プロローグ
拙い作品ですが、楽しんで頂ければ幸いですm(__)m
※お気付きの点がございましたら遠慮なくお申し付けください。
──ドゴアァァァァァァァァッ!!
そんな音が突然響いたのは森の中。
同時に激しい爆煙が森から噴き上げる。
森の動物達が逃げ出していく中、二つの影が爆煙目掛けて森を疾走する。
その瞬発力とスピードたるや、最早人間の限界を越えており、瞬く間に爆煙との距離は狭まっていく。
「やっと見つけたぞこの野郎! テメェを狩るためにどんだけ待ったと思ってやがる!! その積年の恨み、今晴らすっ!!!」
「一言喋る度にエクスクラメーション増やすなっ! あと、一年どころか二時間も待ってないっての!」
二つの影の正体は、男と女。男が勢いのあるボケ役で、女がツッコミ役だろうか。
その姿は、一見ゲームやアニメの類いでしか見られないような冒険者。その手に握り締めるのは、男は刀で女はガンソード。
如何にもファンタジー感が溢れる二人の男女。
その眼前に、爆煙の中から何かが現れる。
『グォゴォォォォォォォォッ!!』
それは、形容するなら──地竜。
辺りの木々を見下ろす巨体、地面を掘り進む事に特化した強靭な四肢。飛竜なら翼となっている部位は飛翔能力と引き換えに得たであろう巨大な腕となっており、その陸戦能力の高さが窺える。顔も剣山のような突起が何本も生えており、竜と認識させるには充分な特徴の充実ぶり。
「やっぱ『大地竜』だったか。相手にとって不足は無いな」
「──来るよっ!」
女がそう告げると同時に、ランドラゴスは背中の腕を降り下ろす。
巨体の割に動きが速いが、それを二人は寸前で回避。そのまま左右に散開する。
「俺は背中の両腕をやる。そっちは顔面破壊よろしく頼むわ」
「オッケー。愛する"旦那様"のお願いときたら、失敗出来ないもんね。その代わり、そっちもしくじらないでね?」
「当たり前だ。愛しい"嫁"の言葉なら、俺はどこまでも本気になれるっ!!」
と、言うが早いか男の刀の一閃は、強靭な筋肉と骨の塊であるはずのランドラゴスの片腕を紙のように両断する。
そして、女がガンソードを構えると、ランドラゴスの顔の岩石の如き装甲が一瞬にして爆発四散する。
『ギィャゴゴゴォォォォゥゥゥゥ…………!!』
ほぼ同時に与えられた苦痛にランドラゴスの顔は怒りに歪み、身体の装甲が燃え盛るような紅蓮に染まる。その目は烈火のように血走り、身体中の突起は鋭さを増していく。
「あらら、怒っちゃったか。どうする?」
「んー、そうだな。めんどくさいし"アレ"使うか」
そんな阿修羅の如き姿に変貌したランドラゴスを目の前に二人は全く動じず、のんびりと作戦を練る。
しかし、ランドラゴスの生態を知る物にしては、それは愚行としか捉えられないだろう。
──怒りに狂ったランドラゴスは巨大な山脈すら荒れ地に帰したと。
単に知らないのか、それとも知ってて敢えてその行動を取るのかは分からない。
「『──我、汝に問う。その刃に宿りし力は、竜の骨を断ち、地脈を穿ち、海を割る程度の物か。──断じて否だ』」
だが、確実に言える事は。
──この二人が勝利を確信していること。
「『──我、汝を想う。その力、天上天下唯我独尊の物であるとっ!!』」
詠唱を終えて輝き始めた刀を構えると、男は地面を蹴って空に舞う。
それを迎撃せんと、ランドラゴスが豪腕を打ち出すその瞬間──。
「刻楼斬刃っ!!」
──黒き光の一閃がランドラゴスを一撃の下に沈め、その命を両断していた。
▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼
△ △ △ △ △ △
──数時間後、"現実世界"。
「あー、にしても今日も疲れたなー」
日本の一般住宅と比べて、やや広い風呂場。
その浴槽に、先程の男女が向かい合うように浸かっている。
「ほんと、ランドラゴスを狩るのも楽じゃないわ。明日はもっと楽な依頼にしようか」
「あー、そうだな。でも出来れば明日は"異世界に出掛けず"に家でのんびりしたいなー」
「じゃあデートにでも行く? 今日ので今月の生活費は賄えたし、それなりに遊びに行けるけど」
「おー、いいねーデート。映画でも観に行くか?」
「映画かー。何かいいのやってたっけ?」
「『劇場版ガンダ☆マギカ EP-7~虹の彼方の反逆の物語~』とかやってなかったか? 俺的にはそれ観たいが」
「んじゃそれにしよっか」
「さんせーい」
そこに数時間前までの戦士の姿など微塵にも感じられず、その二人はまるで──いや、若すぎる新婚夫婦その物だった。
何故にこんなにも幸せそうな二人が巨大な竜と戦っていたのか。
──全ての始まりは、ほんの一週間前に遡る。
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