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〜第4章・夜桜ハッピーブレイン〜

 帰宅した俺はベットの上にいる。視界に入るのは見慣れた部屋の見慣れた天井、部屋の中に特に目新しいもんはない。

 しかし今の俺はまるでここが花いっぱいの草原であるかのように感じている!というとさすがに大げさだが脳内麻薬の分泌量が多いのか、いやにハイな気分である。それもそのはず、今日俺は生まれて初めて告られたのだ。…たぶん

(加奈、かぁ…いやぁ意外なとこから俺の春はきたな。なんつうか、北海道から桜前線が南下してきた感じというか、夢に春一番――猪木がものまねしてる人――が出てきたと思ったらほんとに春になってる感じというか。なんだかわかりにくい例え話はいいとして、やっぱり俺から返事を言いに行ったほうがいいのかな?でもなんかわざわざ「付き合ってもいいよ」って言いに行くのは自意識過剰な感じだし…もっかい加奈が来るのを待つか。いやでももしかしたらもうこないかもしれないし俺から行くか。でもそれでドッキリとかだったらやだな…むしろ夢オチ!?いやいやでもなぁ)

なぞと脳内会議を開いていると耳元で携帯がなった。

「うわっひゃ!!」……っひゃ???

 なんだかよくわからない声を出してしまった。

「…誰だよ、びびるなぁ」

 携帯を開いて受信メールを確認する。知らないアドレスからだ。

<加奈です。今日はいきなりゴメンね?アドは木下cから聞きました>

 これ以降の内容は割愛させていただくが、用件を手短に言うと今から会えないか、ということらしい。会えないかもくそも俺んちの近くまで来ているのだ、会わないわけにもいくまい。

 すぐに返信して外出する。加奈が待ってるのは公園、だいたい走って5分くらいかな。



 公園に着いた。乱れる息が整うのを待たずに公園の中を見渡すが、街灯が少ないから真っ暗でよく見えない。市はこういうとこに金を使うべきだと思う。

 加奈はブランコに乗っていた。言わずもがな、児童用のブランコは加奈には小さい。

「鎖が千切れるぞ」もう呼吸の乱れは収まっていた。

「人を待たせといて開口一番に憎まれ口?」

 俺が超能力者でもない限り加奈より先にここにいるのは不可能だ。

「これでも精一杯がんばったんだぜ」

「うん、わかってる」

 そう言って加奈は優しく微笑んだ。運動会で一番になった子供をほめる母親のように。

「まぁ、俺も話があったからちょうど良かったよ」

「そう、きっと同じ内容ね」放課後のように赤面したりはしない

 さて今回も俺から話さねばならないのだろうか、なんて思っていると加奈が口を開いた。

「あのね、さっきは言うこと言って逃げちゃってごめんネ?今度はしっかり覚悟を固めてきたから」

 内容は予想通り、俺の知る加奈って女は中途半端なことは嫌いなんだ。

「いつからとかなんでとかそんなのは自分でもよくわからないけど、わたし佐々木のこと好き。まだ知り合って一ヶ月もたってないけど、そんなの関係ないよね」

 最後まで言い切るとさすがに恥ずかしかったか、すこし俯く。心なしか肩が震えているように見える。これは緊張とかでなく武者震いのような気がする。

 そのまましばらく待っていると震えがピタッと止まった。

「わたし佐々木が好き、わたしと付き合って。」

 加奈は顔を上げしっかりと俺の目を見つめている。ちょっと命令口調なのと見つめるというよりは睨むという表現のほうが正しい感じだが、逆に加奈の気持ちは十二分に伝わってきた。

 こりゃ俺もしっかりと答えてあげなきゃな…

「Me too」英語で言ったのは照れ隠しです、許してください。

 加奈の表情が『何言ってんのコイツ?』って顔から『思考』、『理解』、『喜び』、とわかりやすく変化していく。微笑ましいなぁなんて思っていると、『喜び』から更に変化が。これは…『悪巧み』??

「わたし馬鹿だから英語わかんない。わかりやすく言って」

 なるほど、そうきましたか。まぁ確かに俺が悪かったと思わなくもない。

 さて、この俺のほとばしる熱い気持ちをどう表現しようか…

A:simple is the best.「好きだ」と言う

B:口で言うより行動で示せ。思い切ってキスをする

C:愛しくていてもたってもいられない。抱きしめちゃう

D:ここはいっちょ某ドラマより、道路にでて「僕は死にません、あなたが好きだからー」って

…さぁどうすっか。オーディエンスはもちろんテレフォンもフィフティーフィフティーもつかえない。

「ね、早くっ♪」

 うわぁ、期待に胸膨らませちゃってるよ…それなりに胸おおきいんだからそれ以上膨らますなよ…

 なんて下ネタにはしってる場合じゃないよな。向こうはこれでもきっと真剣なんだ。


 う〜ん…どうする?どうする俺っ!?

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