表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心の奥の扉の先の可能性  作者: 天衣無縫
第一章 幼すぎた時間
9/25

第八話 林間学校! ー尋音視点ー

青かった葉が赤く紅葉して…って言うけど夏の葉っぱって緑じゃないか?


なんてのはおいといて、スポーツの秋!食欲の秋!読書…は、いらない!!


そして今年の秋には…




「それでは出発します!」


はーいっ!とみんなの元気な声が響く。


そう今日が林間学校の一日目。泊まり行事なんて初めてだし楽しみだなぁ。


「尋音は何コース?」

「ああ、俺はなんか川で遊んだりするコース

誠司は?」

「僕は水晶探索コース。」

「へぇ面白そうだな」


今回は四つのコースに分かれて行動することになっている。


一日、二日目は、このコースごとに分かれて行動、三日目はひたすら登山。それで四日目に帰宅。という日程だ。


ちなみに四つのコースは


一つ目は誠司が参加する、水晶探索コース。

まあとりあえず水晶がありそうなところで探すらしい。去年の先輩はけっこう大っきめなのをゲットしたらしい。


二つ目は俺が参加する、清流コース。けっきょく川で遊ぶだけのやつ。今の季節暑いし楽そうだから選んだだけだけど。


三つめは挑戦コース。要は、三日めにみんなで登る山より高い山にチャレンジしよう!

ということだ。


四つめは森林散策コース。森のなかの植物や虫を見たりしていろいろ学ぶコース。ちなみに一番希望者が少なかった…








バスに乗り込んで、校長先生に見送られながら出発する。


「今のうちに寝といたほうがいいぞー」


先生から声がかかる。


だいたい目的地までは三時間弱で着く。

確かに時間がけっこうある。


「ねえねえ尋音くん」


席が隣の女子が話しかけてくる。

この女子は月島つきしま 星香せいか

女子サッカークラブに入ってて、五年生で正キーパーになったらしい。

外スポーツなのに肌が白いのはやっぱり気を使ってるからだそうだ。



「なに?」

「今日楽しみだね!」

「だな。でも川でなにすんの?」


ちなみに月島も清流コース。


「えー?それはやっぱり魚とったりー水遊びとかとか!」

「そっかー。うーん今から楽しみになって来た!」

「でしょでしょ!?」


月島は明るい性格でけっこうみんなから好かれるタイプだ。


「じゃ思いっきり遊ぶためにも今のうちに寝とこうぜ」

「うん!おやすみー!」


ガバッとリュックを持ってそれに頭を伏せる。


もう寝る体制完了ですか…。

さ、俺も寝るかな。




「月海!重いって」

「眠いんだから寝かせてよー!」

「僕の方に頭乗せることない…」

「男なんだからつべこべ言わない!」




寝よう寝よう。













「ん?」


ふと目が覚める。そろそろ着いたかな…。

目をはっきりと開けると目の前に月島の顔が。


「うわあぁ!!」


思わず大声を出してしまい、周りで寝てた人も驚く様に起きてこっちを見てくる。


ゴメン、とジェスチャーをしてみんなが視線を元に戻す。


「月島なにやってんだよ~」

「寝顔見てただけだよ?」


「だけ、じゃねえわ!ったく…。で、今どの辺?」

「あと三十分くらいだって。」


「そっか。…じゃそろそろ準備しますか」

「うん。…尋音くんの寝顔ってかわいいね」


「っ!」


はいいいい?!


「なに言ってんだよ!」

「あれ~?照れてんの?」


月島がニヤニヤしてくる。

あ~もうからかわれてる気がして嫌だ!


「さっさと準備!」

「は~い。」


…まったく。




「ふぁ~あ」


誠司があくびをする。


「眠い?」

「全然寝れなかった。」

「はは…」


それもそうだろうね。

それに比べて…


「渚ー!着いたね!楽しみぃ!」


月海はすっごい元気だ。

養分吸い取られたか誠司…。








その後三泊の間お世話になる民宿の役員の人にあいさつして荷物を大っきめなホールに置き、いよいよ出発!



「では今日一日みなさんのお手伝いをします佐々木です、よろしくお願いします」

「「「よろしくお願いしまーす!」」」

「はい。さっそくここの川に向かいますのでついて来てください」


佐々木さんが地図に指を指して川の位置を示す。そこまで奥には行かないみたいだけど

五十分くらい歩くらしい。


「ひーろと」


渚が話しかけてくる。あぁそういえば渚も同じだったな。


「どした?」

「いや、最近テニスのほうはどうかなって思ってさー」


「ん?もうすぐまた大会あるよ。でも俺たちシードもらってるから今度こそ優勝!ってね。」

「そっかー!頑張ってね!」

「おー!……でさ~」


少し渚と話し込む。


そっからちょっと歩いて少し疲れてきたな。って思っていたら水の音が聞こえてきた。


「おお!」


率直な感想、きれいだ!


