〜第15章・睡眠time〜
久々の投稿となりました。
前回から今回の間で読者数が1000人を超えました。嬉しい限りです。
今後もぼちぼち更新してくんでよろしくです
遠足でも修学旅行でも、帰りのバスとかってのは寝てる奴が多いよな。まぁみんな十分にはしゃいだ後だからしょうがないんだろうけども
「にしてもこのクラスは負傷者が多いな、男子が」
わざわざそんな事をマイクを使って言ってるのはうちの担任だ。そんな熱血ってわけでもないけどそれなりに生徒の気持ちを理解してくれている、ってのが1ヶ月間での印象。
「まぁなんだ…そういうのも若いうちしかできないし気持ちはわかるが、警察の世話にならん程度にしとけよ?」
がははと笑いながら自分に割り当てられた席に座る。
「さて、今の担任の話をいったいどれだけの奴が聞いてたやら…」
そう言って俺は周りを見渡す。いちにぃさんしぃごぉ……とりあえずたくさん。
かくいう俺はこういう時にはあまり寝ないことにしている。寝顔なんて人に見られて気持ちのいいものじゃないし、下手したら顔に落書きとかされるかもしれないし…もしかしたら寝ている間にクラス全員無人島に連れて行かれて「今から殺し合いをしてもらいます」とか言われたらと思うと安心して寝てられない。
まぁ、最後のは冗談だとしてもあまり寝る気にならないのは事実。しかし周りは寝てる奴かこんな時にもやたらと元気な女子しかいない。
暇だ…
とその時ポケットの中で携帯が震えた。盛んに自己主張をしてくるのでポケットから出してやる。
サブディスプレイにはメールの送り主が表示されている。
「お、加奈か」
まぁ俺の携帯がなるときはだいたい加奈からだ。それ以外は現在熟睡中のクロかM氏、もしくはこの時間は仕事中の両親ってとこだから加奈の確率が高いのは分かりきったことだった。にしても悲しい携帯だ…
そんなことで凹むほどネガティブでもないから俺は気にせず携帯を開く。
けっこう長いので割愛させていただくが内容は2日目の朝のこと。ゴテケン中は携帯は使えなかったのであの件について触れるのは初めてということになる。
<―だからあれは不可抗力なんだって。てかすまき状態の人間が自分の意思で女子の部屋に飛び込める訳ぁないだろ?―>
そう、誰がどう考えても悪いのは放り込まれた俺たちではなく放り込んだ野郎どもだ。
また携帯が震える。どうでもいいが俺はこの振動がどうも慣れずに3回に1回くらいはビックリする。
<―でも見たんでしょ?( ̄^ ̄)―>
ぐぅの音もでないってのはこのことか…確かに正直言えばいいもん見させてもらったとも思ってる。だって男の子だもん
<―できるだけ見ないようにしたし、その分はしっかりボコられたつもりさ―>
<―むぅ…―>
<―それに見合うだけの苦痛ってのはどんなもんかわからんけども、すまき状態で唯一自由な顔面を殴る蹴るされたら十分だとは思いませんか?―>
メールが送信できたのを確認するとポケットに仕舞い周りを見る。相変わらずみんな寝てるな。さっきまで騒がしかった女子もいつの間にか静かになったし。
これだけ寝てる奴が多けりゃ俺も寝たって大丈夫だろうとも思うが加奈からのメールが返ってこないのでしばらく待つことにする。
することもないのでゴテケンを振り返ってみる。…なかなか激しい3日間だったな。
各クラスで自己紹介をしたり、オリエンテーションで歩き回ったり、二日目の夜は定番の枕投げもしたし、クラス対抗のプチ球技大会としてバスケもやった。1日目の例の事件もクラスの団結を深めるって意味では有意義だった。(バスケでの活躍でどうにか男女のなかは修復された)
あ〜、思い出したくないことも思い出しちまった。そういや感想のレポート書かなきゃいけんいんだったなぁ…
沈んでいる俺の気を逸らすかのように携帯が鳴る。
<―ま、佐々木の言うことにも一理あるかな。今回のことは次のデート全額負担で許してあげようかな(^ー^)―>
<―へいへい、ありがとうごぜぇます。でもあんま高いとこは勘弁だぞ?―>
<―んじゃそうね…映画にしよ。ちょうど観たいのがあるんだ☆―>
映画か…食事代含め2人分で5000円くらいか?ふむ…
<―おーけぇ、そんくらいが妥当でしょ。いつ行く?―>
デートの約束ができたあたりで睡魔が襲ってきた。さすがに疲れてるし、目的地である学校まであと30分ってとこだし、少々寝ることにした。
バスが学校に着いたらしい。周りの騒がしさで目が覚める。
「ぬあっ」
首が痛い…どうやら変な寝方をしたみたいだ。
「どうかしたの?」
隣に座っているクラスメイトが反応した。苗字はうろ覚えだがたしか名前は裕樹だった気がする。ヒロキじゃなくてユウキだ、と自己紹介のときに主張していた。バスの座席は五十音順だから苗字はサ行なんだろう。
網棚の手荷物を取ろうと思ってたらしいってことが少し浮いた腰から読み取れる。
「いや、なんでもねぇ。ちょっと寝違えたみたいだ」
心配されるほどのことでもない。
「そっか。ずいぶんぐっすり寝てたもんな」
たしかに、首が痛いのを除けば身体の疲れがよくとれてる。
伸びをひとつしてからバスを降りる。
さて、これでゴテケンも終わりか。なんて思ってるとキョロキョロと挙動不審ぎみに周りを見渡す加奈を見つける。
せっかくだし一緒に帰ろうか、なんて思い加奈に声を掛けようと近づく。するとちょうどこっちを向いた加奈と目が合う。
「佐々木〜、一緒に帰ろ〜」
そう言いながらこちらに来る。加奈さん、大声でそれはちょいとハズいです。
「ね、いいでしょ?それともなんか予定ある??」
ご主人様を見かけた子犬みたいな動きで近づいてきた加奈は―――かった。(恥ずかしいので伏せます)
「予定はないよ、むしろ俺も同じこと考えてた」
2人でゴテケン中にあったことを話しながらゆっくり帰る。
家に帰るまでがゴテケンです、なんて定番な台詞を俺は心の中で言ってみる。