1時間800字即興小説 お題「カレンダー」 タイトル「ツキヒ」
この小説はお題を頂き1時間で作文用紙2枚分の小説を書くという縛りのもの作ったものです。
痛ててて
ビリビリと音を立てて俺はまた体の一部を持っていかれた。
もう1ヶ月経ったのか…
体を持っていかれる現象は1ヶ月に1度起きる。
にしてもこいつ扱いが雑だよな。体を千切っていくのは月火という女。こいつは毎日俺を凝視し、俺の体に予定を書いたり、シールを貼ったりする。正直くすぐったい。ただ俺の体を見て微笑んだり、びっくりしたりするのを見るのは飽きない。
「今日はご飯が美味しい日だ!楽しみだなぁ。」
相変わらず忙しいやつだ。だがこれだけ喋るようになったのは最近のことだ。
俺の体に大きく書かれている番号がまだ3の時、月火はこんなにうるさくなかったし、俺の体になにか書くこともなかった。事故の影響でずっと寝ていたのだ。目が覚めてからも月火は無表情だった。一緒にいた男は助からなかったから当然か。月火は手術を受けるためにリハビリをしなくてはいけなかった。
無機質に俺を見てリハビリの予定を確認し、それをこなす。そんな日々が続いた。
俺にできるのはリハビリの予定を知らせることだけ。
月火が心を開き始めたのは体を半分持っていかれた頃だった。
痺れを切らした知り合いがお見舞いに来る日を俺に書いたのがきっかけで、自分の予定を俺に書き込むようになった。次第に書き込みは増えていき月火は明るい顔を見せるようになった。今俺の体の数字は12を指している。月火の手術の日は近づき俺の体も紙1枚になってしまった。12月31日。俺が示せる最後の日。退院まで見届けられないけど、せめて手術の成功ぐらいは祈りたい。
最後の日。月火は真剣な顔で俺を見つめていた。
「言ってくるね。空から見守っててね。」そういうと彼女は俺の体をビリビリとちぎった。目の前が暗くなっていく…
「おめでとうございます。男の子ですよ。」
俺は大きな声で泣いていた。
「花蓮。名前は花蓮。」俺の横で月火が俺のかつての名前を呼ぶのだった。




