〜第11章・到着したものの〜
とりあえず用意されたレジャーシートに座り、新顔がいるってことで自己紹介をした。
口にするのはもちろん当たり障りのないこと。新顔の千夏の番にはクロがやたらと気合をいれて質問してた。例えば
「彼氏いますか?いないなら俺とかどう??」
と聞いたクロの頭を俺がはたく。
「スリーサイズは?」
と聞いた時には裏拳でツッコミを。
「S?M?」
と聞いたときは鳩尾にいいパンチをくれてやった。
そして何より驚いたのは、俺とクロのやり取りを見て一通り笑うと千夏は全ての質問に律儀に答えたってことだ。あまり恥ずかしがるってことがないみたい。
「ちょっと、千夏。そんなこと答えなくていんだよ」
と言った加奈に
「いいよ、減るもんじゃないいでしょ」
とサラリと言ってのけたのだ。
思わず俺はこう思った。
(こいつ…かっこいい〜)
我ながらのん気だなぁ…
一通り談笑も楽しんだ一行はレジャーシートを片付け出発することにした。もちろん、女子がいることを考えて時間制限ギリギリを狙っての出発。俺にぬかりはないのさ。
研修をしてるのが山のほうってこともあって4月の終わりにしては少し肌寒い。深呼吸をすると冷気を伴い澄んだ空気が肺を満たしていく。学校行事にしてはなかなか粋だな、なんて思う。
「空気いいねぇ」
案の定、ミスターのん気ことM氏が普段の三割り増しで間延びした声を発する。
「だな。こんだけ歩くと逆に清々しいよな」
偶然にもたった今同じことを考えてたので同意する。
「そうだね。でも足が棒みたい」
既に三時間近く歩いている。たしかに女子には辛いかもな。
「ま、苦しかったオリエンテーションもあと200m足らずでおしまいだよ」
そう、目の前の曲がり角の先にはゴールである青少年センターの入り口がある。
もちろん現時刻は設定された時刻の3分前。完璧すぎ♪
青少年センター内広場。すでにゴールしたグループがめいめい雑談なりなんなりしてる。だいたい学年の7割ってとこかな。
「みんなはえーなぁ」
その状況を見ての第一声はクロ。
「ちょうどはうちら含めて5グループくらいか、思ってたよりすくないね」
おっと、千夏にしては長い台詞だな。
「だね。これも佐々木のおかげっとことだね」
珍しく木下からの称賛。少なからずびっくりしてしまうなぁ。
「おだてても何もでないぞ?」
とりあえずこういう場面での常套句を言ってみる。
「なによ、うちが滅多に人を褒めない人みたいじゃんか」
「そうだろ?な、M氏」
半ばムチャ振りだがM氏に同意を求める。
「う〜ん、そんなことないんじゃないかなぁ」
くそっ、ダメか。ノリわりぃな…
「ほらみろ〜」
「んだよ、このバカップルどもめ」
いかにも「アホらし」ってな感じでその場にしゃがみこむ。下はアスファルトだし、ちょうど木陰だったからひとり、またひとりと腰を下ろす。
「そういやよぉ、これの景品ってなんなんだろな」
たしかに、公表されてない。可能性があるだけに少し気になる。
「う〜ん…グループ対抗だからお菓子とか、分けれるものじゃないいかなぁ」
との意見は加奈。理にかなってるな。
「俺は金がいい!」
やっぱりアホ発言はクロ。
「金はないだろうけど、図書券とかならあるかもね」
たしかに。千夏の冷静な判断。
景品かぁ…事前に公表しなかったことからすると…
「宿題…とかだったりして」
なんとなくの思いつきで言ったことでみんなの顔が険しくなる。あちゃ〜、言わないほうが良かったかな。
「まぁ、そりゃないだろうけどな。妥当なのは図書券だな」
フォローしてみたものの一抹の不安は拭いきれず…
次回、俺の予想が現実に?!!