まぁうちの近くにも川はあるんだけど流れが速くて入れないようになっている。


だから実際川遊びなんて久しぶりだったり。


「きれいだねー!」


となりで渚が目を輝かせながら言う。

分かりやすいな。


思わずぷっと噴き出す。


「どうしたの?」

「なんでもなーい」


今度は頭に?を浮かべている。渚ってたまにこういう子供っぽいとこあるよな~


「…では、水の中は滑るので気をつけてくださーい!」


「よーし入るか!」


靴と靴下を脱ぎ捨てて、ズボンをまくって川に入る。


「冷てぇー」


今の季節にはぴったりな気持ちよさではないけどまだまだあっついから全然オッケー!


「見てみてー!魚いるよー」

「お!どこどこ?」



昔はよくこうやって渚と遊んだっけな。

まぁ昔を懐かしむほどまだ生きてないけどね



「尋音くーん!」

「んー。どした?」


今度は月島が声をかけてくる。


「ほら!ジャーン!」

「おおっすげー!」


月島が見せてきたのは簡単にいえば魚を捕まえるための仕掛け、トラップだ。

石を積み上げて壁を作り、その壁を両側に挟んで、スーパーのレジ袋が仕掛けられている。けっこう手がこんでいるなぁ。


「これ一人で作ったの?」

「うん!ちゃーんと設計して準備してきたからね!」

「すげー!」

「でもこれだけじゃ魚は集まんないから…こうやって…」


月島がそのトラップの少し向こうから手で魚を誘導するかのようにどんどん罠へと近づけて行く。そして…


バシャ!


水のいい音がして、レジ袋の中には見事に魚が入った。


「すっげー!!月島天才!?」

「えへへーもっとほめてー」

「佐々木さん!これなに?」

「うーんヤマメだな。でもまだ小さいから川に返してあげたほうがいいよ。」


「えーせっかく捕まえたのにか~」

「しょうがないよ、かわいそうだから」


そういうと月島は袋を逆さまにし、ヤマメを川へと戻した。

水に戻れて元気を取り戻せたヤマメは元気に、素早く泳いで行った。


「じゃ次のターゲットに行きましょう!」

「おー!次俺にもやらせてよ」

「うん!」


よし!月島を超えてやる!!










そうして遊んでいるうちに時間があっという間にすぎてその日の活動が終わりになった。


結局俺は二匹、それもちっさいヤツ。

月島は五匹。そのうち三匹はけっこう大きめだった。まあ持って帰ってもしょうがないから戻したんだけど。


「明日は絶対に負けないからな~!」

「えぇ?どうせまた二匹でしょ?しかも

こーんくらいのやつ」


月島が手で大きさを示す。くー!実際そんくらいのやつしかとれてないから言い返せないのが悔しい!


「でも次は違う川に行くんだろ?」

「うん」

「なら俺に勝利の女神が微笑むかもしんないぞ!」

「えー?どうかなぁ」


結局月島には一日中からかわれっぱなしだったけど…でも明日は見返してやる!







そこからまた来た道を50分歩いて帰る。

遊んだあとだったからかなりしんどかった。



宿舎にもどると部屋割が掲示されてた。


「えーと俺は…と。」


あ、あった!誠司と、あと雄星か。


「尋音お疲れ」

「あ、誠司、と雄星か…」

「なになに!?なんでそこでテンション下がんの!?」


こいつは平山ひらやま 雄星ゆうせい

よく言えばノリがよくて面白いやつ。

悪く言えば軽いやつ。俺は後のほうだと思ってる。


「まあまあ三泊四日を共にするんだから仲良くしようぜ!」


雄星の歯がキランと光る。


「…さ、荷物部屋において、夕飯の前に風呂だっけか?」

「うん。行こう。」

「ちょ、ちょっと無視はないでしょー!」


まぁ面白くなりそうだ。


いくら雄星でも超静かで話しづらいやつよりはマシっしょ。








「おおー風呂でっけぇ!」

「うん。」

「部屋もけっこう立派だったしな!」


「じゃあヒロ!思いっきり飛び込むか!」

「さ、最初に体洗うのが常識だよな」

「連れないなあ」


「はは。でもそれがマナー。」

「誠司の言うとおり!」

「ブーブー!」


まぁ楽しくなりそうだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