化:好感度表示」によって表示することができます。業ポイント30で習得しますか?』
「うぃ~」
これで残りの業ポイントは10足らず。なけなしの業ポイントがむしり取られるように消費させられるが、まあしょうがない。好感度は大切だ。
特に、ゴブリンの好感度。
友好的に見えて、実は「好感度:嫌悪」とかだったら洒落にならん。相手がどう思っているのかを知れるだけで、寝首を掻かれる危険性がぐっと減るからな。
……さて、その好感度だが。
おお、頭の上に浮かんでいるのが、それかな?
ゴブリンCは「従順:憧憬」、子ゴブリンは7匹全部「従順☆」。
「☆マークは?」
『変化しないことを示してます』
なるほど、カンストのやつと同じか。
他のゴブリンは「無関心」「不信」「警戒」と色々。
残念ながら好感情をもってるやつはいないようだ。
雌個体Aさんは「恋慕」、雌個体Bさんは「求愛」。
……やばい、俺、狙われてる?
あと、ビチ子さんは「虜:狂気」、――ん?
「――狂気?! ……これ、大丈夫な奴か??」
『ゴブリンのためには自己犠牲も、同族を裏切ることも厭わない「虜」状態の最高好感度です。少なくともゴブリンに害はない、と推測できます』
「文字通りかい!?」
「どうかなさいましたか、旦那様?」
ビチ子さんの狂気に濁った目差しが醜い俺の顔を映す。
正気とは思えないが、これで正気だという。
揚げ足を取るようだが、これこそが狂気なのではないか。
俺は、ゴブリンであることを良いことに、歪んだ笑みを浮かべるしかなかった。




