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卵から俺の異世界生活は始まる!  作者: 小人の勇者
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第2話



「ーーーどこだ、ここは」



俺はいつの間にか、ただた白く何もない空間に存在した。この空間は目に見える限り果てはなく、白い宇宙を彷彿させる。


「俺は確かーーーイッ」


ここに存在することになる直前の記憶を起こそうと脳に働きかけると、その瞬間鈍器で殴られたかのような鈍く重い痛みを覚えた。


…何で思い出せないんだ?

思い出そうとすると思考力を奪う酷い痛みが襲う。ッつー、くそっ まだ痛む


「もっと過去の記憶はどうだ?ーーーうん、思い出せる」


猫が車に引かれそうなところをダッシュで助けた記憶、これは一昨日だな。

駅のホームで杖をついたお婆さんが線路内に落ちそうだったところをこれもダッシュで止めた記憶、これは昨日だ。


それと…


「ーーーうん、どうやらここに来る直前の記憶以外は全て思い出せるようだな…というか、どんだけ走ってんだよ、青春か」



「ーーーわぁ!!!」



「ってうわぁっっ!!えっ!?何!?何なの?!」


声のした後ろを勢いよく振り返る。

ーーーすると、そこには綺麗な白髪で彫りの深いイケメンがどやっ!どやっ!というようなイラッとくる表情を浮かべ、俺を見ていた。


…いや、誰だよっ!!?

さっき確認したときは誰もいなかったはず…


「はぁはっはっはっ!ぷぷぅ、ふっ!き、君のリアクションっていうか顔面白すぎ!ぷっ」


…何か、いろいろと付いて行けてないんだけど…何なのこの人、たぶん初対面の人だよね?いきなり人の顔面偏差値を低い呼ばわりしてくるって…なかなかの人だよね?


…というか俺ってそんなに爆笑されるほどの顔の持ち主なんだろうか…これまでそんなこと言われなかったんだけどな…もしかして、俺のことを不憫に思って良く接してくれてただけなの、か?

…確かに、これまでの人生を振り返ってみれば思い当たることは…かなりあ、る…

高校に弁当も財布も持っていくのを忘れ、昼休みを苦しみながら過ごさなきゃいけないのかと悲しみにくれているときに、同じクラスのやつらが弁当を分けてくれるのではなく、「私お腹減ってないから、大丈夫!」「俺、今ダイエット中だったの忘れてたわ!」とか言って弁当全部くれたな。

あの時は何も違和感なく感謝して受け取ってたけど、よくよく考えてみると弁当をくれるときの理由がかなりツッコミどころ満載だよな。

その中でも一番意味がわからなかった理由は、「今からゴミ箱に弁当捨てるんだけど、、、いらない?」だな。

うん、思い返してみてもツッコミ要素しかない。


他にもテストに出そうな問題を熱心に教えてくれたり、毎日誰かが放課後遊びに行こうと誘ってくれたりと、かなり皆んな俺に親切すぎるくらい親切だった…

皆んな優しい人たちだなってただ思ってたけど、これって、、、俺を哀れに思っての行動だったのか…


いや!そんな事はない!あいつらは気のいい奴らだ!


…だけど俺って一度も告白されたことないし、彼女が出来たこともない。やっぱり哀れんでくれただけなのか…


なんか考えれば考えるほど泣きたくなってきた。


「おい!少年よ、君の周りに暗く重い空気が漂ってるんだが、大丈夫か?!」


なんか白髪イケメンが喋ってる。

大丈夫だったらこんな空気まとってないわ!

もうどうでもいいんだ、ライフポイントはとっくに0なんだよ、これ以上は止めてくれっ


「君が今考えてる事はとんだ被害妄想だからな!?てか、少し笑われたくらいでどんだけ傷ついてんだよっ!」


この意味不明な状況にかなり混乱しているというのに、さらに追い討ちかけられりゃあ心の余裕がなくなるでしょ!傷つくでしょ!

って、えっ…被害妄想?


「そうだ!さっき笑ったのは君のリアクションが面白かったからだし、君は別に見るに堪えないような顔をしていないよ」


…えっ、本当?


「うむ!」


…良かった、、、って!スルーしてたけど、この白い空間は一体何なんだよっ!?あんたは誰!?


「すまんすまん!ここに来たやつは久しぶりだから調子にのってしまった!」


…まぁ、いいよ、あとで何か貰うから

んで、この白い空間はなんだ?教えてくれ


「えぇっ!まぁ、いいよ。無茶なものじゃなければ。結構ぐいっとくるタイプなんだね…ま、それは後に置いといて!さて、ここは一体全体どんなとこなのかっていう質問に対する答えなんだが、正確な答えはないとしか言えない。だって名がないし」


…そんなことあるはずないでしょ!地球だよね?


「いや、違うよ?君達で言う所の太陽系、というか銀河系ですらないよ。ここは宇宙とは別のもう一つの空間だよ」


地球じゃないのか…

そう言われたらそうかもしれない。

こんな空間が地球に存在する訳がない。大きすぎるし、何もなさ過ぎる。


…あれ?なんでこんなにさらっと受け入れられるんだ。訳の分からない状況に陥っているというのになぜか焦りや怖いといった不の感情が一切浮かんでこない。それどころか寧ろこの状態が心地よく感じる。



…ここは宇宙ではないってどういうことだ?


宇宙の外にもう一つの世界があるというのか?というか宇宙に外側ってあるの?


「あるよ、というよりさっきから言ってるけどそれがここだよ。ま、正確にいうと宇宙の外の全てがこの白い空間で、君たちでいう地球の周りが宇宙であるように、宇宙の周りが白い空間なんだよ。まぁ宇宙の中にはものすごい数の天体があるけど、ここには宇宙とラルマヤというのがあるだけなんだけどね」


…うん、すげーことを知ったな

俺がなんでそんなところにいるのかわからないけど、、、これから、どうなるんだろ…


「うんうん、ある程度この空間について話したところで、なぜ君がここにいるのか説明するとしよう。あっ、その前に俺の自己紹介がまだだったな!」


そうそう一体誰なんだ?

一応俺もしておくか。


「あ、その必要はないよ。君のことは知ってるから、ね、凛冶君」


白髪のイケメンは笑みを浮かべ、俺の名前を呼んだ。


…名乗ってないはずだよな。

何で知ってるんだ?

それに、さっきから普通に会話してるけど、俺声に出してないんだが…


「まぁ、諸々聞きたいことはあるだろうけど、後々でってことで」


彼は箱を横にずらすような動きをみせながら言う。



「あれ?うけなかったな…あの星では鉄板だったと思うんだけど…ってまぁいいやそんなことよりーーさて、とりあえず名乗るとしましょうか! 私はガルハイムという。君達の世界でいうところの《神》です!」



はぁ……なんか、神だそうです






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