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〜第7章・翌日(放課後)〜

 その日の放課後、メールでは一緒に帰る事になっていたがいかんせん怒らせたままである。

 待ち合わせ場所は校門、では目立つので昨日のように俺が教室で待ってることになった。待ってる俺は本当に加奈が来てくれるのか不安でたまらない。とりあえずただ待っているのもなんなので読書をして待つことにした。

 俺の趣味は読書だ。身体つきは体育会系、顔つきはいかつい系の俺が今手にしているのは恋愛小説。普段はSFとか歴史ものとかばかり読んでいる俺がなぜ恋愛物を読んでいるかというと…答えは簡単、恋愛しているからだ。昨日の夜、親が書いためている本棚から拝借した。

 タイトルは俺は知らない英語。内容はありきたりで『顔普通勉強普通運動普通でとりえは人の良さってな感じの高校生(♂)が街で見かけた高校生(♀)に一目惚れ、なんと彼女は同じ高校の生徒だった』みたいな感じだ。登場人物の感情表現の仕方がユニークでなかなか感情移入がしやすい。

 昨日の夜に三分の一くらい読んで寝たので続きが気がかりだった。早速読み始めると本の中では高校生(♂)と高校生(♀)が喧嘩をしている。そこに描かれている高校生(♀)の罵声が俺の心に突き刺さる。心当たりがありすぎて高校生(♂)に同調しきってしまう。自分の置かれた現状もあって気分が沈んでくる・・・

「はぁ、加奈遅いなぁ」

 溜め息をついて黒板の横にかかっている時計を見上げると20分ほど経っていた。相当集中して読んでいたようだ。そろそろ帰るかどうかと考えていると携帯がなった。スキマスイッチの『奏』、メールだ。携帯を開いて画面を見る。

<―後ろにいるよ―>

 ―――!!?

 慌てて振り向くと、そこには後ろ(M氏)の席に座る加奈の姿があった。怒っているような照れているような、バツの悪そうな顔をしている。

「い、いつからそこに?」

「…10分くらい前」

「えっ!」嘘・・・全然気づかなかった・・・

 なんと言い訳しようか考えてると、黙り込んでいた加奈が急に小さく吹き出した

「ニヤニヤしたり眉間にしわよったり、キモいよ?」

 そう言って笑い出す。怒ってたんじゃないん?

「え、マジ?ニヤニヤしてた?」

「うん、むちゃくちゃ」

 普段の加奈だ。少しホッとする反面なんか納得いかない。

「・・・怒ってたんじゃないの?」

 思い切って聞いてみる。

「あー、昼のこと?違うよ、あれは・・・恥ずかしかったの」

 思い出したように赤くなる加奈。恥ずかしかった?

「なにが??」

「そのぉ、木下さんとかに・・・『俺の彼女』って」

 確かに言った、「あまり俺の彼女をいじめないでくれよ」だったかな

「それが…嬉しかったっていうかなんていうか」

 なるほど、俺が殴られたのは照れ隠しか。 

「怒ってたんじゃなかったんだね」安心安心♪

「怒る理由がないじゃない」

 そう言って加奈が笑う。不覚にもドキッとしてしまった。それがなんだか悔しかったので悪戯を試みる。

「やっぱり加奈は笑ってるときが一番可愛いよ」言ってる俺も恥ずかしいが・・・

 加奈はというとみるみる内に首まで真っ赤にしてうつむいて、ちょっとプルプルしてる・・・


 バシッ


 俺の目の前には俺の左手が捕まえた加奈の右手がある。予想通り、照れまくった加奈は得意の右ストレートを繰り出したのだ。今回は顔面狙いか、ある程度予想してたからガードできたものの・・・

