第一話 春風とともに 第一部~はじまり~
世の中にはとんでもない偶然というものが存在する。
最近起こったものといえばそう!
俺がお金持ち高校、松浦高校に入学できたことだ。
それともう一つ……あいつらと出会ったことだ。
「いやー入学式にはピッタリの天気だな~」
と、何気なくつぶやく。
窓を開けると、まだ朝の少し冷たい空気が入ってきた。
「これで駿ちゃんとはお別れだね」
母さんが悲しそうな声を出す。
「なあに言ってんだ。県内じゃないか」
俺は分けわからんことを口走る。
松浦高校は家から遠く、通える距離ではない、なので俺は学校で作った寮で住むことになったのだ。
心配がる母さんに行ってくるよと声をかけ、家をでた。
まだ薄暗く、人通りもほとんどなっかった。出発の日にはちょうどいいじゃないか。
駅で切符を買い、ホームに行くと、俺と同じ松浦高校の制服を着た女の子が立っていた。
新入生だろうか、おしゃれな小さめの手提げかばんから、高校入学のパンフレットが丸められているのが見える。
身長は少し小さめで、茶色まじりの黒髪がクマのピン止めでショートヘアにまとめてある。
はずしたらもっと長そうだ。
小さい顔は整っていて、とてもかわいらしい。
その子はずっと下を向いてなにやら考え事をしているようだ。すると、ふとその子が顔を上げた。
あわててそっぽを向いたが、気づかれてしまったようだ。
こっちに向かって歩いてきてこう言った。
「吉川 比奈」
静かな朝には似合わぬ、元気な声だった。
俺は戸惑いを隠せなかった。
「えっ、それ名前?」
ずいぶん失礼なことを言ってしまったなと、言った後で後悔した。
「あったり前じゃん。あなた新入生でしょ。この辺じゃ松浦高の生徒なんて珍しいなぁと思って。どこ中出身?それより名前は?」
ペラペラと早口でしゃべるので、俺は驚いて返答が一瞬遅れてしまった。
「えっ、えっと、俺の名前は高菜 駿。中学は東中だったけど」
吉川とかいう女の子が驚いた口調で言う。
「じゃあ駿ちゃんって呼ぶね。中学は東中か。この辺に住んでるの?結構遠くない?」
母さんと同じ呼び方だな~。やめてくれよ。
初対面の人にとる態度じゃないなと思ったけれど言うのはやめた。なんだかややこしくなりそうだ。
「ああ、自転車で一時間くらいかな」
吉川は感心の声を出す。
「あっ、電車だよ」
電車が遠くから来るのがわかる。
中に入ると、当たり前なのだがとっても暖かかった。
吉川が誰もいない車内のはじの席に座った。
俺はその前に立つ形となった。
「誰もいないんだから座ってもいいんじゃないか?」
車内はとても静かでよく声が響いた。
「駄目だめ、男は立つもんでしょ」
いつの間にか主導権を握られてしまった。
「偶然だよねー。こんなところで同じ編入生に出会うなんて」
なんだかうれしそうに言う。
「えっ、お前も編入生なのか?」
「うん。私は一中から来たんだよ」
なっなんだ。こいつは松浦中からじゃなかったのか。
改めて自分の髪をいじっている少女を見た。
松浦学校は中・高のエスカレーター式の学校だ。
しかし、わずかながらも高校になるとき、編入枠があるのだ。なんと!数は10のみ!
そんなような雑談をしているうちに松浦高についてしまった。
「はひ~。広いなぁ」
確かに学校は広かった。
ディズニーランドの1.5倍はあるぞ。
広大に広がる森と施設の中心に校舎が2つあった。中学と高校で分かれているらしい。
「じゃ、入ろうよ」
そのあと吉川と別れ、ボーっとしているうちに入学式と新入生歓迎会は終わっていたようだ。
朝早く起きたのがきいたのだろう。
結局、吉川とは一緒のクラスになったようだ。
教室に案内され、先生が言った。
「じゃあ、頼んだぞ」
このクラスの担任の先生らしき人が言った。
紹介はもう終わっていたらしく、名前はいわなかった。
名前を一生懸命思い出そうとしていると、スタスタといってしまった。
あれっ、いいのか?
「それでは始めましょうか」
そう言ってなにやら女の子が出てきた。
かなりの美人だ。
藍色の腰まである髪、大きくパッチリとした目、抜群のスタイル。どれをとっても文句なしの容姿だ。
そんな彼女が言った言葉は……
「クラス会を!」
初めての作品です。
出来るだけ長く続けたいです。
の~んびりとした学園生活を楽しんでください。




