〜第12章・ろくでもねぇ〜
「え〜皆さんお疲れ様でした。え〜、班のなかで親交を深めることはできましたか?え〜〜〜っと…では結果発表を、え〜、行いたいと思います」
全グループが無事に到着したのは俺らの到着から30分後だった。今は学年主任とやらが話しているのだが、
「この先生『え〜』って言いすぎだよな」
後ろからクロが声をかけてくる。
ちなみにさっき雑談してた状態から整列せずに学年主任が話し始めたのでみんな近くにいる。
「よくいるよな、こういう人。でも『え〜』って入れるのはなんかガキくさいよな」
一同、激しく同意。
「何回言うか数えたくなっちゃうよね」
木下が言う。確かにそうだけど、途中からじゃ微妙だな…
「今ので14回だよ」
「へっ?」
突然のM氏の発言に虚をつかれる。数えてたのか?
「お前…なかなか読めない野郎だな。不思議少年め」
なぜか無意味に警戒してしまう。
まぁ、M氏の不思議さをいま解明しようとしても無理だろうから、それはまた次の機会に。
「え〜、ではですね、1位の発表をしたいと思います。え〜、ですが、え〜なんと!1位が同点で2グループいます」
ぬぁにぃ?俺らがダントツ1位のはずが…どこのどいつだ?
思いがけない学年主任の発表に思わず耳を傾ける。
「えっと…A組、男子3グループ」
「おっしゃ〜〜〜」「やったー」「うっしゃ」
クロ、M氏、俺の順に三者三様の喜び。ま、俺らが1位なのは当然だけどね。
で、問題の同着のグループは?
まさかとは思うが、加奈たちのグループなんて分かりやすいオチは…ないよな?
「え〜〜〜C組、女子1グループ」
なくはなかったらしい。確かに予感はあったけど…分かり安すぎだろ。こんなんでいいのか?
「え〜、では両グループは前に出てきてください」
俺たちまとまって座っていた6人は前に移動する。途中で座ってるクラスメイトからいろいろと声をかけられる。
「にしても、お前らと同点とはなぁ」
隣を歩く加奈に話しかける。
「うん。千夏が作戦たててくれたのよ」
なるほど、頭良さそうな印象ははずれじゃなかったみたいだ。
「別にたいしたことないよ。ちょっと頭使えばすぐに思いつくことでしょ」
謙虚なんだか周りの大多数をバカにしてんだかわからん台詞だな…
まぁ、同着なのは仕方ない。1位なのにはかわりはないし、表彰されますか。
「ところで、賞品てどうなるんだろうね?」
…確かに。M氏が言うまで考えもしなかったが、どうする気なんだか。
俺らがもう先生がたの近くまで来てるのもあってか、M氏の一言は学年主任の先生にも聞こえていたらしい。少し困った顔をしてる。
「あ〜それなんだがね、え〜〜と…もともと賞品は1つしかないのでじゃんけんで決めてもらいましょう」
じゃんけんて…ガキじゃねんだから。
「安心したまえ。じゃんけんに負けてもちゃんと賞品は出す。ただし、少々違うものになるが」
だいぶ苦し紛れの一言だ。まぁこの学年主任、けっこういい先生だからあまり困らせるのはかわいそうだな。
「分かりました。んじゃこっちのグループ代表はクロで」
「えっ!?」
急にふられたクロはさすがにびっくりしてる。
「大丈夫、別に負けたからって恨んだりしねぇから」
「…わかったよ」
「こっちはうちが代表で♪」
向こうは木下が。こいつにゃプレッシャーとかないんだろうな。
さて、学年全員が見守る中、両代表が睨み合い…
「「じゃん、けん、ぽん!」」
クロはグー。木下は………パー。
負けか。まぁじゃんけんなんて運だし、しょんないな。宣言どおり俺はまったく気にしてないし、M氏にいたっては終始ニコニコしてるからよく分からん。
で、当の本人たちは…木下は飛び跳ねて喜んでる。クロはその場に膝を付き、砂を集めてる。
「お前は甲子園で負けた投手か!てかここ芝生だから砂あつまんねぇから」
練りつくされたコントのごとく完璧な間でツッコミをいれる。会場爆笑。ま、会場ってかただの広場だけども。
「え〜〜〜」
間延びした学年主任の声によって視線が集まる。
「ではですね、C組女子1グループの勝ちということで、え〜賞品のほうですね」
加奈たちが姿勢を正し正面を向く。
「え〜、こちらですね。図書券、一人1,000円分です」
「「「おぉ〜〜〜」」」
みんな割りと食いついたなぁ。図書券ってことは千夏の予想通りか…
「で、残念ながらじゃんけんに敗れたA組男子3グループの諸君!」
「「「はい」」」
先生が気合入れてっからこっちもなんとなくシャキッとした返事をしてしまった。
「え〜、賞品として…」
ゴクリッ
「………」
焦らすねぇ…
「…宿題、ゴテケンの感想レポートを与えます!」
………は?おいおい、そこまで予想通りにならんでいいよ。
「嘘ですよね?」
念のため、確認してみる。ホントは、なにくれるんだろう…
「私は冗談は言っても嘘は言いません。提出期限は来週月曜。A4レポート用紙1枚以上は書くようにね」
俺らは三人で、その場に膝から崩れ落ちる。