〜第18章・蛇に睨まれた蛙の子は蛙〜
久しぶりの更新。長い夏休みに1度だけの更新。
アップを済ませそれぞれ試合に出場するメンバーがエンドラインに整列する。
隣でバスケ部が練習している熱気もあってか、体育館の中はとても暑くなっている。
「ではでは、そろそろ始めますか」
一人気楽な鈴木先輩が女バレのキャプテンに確認をする。そうやらこの2人が審判をするらしい。線審、得点板などは女バレが人員をだしてくれている。
―――ピッ
主審を務める女バレのキャプテンが短く、そして力強く笛を吹く。
それと同時に気合の入った声を出しセンターラインへと走る…女バレの1年。対する男バレの1年はというと…声はバラバラだし足並みも遅い、やる前から半ば諦めモードだ。
それもそのはず、毎年の目標が『緒戦突破』である男バレと『全国出場』である女バレとではだいぶ実力差があり、それにあった力の持ち主が入学し、バレー部に入部するのだ。もちろん1年の実力差は言うまでもないほど。「月とスッポン」…とまでは言わないが、「地球と月」くらいリアルな差があるのだ。
ネットを挟んで向かい合う。
正面の相手とネット越しに握手。ポジションに着く前に集合して円陣を組む。
「おい、いいかおめぇら―――」
セッター、いわゆる司令塔のポジションである俺は鈴木先輩にゲームキャプテンを任された。よって、ゲームキャプテンとしてチームメイトに一言二言…
「相手が女子だからってなぁ…握手するとき緊張してんじゃねぇ」
ここでニヤッと笑って周りを見渡す。
すると、一瞬ポカンとした顔が一気に赤面。どうやら全員図星らしい。
「たしかに、みんなちょっとギクシャクしてたね」
さすがM氏、さりげなく周りを見ている。それにいいタイミングで合いの手を入れるあたり、伊達に長い付き合いじゃないな。
「だってまー、しょーがないらー」
照れる酒井。こいつは別になんも考えずの発言だろうが、周りがなごむには十分だ。
少し、みんなの顔に余裕ができる。
「ここらじゃ有名な強豪校であるウチの女バレには、中学で名を馳せたようなんが集まっている。が、やはり男女の差はある。それにネットは女子の高さ。普段240のネットでやってる俺らには楽なもんだ」
みんな空気を呼んで真剣な顔になる。あんま硬くなっちゃイカンな…
「ま、せっかくのチャンスだ。女子に精一杯いいとこ見せようぜ」
相手のキャプテン(仮)は千夏だった。じゃんけんに買ったので俺はサーブ権をもらう。
「おっしゃ、んじゃ俺のサーブからだ」
滑り出しは大事だ、ここでのサーブミスは絶対に避けなきゃいけない。
左手でボールをあげる。いつも通り、悪くないトス。右手は振り切らずにボールに当たったとこで軽く引く感じに…よし、無回転!
ネットを越えたボールは緩く曲がりながら落ちる。1球目という油断もあってかレシーブが崩れる。
がしかし、セッターの只尾が上手くボールの下にもぐりこみフォローする。ボールは大きな弧を描きレフトへ…
サーブカットが崩れた段階でレフトに2枚のブロックがついている。ライト岡本とセンター高橋がブロックに跳ぶ。フェイント処理のためにブロックの後ろにいる俺から千夏の姿が見えなくなる。
千夏が打ったボールが岡本の手に当たりネットの向こうへ戻る。
しかしボールが落ちたのはコートの外。ゲームの1点目は女子にとられてしまった…
そろそろネタとか展開とかいろいろ困ってます。行き当たりばったりはよくない・・・