 攻撃を完全に読まれていた加奈は悔しそうにしている。

「さ、帰ろうか」

 加奈の手を離して本をしまう。そのまま手を繋いで帰る、なんてことも考えてたが何度も言うように俺も恋愛経験は少ないので恥ずかしいものは恥ずかしい。

 2人で肩を並べ教室から出る。



 朝と同じようにバスで帰るのでバス停へ向かう。部活をやってるやつもいるから朝より人が少ない。

 昼には雨が上がっていたので今度は相合い傘せずにすんだ。

「とりあえず一回駅まではいくよな?俺はそっから乗り換えるんだけど」

 現地でいろいろ話すのもなんなので事前に確認しておく。

「うん、わたしは○○行きのバス。・・・・・・・」

 何か言いたそうだ。とりあえず様子を見る。

「あのさ、帰りにどっかよってかない?まだ時間は早いし」

「いいけど…どっか、とは?」

 今はあまり金がないから場所によっては・・・無理かも

 バスが来たのでまず乗る。あまり混んでいないので2人で並んで座れた。

「あ、行きたいとこあった。買い物に付き合ってもらっていい?」

 買い物か・・・一般に女の買い物は長いという。てか実際俺も何度か経験はあるのでわかるが。

 しかし俺は特に行きたいとこはないし、断る理由もないか・・・

「あぁ、いいよ。なに買うの?」

「服とか、いろいろ」

 ・・・・・・服かぁ。だいたい予想してはいたが、一番厄介だ

「先に言っとくけど『ねぇ、これ似合う?』とか聞くのはパスな」

 俺の一言が相当意外だったらしい。加奈は普段の三割り増しくらいに目を開いている。

「俺、服とかよくわかんねぇからさ。自分の服だって適当だし」

 とりあえず笑って誤魔化す。リアルに俺はファッションに疎い。平日は制服だし、人に会わない休日はジャージでごろごろしてるし…

「ぬぅ・・・」

 そうするつもりだったらしく加奈は残念そうな顔をしてる。

 すると今しがたバスに乗ってきた女子高生が加奈に声をかける。

「もしかして、加奈?ひさしぶりじゃ〜ん」

「△△△さん、久しぶり」

 どうやら加奈の同中のやつらしい。どうでもいいキャラなので名前は割愛させていただく。なんなら自分なりに好きなように決めていただいてもかまわない。

「あ、もしかしてこの人カレシ??」ものごっついニヤニヤしてる

「うん、わたしのカレシの佐々木くん」

 ・・・「わたしの」?…・・・「カレシ」?・・・・・・・・・おいおい、なんだか・・・嬉しいぞ。う〜ん、俺って単純。

「へ〜、加奈ってけっこう手ぇ早いねぇ」

「ちょっと、そういう言い方しないでよ」

「ペチャクチャ」

「ペチャクチャ」

   ・

   ・

   ・

 約15分、バスが駅のターミナルに着くまで俺は放置。まぁ楽しそうで何よりです。

「さて、行きますか。どこの店?」



 ってことで加奈のあとにしたがって買い物を見ている。釘を刺しておいた甲斐があって加奈が俺に意見を聞かなかったが、鏡を見ながらあわせる度にこちらの様子をうかがってくる…

「う〜ん、さっきののがよかったかもね」

 加奈の粘り強さと俺の退屈の相乗効果により俺はついに口を出してしまった。ついに、といっても現在9個目の店。手に取った服の数(=加奈が俺の様子を窺う回数)は余裕で二桁だ。

 加奈の表情がとたんに明るくなる。…俺ほどではないがわかり易いやつだ。思わず笑ってしまう…そんなに気になってたのか。

「なんでそんなに俺のほう気にすんのさ?」

 試しに聞いてみると、

「やっぱりせっかくならカレシの好みとか聞いときたいじゃん。参考までにさ」

 なるほど、そりゃ嬉しいな。

「なんだ、そいうことか」

 そうとなればせっかくなので俺の好みを言いつつ更に幾つかの店を回る。

 そろそろ疲れて帰ろうってことになった。結局買ったのはほんの少し…やっぱり女子の買い物はたいへんだ。



「んじゃまた明日」

 バスにのる加奈を見送ったあと伸びをする。俺の背骨はすごい音を立てた 

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