手料理
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彼女は事ある毎に笑うとても可愛らしい人だ。あ、勘違いを引き起こさないために先に伝えておくけれど、僕は彼女と付き合っているわけじゃないから、この場合は人称代名詞的な「彼女」であると注釈を挟ませてもらう。
「お腹が……空きました……」
彼女が言った。今僕は彼女の家に来ていて、ここは一階のリビングだ。そして今日僕は彼女の家に招かれて、そして今は彼女に料理を作ることをねだられている。
事の発端は多分調理実習だろう。彼女が僕の料理を口にしてから絡まれる回数が増え、こんなことにまでなってしまった。
だがそれは大いに頷けることだ。こう言うと自慢のようになってしまうが、僕は小さいときから料理研究家のおばあちゃんとお母さんに徹底した料理のレクチャー受けてきて、しかも五歳から台所に立ってきたから、料理の腕は一般的な高校生とは一線を画すレベルだ。そんな料理を食べたが故にプライベートでもそれが食べたくなり、こうして僕を家に招いたのだろう。正直言ってこの上なく嬉しい。
「何が食べたいですか?」
「んー、オムライス!」
「分かりました」
夕暮れ時のダイニングキッチンに卵をかき混ぜる音と小さな鼻歌が流れていた。
読了感謝ですm(__)m